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第二の住処となる場所01

食事も水も体に合ったようで何より。

さぁ、次に待ち受けるは二番目の自分の住処を整えることにあります。

どうなる事やら。

美味しくいただいた昼食。

突然保護された私の分もあった。そんなアルルさんにお礼とごちそうさまを言伝えてさがる。

ビボルト様へ次どうしたらいいのか訊ねる。

「次は何したらいいですか?」

「そうだな、とりあえず部屋はあるが眠れるようにして整えておかないと使えない。だからその準備を誰かに手伝ってもらって、自分が自分の部屋となる場所を整えること。それが今君がすることだ。」

自分の部屋をあてがってもらえるのか。それは有難い。

「そうだなぁ・・・・・・マリーお願いできるか」

呼ばれたマリーさんは笑顔でビボルド様へと近づいていき、「承知いたしました」と頭を下げた。

あれはどうみても承知いたしましたといいつつも内心は承知していない時のお姉さんのお顔だ。目がほほ笑んでいない。丸投げされたもどうぜんだもんな。

「宜しくお願い申し上げます」

頭を下げて顔を上げて相手の顔を見てお願いの言葉を投げかける。すると、嬉しそうに目を細めた笑顔が見れた。ホッとする。よかった。バイト先のパートのおばさんに叩き込まれた世渡り述が功を奏したようだ。

