Story1-4
撃った瞬間、ワゴン車の吹き飛ぶ音やロシア語の罵声が飛び交った。それと同時に弾がはじく音も聞こえた。
アリス「モロトフを投げて進軍を遅らせましょう。彼らを温かく出迎えてあげましょう。」
アレクサンドル「ええ。これほどまでホットな出迎えはないくらい熱く出迎えてあげましょう。」
アリス「いい顔になってきたわね。ますますこっちに引き入れたいわね。」
アレクサンドル「いきますよ?」
そう言ってライターで火をつけ、火炎瓶を投げ込んだ。もともと狭い港の道ゆえに、それだけで行動は大きく制限される。そう思っていると、後ろから重低音が響いた。
アリス「後ろ!?」
アレクサンドル「湾口部です!彼ら、船の上から撃っています!RPGで!」
そう言って彼はRPGを放った。しかし、遠すぎてやはり当たらない。
アリス「迫撃砲弾を使って可能な限り敵の進軍をとどめて。なくなったらこれを使いなさい!」
そう言って私はアレクサンドルにCal-50を渡した。
アレクサンドル「これは?」
アリス「Cal-50よ。オーダーメイド品で、M2ブローニングの銃身を切り詰めただけの拳銃よ。使用弾は12.7mmNATO弾、弾数は5発よ。」
アレクサンドル「それであなたはあの船をどうするのですか?もう120mmはないですよ?」
アリス「まだ12.7mmがあるわ。それに、私のABS-63はどんな弾丸でも撃つことができる。あいつらには12.7mmの恐怖を思い知らせてあげるわ。」
そう言って私はABS-63のバレルを12.7mm用にして、射撃を行った。港だけあって、夜間特有の陸風が影響している。さらには1kmも離れたところであれば、コリオリの力も考えなければならない。
アリス「弾道計算機を持ってくればよかったわね。」
そう言って船に向かって射撃を行った。行った瞬間、前部の狙撃兵らしき人間が海に落ちていくのを確認した。
アリス「ターゲット沈黙。」
そう言っていると、船は反転して逃げようとした。しかし、それを逃がすわけがなかった。
アリス「1kmともなれば貫通力も落ちるから・・・当たるかしらね。」
そう言って2発目を撃った。撃った瞬間、運転室らしき場所のガラスが一瞬で赤くなり、速度はそのままに陸に当たって爆発、炎上、沈没した。
アリス「片付けたわよ。そっちは?」
アレクサンドル「彼ら正面から戦うのをやめたらしくて、回り込むみたいですよ?」
アリス「そう。司令部?SH-60はまだ?」
そう言うと電話の相手はもう少しだと言った。しばらく待つと、お迎えのSH-60が来た。しかも武装ヘリまで連れてきていた。
アリス「あらあら。AH-64E(アパッチ・ロングボウブロックⅢ)を持ってくるなんて。アレクサンドル?撤退よ。」
アレクサンドル「了解です!」
そう言ってアレクサンドルはヘリに飛び乗った。私も撃ちながら飛び乗り、後ろを警戒した。しかし構えた瞬間、重低音が響き視界が横になった。
アリス「・・・え?」
そう言った瞬間に、私は軍服を纏った女性を見た気がした。
???「大尉が撃たれた!衛生兵は!」
???「だめです!衛生兵なんていません!」
アリス「大丈夫・・・よ。少し・・・眠る・・・だけ・・・よ。」
アレクサンドル「・・・あとでまた会いましょう。」
アリス「ええ・・・また・・・あと・・・で。」
そう言って私は意識を手放した。
起きてみると、そこはシンガポールの基地だった。
アレクサンドル「お目覚めですか?」
アリス「ええ。・・・これで、私もあなたと同族ね。」
そう。ダンピーラは死んだら吸血鬼になる。そして私は死んで吸血鬼に生まれ変わった。
アレクサンドル「さっきアメリカ軍に私も入隊しましたよ。リマ分隊の少尉ということで採用されました。」
アリス「・・・そう。なら私は上官になるわね。」
アレクサンドル「とりあえず、まだ休んでいた方がいいですよ?まだなじんでいないでしょうから。」
アリス「・・・休暇も休みで消化かしらね。」
アレクサンドル「ええ。とりあえずゆっくりしていきましょう。」
そう言って私は再び目を閉じた。次のリクルート場所を考えながら・・・。