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百花征く剣 ~ 殺して奪うか、“えっち”して複製するか ~  作者: 凪山キコ
第一章 アストラニア王国編

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040 迷宮の薔薇と百花繚乱

 ――十分後。


 イレーヌから〈念話〉で「説明は終わった」と報告を受け、応接室に戻る。

 案の定、〈迷宮の薔薇〉の三人は顔を真っ赤にしていた。


「強くなる方法はイレーヌたちから聞いたと思いますが……それでも望みますか?」


「あ、あたしは強くなりたい……」

「わ、私もお願いするわ……」

「アレス君……私はいつでも大丈夫です」


 ティアさんだけは少しニュアンスが違う気もしたが、三人とも了承したと見ていいだろう。


「わかりました。では今晩、ジーナさん、セレナさん、ティアさんのスキルレベルを上げます」


 そう告げた瞬間、ただでさえ赤かった三人の頬が、さらに火がついたように染まった。初心な彼女たちの反応だと思い、そのまま話を進める。


「さて、パーティを吸収合併する件ですが……合併ではなく、同じクランに所属する別々のパーティという形にしませんか?」


 冒険者クランとは、多くの冒険者が集まる自主的な組織で、複数のパーティが所属する。依頼や討伐を協力して行い、財源や拠点を共同で運営し、仲間同士で助け合うことを目的としている。


 〈迷宮の薔薇〉の最終目的は故郷の村の復興だ。仮に〈百花繚乱〉に吸収されたとしても、Aランクに到達すれば村の再建に注力するだろう。そうなれば、いずれは〈百花繚乱〉を抜けることになる。ならば、パーティはそのまま残し、クランとして共に歩むほうが自然だ。


 セレナさんが感心したように言った。


「なるほど。クランね、考えてもみなかったわ。そうなるとアレスがクランマスターよね。クラン名は決めているの?」


「ええ。クラン名は――『万紫千紅』です」


 【万紫千紅ばんしせんこう】――色とりどりの花が咲き乱れる様子、または多彩な事物を意味する言葉。


 「花が咲き乱れる」という点では〈百花繚乱〉と同じだが、数が多い分、より規模の大きい表現のイメージがある。

 今後は、《万紫千紅》クランの中に〈百花繚乱〉と〈迷宮の薔薇〉が属する形になる。


「《万紫千紅》……かっこいいじゃん!! 異議なし!!」


 ジーナさんを皮切りに、全員が賛同してくれた。

 このあとギルドにクラン設立の届け出を出し、さらに〈迷宮の薔薇〉三人の屋敷への引っ越しも進める必要がある。


 そう思っていたところで、セレナさんが続けた。


「あ、それとアレス。お願いというか、さっきみんなで決めたことなんだけど……この屋敷では名前は呼び捨てにすることにしたの。アレスもよろしくね」


「え!?」


「だって、みんな同じくらいの歳でしょ? 問題ないじゃない」


 いや、見た目はそうだけど、リディアは俺の倍――なんだ!? 急に背筋に悪寒が! まさか〈威圧〉スキル? いや、余計なことは考えないほうがいい。平和のために。


「わかりま……わかった。セレナ……」


 なんとか慣れていこう。ちなみにルビナも呼び捨てにすることが、本人不在のまま決定された。見た目の雰囲気からルビナはまだ呼びやすいが、〈迷宮の薔薇〉の三人はなかなか難しい。頑張るしかない。


 ◇


 その後、全員で冒険者ギルドへ向かう。

 クラン《万紫千紅》を設立し、クラン所属パーティとして〈百花繚乱〉と〈迷宮の薔薇〉を登録。クランマスターは俺で、サブマスターはセレナに任せた。


 俺たち六人はかなり目立つ存在らしく、設立の噂はすでに広まっていた。


「どうやら、しばらくは面倒な女たちが寄ってきそうね」


 イレーヌが、羨望の眼差しを送ってくる女性冒険者たちを睨みながら呟く。

 もっとも、当面は新規メンバーを増やすつもりは……


「あ、ルビナもあとで〈百花繚乱〉に入れていいかな?」


 彼女は『石喰いの巣』で俺と共に潜っていたので、すでにCランク冒険者だ。どうせなら一緒にAランクまで上げておきたい。


 「じゃあ、ルビナもあとでギルドで登録しましょう」


 セレナが了承してくれたので、これで大丈夫だろう。


 その後は、〈迷宮の薔薇〉三人が住んでいた家に荷物を取りに行き、家を解約。必要な物資を買い揃えたうえで、《万紫千紅》の屋敷へ引っ越した。

 部屋を選んでもらい、イレーヌたちのときと同じように家具一式を用意。三人が荷物を整理している間に、俺とリディアは夕食の準備に取りかかる。今日はルビナの弟子入り祝いとクラン設立祝いだ。ステーキで豪勢にいこう。