黒髪でロングヘアのお姉さん。

「手が空いてる人は手を貸してちょうだい。彼女の部屋をキレイにするわ」

マリーさんが皆に声を掛けてくれた。2、3人が手伝ってもらえたらと思っていたら、みんなが了承してくれた。

「あ、ありがとうございます。宜しくお願い申し上げます」

嬉しさのあまり、普段なら言わなかったであろう言葉が自分の口から出てくる。

「よろしい!」

マリーさんに褒められた。ほくほくして、子供のような気持ちになってきた。

そんな私にマリーさんは「ビボルドさまに鍵を借りてくる」と言って、「ここで待ってるように」言って移動していった。

マリーさんを待ってる間何していようかと思って食器を洗って片づけている人に近づこうとしたら、後ろから声がかかった。

「こっち」

マリーさんである。

「はい」

廊下に出ると、右手に移動しはじめた。

木の扉が並んでいるのは、彼らの個人部屋ということだろうか。

「あの、ここの廊下の扉って、みんなの個人的な部屋ってことですか?」

「そうよ、あてがってもらった部屋よ」

「一人につき一部屋ですか?」

「ここではそうね。夫婦は夫婦の意向で2人でひと部屋使っているけれど、子供たちは、あれだけしかいないから、子供たちだけでひと部屋に納まっているわ」

「そうなんですか」

「さぁ、ここよ」

鍵を開けて、うち開きの扉を開いたその先に待っていたのは、真っ暗な空間だった。埃っぽいか。喉が痒くなる。

マリーさんは先に入ってどんどん奥に歩いていく。カーテンを開けると、外の光が部屋の中を照らし出した。

中に入る。

「思ったよりも埃少なそうだから、今から掃除すれば、今晩からここで休めれるわよ」

「はい」

家具にかぶされている白い布をマリーさんがはがしていく。埃が舞う。

光に照らされた空間ではキラキラと宝石のように輝いている。

いやいや見とれている場合ではない。私も白い布をはがしていく。

ベットと机といすのセットと引き出しの付いた棚があった。サイドテーブルタイプの棚もある。引き出しの付いた棚の上には鏡があった。

「一式ありますね」

「そうよ」

と言いながらマリーさんは窓を開けた。

部屋の中の空気が一気に外に流れ出していく。

廊下に通じる扉がノックして開かれた。

「力を貸すよ」

「まぁ、いいところに」

バイスさんとググルドさん、それにリダルさん。

「ありがとうございます」

次々に部屋に入ってきた面々にマリーさんは指示を出していく。

背の高くてガタイがいい男性のググルドさんにはベッドのマットを日干しするように頼んでいた。枕はバイスさんが持って一緒に外に移動していった。

細身で若い男性のリダルさんにはバケツに水を入れて何枚かの雑巾とともに持ってくるようにと伝えていた。

「私は何を?」

訊ねると、にっこり笑って白い布のカバーを全て持たせてきて、言った。

「この白い布を洗い場へと移動させてちょうだい」

「分かりました」

「場所は、後ろの子たちに聞いて」

「えっ?」

振り返ると、子供たちが、目を輝かせて、案内をし始めた。

「こっちだよ」

「はーい、ついていくから先に一人と隣に一人いて」

「わかった」

よいしょっと、扉を潜って廊下に出る。キッチンがあった部屋の方へとまた戻るようにして進む。いつの間に居たのだろう。キッチンのあった扉の前を通り過ぎると、隣の部屋へといざなわれた。

「ここ?」

聞くと、彼らは「こっちこっち」といい、奥の床に置いてある大きな籠を指さした。

「これか」

「そうそう」

「わかった」

よいしょ。

はぁ、助かった。

「シーツとかの大物で白い布はこの籠にいれるんだよ」

「なるほど、物によって違うのか」

「そうだよ」

「僕たちの服も、色物と白色とに分けて入れておくんだ」

「それじゃ、シャツと靴下が白かったら、それらは一緒に同じ籠に入れておくってこと?」

「そうだよ」

「ほう。また分からなかったら教えてね」

「うん、いいよ」

「じゃ、戻ろう」

「うん」

子供たちと移動する。

掃除道具を持った女性がキッチンから出てきた。アナスタシアさんだ。

「ちょうどよかった。これ持って行って」

「はい」

「アナスタシアからって言っておいて」

「分かりました」

「さぁ、行って」

一緒に駆け寄って走る。

「こら、走らない」

「はーい」

「ごめん、怒られちゃったね」

「ね」

「うん」

目的地である新たな私の部屋となる場所の前で腰に手を当てて待っているマリーさんがいた。

「大丈夫だった?」

「はい」

「ばっちり!」

「任務完了しました」

「はいはい」

「終わりました。これアナスタシアさんからです」

「ありがとう」

掃除道具を受け取ったマリーさんは、子供たちにも持たせた。最後に私の手にも持たせてくれた。長い柄のものだ。

「これは?」

「高いところの用のはたきよ」

「あぁ、なるほど。これが、うわさのはたき。・・・・・・分かりました」

奥からしようとしたら、廊下側からしなさいと怒られた。

端から順にはたきで埃を軽くはたいていく。

「上から順に下へと移動してちょうだい」

「わかりました」

パタパタとはたきで埃を落としていく。埃が降ってきたと光のところで子供たちが楽しそうに話をしている。

「なるべく手早くね」

振り返ってマリーさんを見ると、反対側から手早い動きで柄の長いはたきを使って掃除していた。

おぉ、これはいけない。彼女はもう1列は終わらせているようだ。早い。せめて部屋の半分は自分でこなしたい。

急ぐ。

「こんなもんかしら」

振り返ると、右手の甲で額の汗をぬぐうマリーさんが、ここまでしてちょうだいと言って場所を指し示してくれた。

「はい」

言われた通りに埃を落としていく。とほほ、半分手伝いできない結果が待っていた。せめて言われた分こなさないと。

ちらりと子供たちを見ると、棚なども埃を落とすべく、掃除をしてくれていた。静かだと思ったら、彼らもひとりひとり真剣に掃除してくれていたのだ。

マットを干しに行ってくれた男性たちも戻ってきて、ベッドを動かす。動かした先でベッドを拭いて綺麗にしていくググルドさん。リダルさんがベッドをじっと眺めて点検している。ベッドが置いてあったところを子供たちが我先にと雑巾を水でぬらして拭いていこうとする。

すると、マリーさんのお叱りが飛んだ。

「こら、壁紙も絨毯もあるんだから、固く絞らないと。シミや痛みの原因になるわよ」

言われた当の子供たちは動きを止めた後、ゆっくり己の手の中の雑巾を見る。ぽたぽた水が垂れる雑巾もあった。子供の手で絞ったので絞り切れていないのもあるだろうが、争っていたのでおろそかになっているのだろう。

