ハジマリ
今回は連載作品です。
良ければ読んで頂けると嬉しいです!
「ねぇ、『愛してる』って言葉ほど曖昧で。滑稽な、それでいて便利な言葉ってないよね。」
彼は、私の目の前でそう言い捨てた。
何が言いたいのかなんて解ってる。…信じたくない。
「実際にも君もその言葉で動いただろう?俺が『愛してる』って言ったらさ。」
彼の口から放たれるその言葉は、まるで中毒性のある毒。
だんだんと私を蝕んでいった。
「そうだ、俺が君に暴力を振るったことがあるよね?」
「…うん。」
「それだよ、まさにそれ。その後に俺は『愛してるからするんだよ』って言ったね。」
「うん。」
「そう言ったら君は許してくれただろう?それと共に『愛されてる』って思ったでしょ?」
「そんな事、ない…!」
「ダメだよ?嘘は。心の奥底では絶対に思ったはずだ。だって、俺は君の扱いがうまいからね。」
「―…」
彼は暴力を他人に絶対に振らない。
するなら心を許した人にする。
だから…私は彼にとって特別で、
心を許された人間なんだなと思った。
「あれ?泣いてるの?ごめんね。これは君を愛してるからだよ?君に俺という人間を解って欲しくて言ってるんだ」
ふいに流れた涙を彼は拭う。
「ねぇ、別れるって事じゃないの…?」
「別れる?そんなわけないじゃないか。俺はこんなにも君を愛してるんだから」
「…そっか、そうだよね。」
その夜、夢をみた。
「ずっと一緒だ。お前のこと、絶対守るから。」
それは、昔好きだったあの人に似ていた。
今の彼は夢に出てこない。
あの人に似ている人だけが出てくる。
この時だけ、私は正気に戻る。
彼の『愛してる』の毒が一瞬消える。
そして、彼の愛はニセモノであると。
この時の私が願うことは
ーあの人に逢いたい
彼らはどうするのか。
巡り会うか否か。
といった感じですね。
中二くさい気がしますねw
それでもよろしくお願いします(`・ω´・)