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怠惰な魔本使いの見聞  作者: 炬燵天秤
第2章 白髪緋眼の魔本使いと呪いの狂宴
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10話目 再会の約束と朝焼け

第2章のプロローグ。短いです。

「手紙、ベイレーンの領主に宜しく頼むわね、アーデ」


「任せて。レティシアもレベル上げ、頑張れ」


ダンジョンの主を倒してビスマ村へと凱旋した勇者一行とアーデだったが、次の日にはもうそれぞれが別の目的地へと旅立つ準備をしていた。


「アーデ嬢、大賢者の印が押されたこの書簡さえあれば、王都にしろエルフの森林都市にしろ自由に入れるんじゃ。ギルドカードを作った後も持っておくと便利じゃぞ」


「ありがとう。ユグリースお爺さん」


ピー子を1日ぶりに呼び出した俺は、また他の村でダンジョンの調査を進める為に旅立つ勇者一行と、別れて行動することにした。


気さくですぐに馴染む性格の多い勇者パーティーは居心地の良い空間ではあったが、どうしても俺の本能は孤高を欲してしまうらしい。


そのついでとして、勇者達の手紙をベイレーンの領主に届けることになり、色々餞別の品を貰っていたのだった。


「アーデさん。アクトベル修道院に立ち寄ることがあれば、是非桜桃餅を食べて行って下さいね。過去の勇者様が作ったアクトベル修道院の名物ですから」


餅、か。米もあるのかもしれないな。これはソフィアの言う通り、是非訪れてみなくてはいけない。


「あたしとアステリオは辺境の村出身だからな〜。ま、会った時に酒でも呑もうぜ」


アーニャは肌がツヤツヤしていた。何故なら昨夜俺に手を出そうとした勇者を搾ったからだ。お陰様で最も危険な夜を枕を高くして眠ることが出来た。


「アーデ」


最後に勇者が俺のすぐ近くにまで近付き、イケメンスマイルで笑いかけてきた。


………少し顔がげっそりしているのでちょっと怖い。


「……元気で」


暫く待っていても何も話し掛けてこないので、こちらから話し掛ける。イケメンを見てると何となく毒に思えてくるので、不思議だ。


「そうだね。アーデも風邪を引いたりしないでね」


俺は子供か。いや、外見年齢は14歳の子供だけどさ。


俺が微妙な表情をしているのを見た勇者は、突然片膝立ちになると同時に、俺の白磁のように白い手の甲を手に取り、反応する暇すら与えずに口付けした。


「な………」


「君が困難な状況に追い込まれたのなら、万難を排して君を助けよう。それが大切な親友に贈る、(勇者)からの贈り物だ」


…………やれやれ、粋な奴だ。殴ってやろうかと思っていたが、そこまでの覚悟で言われてしまえば殴る事なんて出来るわけがなかった。


「その時はきっと、頼りにする。そっちも大変だろうけど、頑張れ。俺………私もあなた達が困ってたら助けに行くから」


そう最後に小さく呟いき、勇者達に背を向けてピー子の背中の鞍に跨がった。


「宜しく、ピー子。行き先は麓にある街」


キュイイイィッ‼︎!


鷲頭と獅子の胴を繋ぐ首筋を撫でながらそう告げる。


気持ちよさそうに撫でられていたピー子は元気よく頷き返し、その巨大な翼を広げて一気に上昇した。


「アーデ! 絶対だ。絶対にまた会いに行くから!」


「うん、またいつか」


大きな声を出しながら手を振っている勇者に頷き返し、………もう一度チラリと一瞥し、一気に街がある方角へとピー子を羽ばたかせた。


俺の目的地はビスマ村のすぐ麓にある城塞の街、ベイレーン。今は特にしたい事があるわけではないが、大きな街ならやりたい事もきっと見つかる筈。


無かったら………ポーションでも売った金で、悠々自適に暮らすとしようかな。


俺は漠然とした生活の事を考えながら、新しい目標の地へと空を駆けたのだった。

レティシア「アーデ、行ってしまったわね」


ユグリース「そうじゃのう。だが、いつかまた会えるじゃろ。のう、勇者」


勇者アステリオ「………べし」


ユ「うん?」


勇者「ダンジョンマスター、殺すべし!」


勇者一行「!!??」




前回のあとがきを書いている時に、なんとなく思いついてしまったネタ。

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