「ググルドお願い」

「分かった」

子供たちのもとに近づいたググルドさんは、子供たちが持っている雑巾をもってバケツの傍へと移動した。

広げた雑巾を重ねてから絞り出した。

いや、いくらなんでも一枚ずつ絞るのでは・・・・・・。声を上げようとすると。

「破かないでね」

とマリーさんからの注意が飛んだ。

ビクッとしたググルドさんは、「あぁ、分かっている」と返事して雑巾を絞った。

一枚ずつ子供たちに渡している。

「ありがとう」とポツリという子供もいた。

「さぁ、拭いておくれ」

「はい」

壁や床が拭かれていく。

現代人としてはその水に洗剤を数滴混ぜて拭いて、その後に消毒液で殺菌スプレーしたいところだ。

風通しをして使っていけば、大丈夫だろうか。

正直不安だったが、我慢をした。

水を蛇口からではなく、水瓶に貯めて使用している生活環境が当たり前な彼らの生活には消毒は特別なことに違いない。

最後に、床を履いてから固く絞った雑巾で拭き掃除する。絨毯が敷いてあってそれが埃が付いていたら丸洗いの業者に出したいところだ。

我が家だったらお金がもったいないと、アスファルトの駐車場で洗いそうだな。

アルルさんとアナスタシアさんが大きな白い布を持って入ってきた。

「新しいのをもってきたぞ」

「これがシーツでこれが枕のカバーで」

「今マットが干してあるだろうから、それを干し終わってベッドの枠にマットを置いてから、マットにこれらシーツを敷くといい。もうひとつは毛布とこのマットに敷くシーツの間に敷いて、自分にかけて使うといい」

「ありがとうございます」

「アナスタシアさんが持ってるものは、毛布ですか?」

「そうよ、まだ朝晩は冷えるから着ておきなさい」

「ありがとうございます」

白いシーツがマットカバーと枕カバー。そしてシーツ上の上掛けかなり薄手だ。そもそもこれシーツの類じゃないのか。こういうもんなのかな。

アナスタシアさんの持ってきてくれた毛布の感触が私を安堵させてくれる。

「どれくらい寒いんですか?」

「もしこれでも寒いのであれば、皆部屋用のコートを上にかけて寝ているわ」

「な、なるほど」

今の自分の服装で寒くはないし、さして暑くもない。ホッとする。

よかった。

いや、季節の移り変わりとかあるんだった。そうだ。

「ここの地域は雪降りますか?」

「降るけれど」

「ふ、降る。どれくらい降りますか?」

思い出すように上を向く面々をよそに、すぐにアナスタシアさんが答えた。

「あまり降らなかった年で腰より下くらいかしら?」

「えっ?!」

雪深い地域?

「えっと、そうだ。ここの地方は別邸っていってましたよね」

「そうよ。夏の避暑地として旦那様ご家族が過ごされるところ。そうねあなた冬用のコート無かったわね。部屋用のも外用のも」

「そうなんです。今着ている物しか着る物なくて」

「あぁ、それで」と声が上がったりして皆私の質問について納得してくれた。

「まだ今暖かいからいいけれど」

アナスタシアさんがマリーさんを見た。マリーさんも頷いてから、ポポオンさんを見る。

ポポオンさんは「そうだねぇ」というと顎を片手でさすりながら話し始めた。

「まだビボルド様に確認していないからこれは私の考えで、本当にそうなるかわからないが」

頷く。続きを聞きたい。

「おそらくね。部屋を整えて、まぁ、今日明日は今着ている物を着ていただいて、その間に、ここにある既存の物から君に合う物を探し出して着てもらうことになるだろう。仕事としてマリーたちのような装いをして従事てもらうだろうから、それらの服も設えることになる。冬などの季節に合わせた物や今着ている服以外の普段着つまり生活のための衣服類で用意できなかった物についてはいくらかこちらから支給されるだろう」

