Story1-3
アリス「くっ!」
そう言いながら彼を抱えて裏口のドアに手をかけた。すると、
アレクサンドル「っ!頭部に当たっていたのですか。」
どういうわけか彼は生きていた。
アリス「生きている・・・の?」
アレクサンドル「死んでいるように見えますか?」
アリス「だって、普通はヘッドショット受けたら死ぬわよ!それは吸血鬼でも何でも同じで・・・」
アレクサンドル「あ~・・・それは普通のですから。私みたいな純血種だとそれくらいじゃ死なないんですよ。」
アリス「反則級ね。・・・あなた、アメリカに来る気はある?」
アレクサンドル「無事に逃げ切れたら・・・ですね。彼らはそこいらのチンピラじゃないですよ?持っている銃器はロシア製。それもかなりの金がかかるような装備を持っていますね。」
アリス「もう少しリクルートしておきたかったけど、相手が軍隊とかじゃ話は別ね。」
そう言って携帯を取り出した。ジャミング対策も取れる最新鋭の携帯電話だ。
アリス「あ~・・・少佐ですか?私です。アリスです。え?今どこにいるんだって?ちょっと東南アジアの港町にいます。それで、ASEAN駐在の部隊を貸し出してくれませんか?今ちょっとロシア軍並の相手と戦っていまして。はい。港にSH-60(シーホーク)を派遣するからそれに乗って帰れ?わかりました。ETA(到着時刻)は・・・10分ですね?わかりました。」
アレクサンドル「どうでしたか?」
アリス「港にSH-60を送るからそれで逃げろと。ETAは10分。」
アレクサンドル「そこまでたどり着くのが大変そうですね。」
アリス「まあ・・・何とかなるわよ。もう1発12cmを撃つわよ!」
そう言って裏口のドアも吹きとばした。外に出ると同時にアレクサンドルはRPGを屋根に向かって撃った。命中すると同時に壁の残骸と屋根に陣取っていた狙撃兵が落ちてきた。
アレクサンドル「ところでどうしてcmで言うのですか?普通はmmなのでは?」
アリス「たまたま・・・というよりも、『ドイツではcm表記で言うんだ!』と父に言われ続けた結果がこれなのよ。とっさに言うとcm表記になるのよ。」
アレクサンドル「あ~・・・そういうことですか。」
アリス「まあ・・・裏口から出て、走って港まで8分。何とかなるとは思うけど・・・2分くらいは防戦になるかもしれないわ。」
アレクサンドル「了解です。」
そう言ってからは早かった。港に着くまで敵には1度も会わなかった。そして港に着くと同時に、アレクサンドルは何かをしに行って、数十秒後に戻ってきた。
アリス「どこに行っていたのかしら?」
アレクサンドル「まあ、いくつかトラップを仕掛けてきました。・・・そろそろですね。」
そう彼が言ったかと思ったら、向かい側の倉庫の屋根で爆発がおき、黒い服を着たスナイパーが吹き飛んで行った。
アリス「なるほど・・・トラバサミトラップね。」
アレクサンドル「ええ。迫撃砲弾ならいくつか持っていますし、ブービートラップは得意ですから。」
アリス「なるほどね。・・・どうやらお客さんが正面でぶつかることを選んだみたいよ?」
そう言った瞬間に多数のワゴン車などが現れ、同じような黒い服の兵士が銃を構えてきた。
???「武器を下ろせ!完全に包囲している。逃げられないぞ!」
アリス「やれやれ。それは失敗する悪人のフラグよ。」
そう言って私と彼は近くのドラム缶を盾にして隠れた。
アリス「弾数は?」
アレクサンドル「RPG-7を4発、迫撃砲弾は2発、モロトフカクテルは3本ほど。G18は144発程度です。そちらは?」
アリス「9mmが60発、12.7mmが30発、120mmはあと1発だけ。手榴弾は2発、フラッシュは3発ほどね。」
アレクサンドル「ETAは?」
アリス「おおよそ2分。」
アレクサンドル「では・・・まずRPGを撃ちますね。」
アリス「ええ。私は120mmを撃たせてもらうわ。狙いは後ろのワゴンよ。」
アレクサンドル「了解です。」
そう言って私と彼はほぼ同時に射撃を行った。