第100話 【シズクの爺ちゃんへのお願い】
クリスと別れた後、俺は昼飯を食べる為に一度家に帰る事にした。王都の飯屋は美味しいんだがそれなりに値段も張るのでお金を余り使いたくない精神があるので飯屋では食べず家で食べることにした。(前世も余り無駄遣いせず自分が一番欲しいと思っている物の為に貯金するタイプだった)
帰っている途中、俺は後ろから名前を呼ばれ止められたので後ろを振り返ってみるとそこにはシズクの爺ちゃんのジンさんが居た。ジンさんは、前にも着ていた着物と日傘を持っていた。
「あっ、ジンさんお久しぶりです。」
「久しぶりじゃレイ君、すまんな急に呼び止めてしまっての」
「いえ、特に急いでいたわけでもないので大丈夫ですよ。何か用が合ったんですか?」
「いや、道を歩いていると前にレイ君が居たからちょっと話したくなっての…所で横に居る女の子は?」
「俺の新しい従魔です。一応見た目は女の子ですがレッドワイバーン種ですよ」
俺がそう言うと、ジンさんは「ほほう、レイ君は人化出来る従魔を複数使役してるのか~」と驚いた。
「あっ、そうだ。ジンさんと俺も話したかったんですがこの後、時間ありますか?」
「この後か?うむ、シズクは1人で魔法の練習しに行って暇じゃよ」
「それなら、今から俺の家に来ませんか?お昼もまだでしょ俺こう見えて料理得意なんですよ」
「ほほう、レイ君が作る料理はシズクからも聞いておるよ。よし、ならお邪魔させてもらうかの」
ジンさんがそう言った後、話しながら家に向かった。家に着いた俺達は、ジンさんに「どうぞ」と言って入ってもらい客間に居て貰う事にしてラニアと一緒に料理を作り始めた。今日作るのは、米+ハンバーグと今迄何回も作ってある物を作り、盛り付けをしてジンさんが居る部屋へと向かった。
「ジンさん、出来ましたよ~」
俺はそう言って、トレイに乗せて部屋に入りテーブルの上に俺とジンさんそれとクレナの分の料理を並べた。ジンさんは、米がある事に少し驚いていた「まさか、米が200年ぶりに食えるとは…」そう言ったジンさんは涙をこぼしていた。その後、この米は何処で手に入れたのか聞かれた。
「元は遠い島の村が出所でそこから王都近く、といっても馬で3.4日かかる所の村があってそこの人が今王都に出稼ぎに毎週来てるんですよ」
「なるほど、儂も王都に居る間に米を買って行こうかの~」
「ジンさんはやっぱり国に帰るんですか?」
「うむ、これでもあの場所は儂が最初に作った場所じゃからな長く居なくなると調子に乗る者が出て来て壊されるかもしれんからの」
「そうですか…あの、ジンさんってその体つきを見る限り武術は得意ですよね?」
「まあ、忍者に憧れて色々とやっておったからこんな体になったが確かに武術は一通り極めようとしていた時期もあったぞ」
そう言って、ジンさんは「儂のステータス、武術慣例のスキルだけ見えるようにしたから確かめても良いぞ」と言ったので俺は鑑定を使ってジンさんのステータスを見ると俺の想像以上のスキル量+スキルレベルだった。父さんも武術家としては良い部類に入るが流石転生者のジンさんは父さん話遥かに上回るステータスをしていた。
「ジンさん、話ってのは多分もうお気づきかもしれませんが俺に武術を教えてください」
「ふむ、良いぞ」
「えっ?」
俺が頼むと直ぐにジンさんは、了承してくれた。流石に断られるかと思っていた俺は驚いた。
「儂もなレイ君と同じくイアラ様を信仰しておるんじゃよ。そこで、昨日なイアラ様から頼まれたのじゃレイ君に武道を教えてあげてとな」
「そうだったんですか…ありがとうございます。」
「よいよい、シズクの呪いを解いてくれた礼が出来そうで良かったと思っておるからの、しかし私の武道は一応儂の国の物じゃから余り余所者に見せたくないのじゃが何処か見られないような場所で出来る場所はないかの?」
「あ、家地下に訓練場があるんでそこでやりましょう。父さんには許可を貰えば使わせてもらえので」
「ふむ、ならそこでするかの…取りあえず、この話は終わりにしてご飯を食べようか冷めてしまうからの」
ジンさんはそう言って箸を持って「いただきます」と言った。俺は、それに続き「いただきます」と言ってクレナにスプーンを渡し料理を食べた。食べ終わった後、ジンさんは「それじゃ、儂は鍛錬の為の道具を取りに一度国に取り返って来るの」と言ってジンさんと別れた。その後、俺は父さんに今後、訓練場使わせてもらうために許可を取りに行き、父さんは「いいぞ、しかし余り壁やら壊さないようにな」と言って了承してくれた。