「な、なるほど」

「確かに、そうですね」

「ここにあるものでサイズがあなたに合ったとしても一度洗わないといけないだろうし」

「りょ、了解しました」

ポポオンが眉をしかめていった。

「サワコウ。君は軍人でもないんだ。メイドになるなら、”了解しました”よりも”承知しました”のほうがいいだろう」

「申し訳ありません。承知しました」

「うん。よし」

「言葉遣いも覚えていきましょうね」

アナスタシアさんが言った。

「宜しくお願いします」

そうか、そうだ。保護されただけじゃなく、就職も決まったんだ。ここに。

「用意してくださるのは有難いのですが、手持ちがありません。今後の働きで得たお金から少しずつ差し引かれるのでしょうか?」

「うーん。なかなかしっかりしているね」

ポポオンさんが褒めてくれるが、そんな褒めてくれている時に私は先ほどのポポオンさんの言葉を思い出した。”ビボルド様に”確認してないからと。

「申し訳ありません。そのお金のことはしっかりしておけという家族のしつけがありまして。出過ぎたことを申しました。後でお伝え下さるだろうことを気持ちが急いて、お尋ねしてしまって」

「・・・・・・」

「うーむ」

上を向いて目をつぶったポポオンさん。

「はぁ、まったく」

とマリーさん。

「ポポオン」

とアナスタシアさん。

なんだろうか。癖だろうか。

マリーさんは言う。

「ポポオン様。ビボルド様に先ほどのお話しを進言してくださいませ。おそらくビボルド様もそうするでしょうから。承諾は得られるはずです」

頷くのは、アナスタシアさんで、ポポオンさんは「あはは」と笑った。

それがいけなかったのか。マリーさんは「もう」と怒ると、ポポオンさんに言った。

「直接私が今からビボルド様へ了承をとってきます」

そういうと、扉まで移動したマリーさんは、振り向いていった。

「サワコウ。いえ、コウ。今からあなたはコウと呼びます。よろしいですね」

勢いに押され返事をする。

「は、はい。よろしいです」

「なんですか、それは。アナスタシアさん」

「はい」

「コウとともに着られる服を使用人用から探しておいてください。なるべく多く。下着から上着まで一式。を最低三着。それからコートも探してみて。寝巻になりそうな物もあったら何着か探してみてください」

「分かりました」

「コウ」

「はい」

「今日は夕食前まで休憩を入れながらアナスタシアと服を探しなさい。いいですね」

「はい」

「”承知しました”と返事をするのよ」

「承知しました」

「そういう時は、”はい、マリー様。承知しました。”と申すのです」

「はい、マリー様。承知しました」

「よろしい」

「アナスタシアさん後をお願い」

「えぇ。お任せを」

マリー様の背中はすぐに見えなくなった。廊下からマリー様の声が聞こえる。

「ビボルド様」と呼んでいる声だ。

私と同様に一緒にいるみんなも聞いていたようで。聞き終わったとたんに。「はぁ」と口々に言った。

「怒ってたねぇ」

ポポオンさんが言った。

「あなた」

アナスタシアさんが窘めるように名前を呼ぶ。

「ははは。でも、これで彼女もビボルド様と一緒に過ごせるだろう」

あー、なるほど。私という身確認な異性が現れたことで、思い人であるビボルド様からその身確認の異性のことを丸投げをされた。しかもどうも好意的に受け入れているらしい。それが決して恋愛感情じゃなくても面白くないということなのだろうか。

うーん。

いや、これが本当だったとしても。”だからってどないもこないもできませんがな。”だな。何かあったわけでもなし。注意しておこう。

アルルさんが言った。

「じゃ、私は夕食の準備に取り掛かるので下がるから」

「えぇ。楽しみにしています」

「そうですね。とっても」

「ははは。腕がなるね」

アルルさんはポポオンさんの肩をパシっと叩くと去っていった。

リダルさんが言った。

「本当に君違う世界から来たんだとしたら・・・・・・魔力あるかい?」

なんですと。

「ま、魔力ですか」

「そう」

「それは物語で存在する名前で、私にはありません。そう思って生きてきましたけれど。あるように見えますか?」

「い、いや。・・・・・・ない?」

「そうね。たしかに、忘れていたわ」

「そんなこともあるんだね」

「落ち着いている場合ですか。リダル魔法石を彼女に用意してあげて。目立たないような使用にしてあげてちょうだい。サッと使いやすいように。それから魔力操作もできないだろうから、操作しなくても作動するようにしてちょうだい」