 やがて、荷物整理を終えた三人のところへ、満面の笑みを浮かべたルビナが帰宅した。初日の鍛冶修行が充実していたのだろう。

 ルビナに三人を紹介し、「この屋敷では呼び捨てルール」も伝える。彼女はまだ皆をよく知らないため、特に抵抗はなさそうだった。


 美味しいステーキを平らげたあと、なぜか今日もカクテルを作らされる。しかも、また風呂に入らないと言い出す。〈洗浄(クリーン)〉で済むとはいえ、いずれ「風呂に入るまでカクテル禁止」ルールを設けたほうがよさそうだ。


 ――そして夜。


 スキル上げの番だ。

 〈迷宮の薔薇〉三人が持つスキルは、俺がすべてレベル9で所持している。単純に上げるだけなら全部〈脳状態復元ブレインリストア〉することになり、彼女たちは記憶が残らず味気ない。そこで最初だけは2倍で通常通り行うことにした。


 今夜中に三人のスキルレベル上げを終える予定なので、順番は彼女たちに決めてもらった。

 付与するスキルも、イレーヌやリディアのときの反省を踏まえ、必要最小限に留めるつもりだ。


***


 ジーナ ヒューマン 十八歳

 Bランク冒険者


 所持スキル:

  生活魔法[8] ↑UP

  斧術[8] ↑UP

  身体強化[8] ↑UP

  気配察知[8] ↑UP

  料理[8] ↑UP

  美容[8] ※NEW

  アイテムボックスS ※NEW

  強靭 ※NEW

  念話 ※NEW

  魔力常時回復 ※NEW



 ジーナが元々持っていたスキルはすべてレベル8に上げ、さらに〈美容〉、〈アイテムボックスS〉、〈強靭〉、〈念話〉、〈魔力常時回復〉を追加した。

 〈美容〉は女性としての身だしなみや自信のために必須とイレーヌが判断したもの。〈アイテムボックスS〉は携帯収納として有用で、〈強靭〉は戦闘持久力向上のため。〈念話〉があれば俺たちともティアとも離れていても意思疎通ができるようになり、〈魔力常時回復〉は〈身体強化〉など魔力を消費するスキルの保険として付与した。

 控えめに見えても、これでSランク上位とも渡り合える力にはなっているはずだ。


***


 セレナ ヒューマン 十八歳

 Bランク冒険者


 所持スキル:

  生活魔法[8] ↑UP

  氷魔法[8] ↑UP

  火魔法[8] ↑UP

  水魔法[8] ↑UP

  土魔法[8] ※NEW

  風魔法[8] ※NEW

  身体強化[8] ※NEW

  魔法付与[8] ※NEW

  鑑定[8] ↑UP

  料理[8] ↑UP

  美容[8] ※NEW

  魔法スキル経験値アップ

  アイテムボックスS ※NEW

  無詠唱 ※NEW

  強靭 ※NEW

  念話 ※NEW

  魔力常時回復 ※NEW



 セレナの既存スキルはすべてレベル8に統一し、〈美容〉や〈アイテムボックスS〉などジーナと同様の補助系を追加した。

 加えて〈土魔法〉と〈風魔法〉を付与して四属性を高水準で扱えるようにし、〈無詠唱〉で魔法詠唱の弱点を潰して“魔法使い”としての実戦力を大幅に高めてある。

 さらに走ったときに遅れないように〈身体強化〉を付与し、〈魔法付与〉で味方武器に属性を付与する戦術も使えるようにしている。セレナは特に〈無詠唱〉を喜んでいた。この世界じゃ、“魔術師”と“魔法使い”は扱いも強さも全然違うからね。


***


 ティア ヒューマン 十八歳

 Bランク冒険者


 所持スキル:

  生活魔法[8] ↑UP

  回復魔法[8] ↑UP

  槌術[8] ↑UP

  身体強化[8] ※NEW

  料理[8] ↑UP

  美容[8] ※NEW

  アイテムボックスS ※NEW

  無詠唱 ※NEW

  強靭 ※NEW

  念話

  魔力常時回復 ※NEW



 ティアの既存スキルはレベル8に引き上げ、ジーナ・セレナと同じく〈美容〉や〈アイテムボックスS〉等を追加した。

 〈身体強化〉、〈無詠唱〉もセレナと同じ理由で付けたが、〈身体強化〉のおかげで、撲殺力が格段に上がってしまった。たぶん前衛もできる殴りヒーラーになっている。ハンマーを与えてもいいのだが、本人は戦槌(バトルメイス)のほうが慣れているというので、武器はそのままにしている。

 なにより、全員と〈念話〉で会話できるようになったことを、彼女は大いに喜んでいた。

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