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ボッチのボマー青年  作者: N・大八
第二章 ボッチ、友達ができる
9/10

第七話 ボッチ、刑事と出会う②

第七話です。




「久井俊介だな?」

 二人組の男の一人が、僕に問いかける。

 

「……そうですけど?」

 後ろの方で、あの二人組が近づいた。すると、前の二人組が不快な顔をした。

 

「……な! ……チッ、お前ら……また勝手なことを……!」

 うん? コイツら、仲悪いのか?

 

「お前ら、窓際連中が何してる? お前らは担当を外されていただろうが。」

 もう一人の男が言う。窓際? 外されていた? おいおい、ますますドラマのような展開だな。

 

「いや~……それは、ですね……。」

 後ろを見ると、照井がばつが悪そうにしている。

 すると、高安の方が動いた。

 

「いやな、実はちょっとしたツテを使ってな。彼がここにいる事がわかってなぁ……。それで、ちょっと説得を、なぁ?」

 高安は、相変わらず飄々と――最後に両手を広げて――答える。

「で、おたくらは何でここに?」

 高安が質問をすると、片方の刑事がムスッとした表情で答えた。


「お前の質問に答える必要はない! それにお前ら……勝手に捜査を進めたあげくに、邪魔までするとは……どうなるか解っているのか!!」

 あ~あ、かなり怒ってるよ。この人……。てか、ここネカフェだぞ……。マナー守れよ……。

 にしても、なるほどねぇ……。あの二人――高安と照井――は結構な問題児らしい。……まあ、風貌も警察っぽくないしな。

 

「もういい……。それよりもだ。」

 もう片方の刑事が僕の方に向く。

 

「…久井俊介。」

 次に告げられた言葉は、僕の予想通りだった。



「お前を、「連続超能力殺人事件」を行った容疑で連行させてもらう。」




「…………はい?」

 僕が、不安を装い反応する。

「えっと、重要参考人……というか、保護じゃなくて?」

 僕が、そう言うと、片方の男が後ろの二人を睨み付けていた。

 ……どうやら、後ろの二人とは違う思惑があるようだ。

 

「何を言っている。最初の連続殺人といい、お前には怪しすぎる所があり過ぎる……。容疑者に入るのは当たり前だ。」

 …チッ! わかってはいたけど……。

「さあ、来い。戻ってゆっくり話を聞かせてもらうぞ。……おい、お前ら! 手伝え!」

 そう言って、僕に近づく。

 

「ええ~……俺らもですか……。」

 照井がめんどくさそうに言う。ヤバいな……こうなったら、面倒が起こる前にこっちも行動させてもらうか!

 

「っ! がっ!!」

「ぐっっ!」


 僕は即座に、前の二人に突っ込みタックルのように押し倒した。

 その後、颯爽と出口へと向かう。

 

「おっおい!! 逃がすな!!」

「何をしている!! 高安、照井!! 早く追えっ!!!」

 押し倒された、二人の怒声が響く。

 

「ったく。君らの先輩なんだけどね……俺は。」

「仕方がないですよ、コウさん、早く行きましょう!」

 どうやら後ろの二人も追いかけて来るらしい。面倒だなぁ……。

 

「すみません。コレ。迷惑料も含めて。釣りはいらないんで。」

 代金を置き、すぐさま店の外へと出た。

 ……これからは、ネットカフェはもちろん、ホテルも使えそうにないな……。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――






「はぁ~あ……」

 溜息を付きながら、照井は椅子へと座った。

 

「まったく、上の説教は長い上に学ぶことなんざ一つもない。そんな時間があるなら、捜索くらいさせてほしいよな? テルよ。」

「……僕らは捜査から外されてるんですよ? コウさん。」

「ああ、そうだったな。はっはっは。」

 笑いながら高安も椅子へと座った。

 

 先ほど、上層部からの怒りの言葉を受けていたのだが、二人は全く気にしてなかった。

 それもそう、この二人は捜査一課でも「窓際」と呼ばれる。言葉そのままの問題刑事達だからだ。

 

 高安幸広(たかやす ゆきひろ)。通称「コウさん」と呼ばれた、捜査一課のエースの立場だった……数年前までは。

 とある「事件」により、警部から警部補へ降格。捜査一課でも、腫物のような扱いを受けることとなっている。

 

 そしてその部下、照井寛高(てるい ひろたか)。「テル」と呼ばれるその青年は、国家公務員一般職試験を合格した「準キャリア」の人間である。

 しかし、警察内部の不祥事を起こしてしまい、左遷。現在の「窓際」に至る。

 

「……にしても、酷いですよね~……。一ヶ月謹慎なんて。」

「「一ヶ月」で済んだ方だろ? 下手すりゃ懲戒貰ってもおかしくないんだぞ、俺たちは。……まあ、上層部の機嫌も良かったんだろ。

 重要参考人――いや、今は違うか――が見つかったんだしな。」

「犯人は、あいつで確定なんですかね……?」

「ああ。捜査員全員、久井俊介が容疑者として追うとよ。まあ、「容疑者」として追うより「犯人」として追うんだろうがな。」

「ご家族は可哀想ですね……。」


 警察は、今日起きた一連の経緯により、久井俊介を「重要参考人」ではなく「容疑者」として扱う事となった。 

 後にマスコミにも発表する予定らしい。

 

「さて……と、俺は帰りますけど、コウさんはどうします?」

「何だ、もう帰っちまうのか?」

「……ここにいても、もうやることは無いですし。」

「…………ったく、俺も言えねぇがな。もう少し、反省の態度をしろよ? お前さんは、まだ先があるんだ。準キャリアなのに、そんなんじゃ……」

「良いんですよ。どうせもうコースからは外れてますよ……。……お先に失礼します。……お疲れ様です。」

「……お疲れさん。」

 そう言って、照井は出て行った。

 

「……あいつも、色々あるのかねぇ……。」

 そう言い、高安は深いため息をついた。

 そして、机の中から一枚の写真を取り出した。

 

「…………静江…………恵…………」

 彼は、写真を見つめながら、誰にも聞こえない声で、独りごちた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――






「はぁ~あ……どうするかな……。」

 あの刑事達から逃れた後、僕は街中のビルの上で項垂れていた。

 

 あの一連の騒動の後、僕は自分が「容疑者」となっている事に気づいた。

 ……どうやら、確実に僕を捕まえるらしい。警察も身勝手な事だ。

 

 それにしても、今日は何処で過ごそうか……。

 一応、ネカフェやホテルに泊まれなかった用に寝袋もある。片手で数えれる程度しか使ってなかったけど、これからはお世話になるだろう。

 重要なのはその寝床だ。……さて、どうするか……面倒な事になったもんだ。

 そう思い、寝床探しを始めようとした時。

 

 

 

「……ゆ、許してくれ……。」




 下の方で、情けない男の声が聞こえた。




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