「わかった。すぐにとりかかる。ポポオンさん伝えておいて」

「あぁ、わかった。頼む」

「えっと。何故ですか?」

「それがね。実はね。我々には日常的な動作の中に自身の魔力を用いて対処することがあってね。そうだね。誰でもというなら、厠なんかその筆頭でね。用を足した後に水を流すんだが」

なんだ水洗トイレがあるのか。

「それが、その水を流す行為を魔力を使って行うんだよ」

「えっ、それじゃ。魔力のない私は流せないってことですか、トイレの水を」

「と、トイレというのかい。魔力がないならそうなるね」

そんなことって。毎回誰かに見られないようにお願いして流してもらうなんて嫌だ。過去イチ嫌なことだ!

「な、なんとかリダルさん、いや、様。宜しくお願いします」

「わかったよ。用意するから。俺たちは魔力があるけれど、君みたいに無い人たちも居るからね。その彼らが使用している物に似せて作るのはできるから。心配いらないよ。不安にさせてごめんね」

「いえ。ありがとうございます」

「うん。それじゃ、俺も下がるから」

リダル様も退出した。

そのタイミングで、子供たちも退出し、ググルドさんたちも退出していった。

見送った後、ポポオンさんが「それじゃ、鍵を持ってこよう」と言って出ていった。

アナスタシアさんと2人。

「アナスタシアさん宜しくお願いします」

「えぇ。よろしく」

ためらいがちにアナスタシアさんが聞いてきた。

「コウ。あなたの着ているお召し物から察するに、こういうメイド服着てみたことってないんじゃ」

「御明察。その通りです」

「えっ。何。その口調。そうなの?」

「えぇ、ないです。着方も一応教えていただいてからにした方がよさそうです」

「そう」

「ちなみに、女性がこのようなズボンを履いていることは一般的ですか?」

「そうね。冒険者ならいらっしゃるでしょうけれど。そういった物をお召しになっていらっしゃる方とお会いしたことはありません。遠方の方で若い頃はお召しになったという噂話ならありますが」

「そうなんですか。分かりました。目立つ行為なんですね」

「そうですね。目立つでしょうから、避けた方がよろしいかと」

「はい。こっそり、中に履いておくようにします」

「ふふふ。それなら誰も知らないだろうし文句を言う方もおられないでしょうね」

鍵を持って戻ってきたポポオンさんを先頭に使用人用の衣服が保管している場所へと移動した。

幸い、自分に合うサイズのものがあった。少し大きめになるが流行のスタイルの範囲内だと喜んでいると。横からアナスタシアさんが来て言った。

「袖の長さを少し直さないと、手がちゃんと出ないで困るでしょう」

ちょっと叫びたくなったが、言われてみれば違う世界なら違うファッションの流行があるもの。

「お、お願いします」

ポポオンさんが、「メイド用の服あったかな?」というので、あつらえているんじゃ。と思ったが、アナスタシアさんが「そうね」と言って探し出した。

結果として、ストックのメイド服は合ったがそれもすこし大きいものだった。

「では、こちらも詰めましょう」

「あぁ、調節してみてくれ。出来上がったら、これを着て仕事を手伝ってくれ」

「分かりました。あっ。承知しました」

「うん。また皆設えるまで持てばいい。おそらくそうなるだろう」

「わかったわ。とりあえず、これも持っていきましょう」

3人でビボルド様の部屋へ行き、事情を説明して、許可をとった。

マリーさんは安堵していた。泣いていたのか、目元に泣いた跡がある。

何故泣いたのか聞くのもはばかられるので、知らないふりをしておいた。





無事部屋は整ったようです。最低限ですが服もそろいました。さあ、これからどうなることやら。

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