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百花征く剣 ~ 殺して奪うか、“えっち”して複製するか ~  作者: 凪山キコ
第一章 アストラニア王国編

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027 薔薇の試練とBランク

 王都のダンジョン『王城の地下迷宮』は、世界中のダンジョンの中でも比較的難易度が低い部類に入る。

 この国でAランク冒険者を目指すなら、ここを踏破するのが最も手っ取り早い。そしてBランク昇格を狙う場合でも、ここの地下三十階のボスを倒すのが定番かつ一番簡単な方法となる。

 ただし、女性にとっては相応の覚悟が必要だ。恋人とパーティを組んでいるならまだしも、それ以外では――。


 他にも手段があっただろうに、そこまでして急いでBランクになりたい理由は何だろう。

 イレーヌとリディアが肩を貸して連れてきた、真っ赤な顔で荒い息をつくジーナさんを見て、俺は思わず考えてしまった。


「じゃ、アレスお願いね」


 そう言って魔力空間を出て行くイレーヌとリディアを見送り、改めてジーナさんと向き合った。


「あ、アレス……ごめんね……自分たちだけで……キングを倒したかったんだけど……ダメで……」


「無理に話さなくていいですよ。あとは任せてください」


 もう、どうせならスキルを複製しておこう。〈鑑定〉――



 ジーナ ヒューマン 十八歳

 Cランク冒険者


 所持スキル:

  生活魔法[4]

  斧術[3]

  身体強化[5]

  気配察知[2]

  料理[1]



 複製するなら〈斧術〉だな。これをレベル2(2倍)で複製しよう。

 たぶん教会でかけてるだろうけど念のため――〈排卵調整(バースコントロール)〉。

 痛みを快楽にかえる――〈感覚変更(センスモディファイ)〉。

 あとは〈技巧(性)[9]〉で全力でやればなんとかなるだろう。


 着ている服は収納にいれて――〈洗浄(クリーン)〉。あとで返そう。


「では、ジーナさん。力を抜いてくださいね」


 ――俺は〈斧術[2]〉をゲットした。



 ジーナさんの発情状態は解消されたが、動けなかったので、服を着せてお姫様抱っこで魔力空間を出た。

 出てみると他の部屋から持ってきたのか、ベッドが三つ置いてあった。そのうち二つにはセレナさんとティアさんが同じように赤い顔で荒い息をして横たわっていた。

 俺はかなり恥ずかしがっているジーナさんを空いているベッドに寝せる。


「イレーヌ、次は誰?」


「次はセレナよ」


 俺はセレナさんをお姫様抱っこして、また魔力空間に囲まれたベッドへ。……なんだろう、この流れ作業感。



 セレナ ヒューマン 十八歳

 Cランク冒険者


 所持スキル:

  生活魔法[4]

  氷魔法[4]

  火魔法[3]

  水魔法[3]

  鑑定[3]

  料理[3]

  魔法スキル経験値アップ



 やっぱり〈氷魔法〉一択だよな。


「あ、アレス……あんまり見ないで……恥ずかしい……わ」


「何を言ってるんですか。セレナさん、とても綺麗ですよ」


「は、恥ずかしい……から……そんなこと……言わない……で」


 ――俺は〈氷魔法[2]〉をゲットした。



 セレナさんも動けなくなったので服を着せ、外へ運び出す。


「じゃ、最後はティアさんね」


「ご、ごめんね……アレス……君……迷惑……かけ……ちゃった」


「大丈夫。俺に任せてください」


 俺はティアさんをお姫様抱っこして、また魔力空間に囲まれたベッドに戻る。



 ティア ヒューマン 十八歳

 Cランク冒険者


 所持スキル:

  生活魔法[4]

  回復魔法[4]

  槌術[3]

  料理[3]

  念話



 そうだった。ティアさんから欲しいスキルって二つあるんだった。どうしよう。二つ目は〈強制終了フォースドターミネーション〉でこっそりもらうか。


 しかしやっぱり胸が大きい。ヘレナさん級と思っていたが、それ以上かもしれない。


「あ、アレス君……そんなに見ないで……好きにして……いいよ?」


「い、いえ……必ずその苦しみから解放してみせます」


「アレス君……好き……大好き」


 うっ。真っ直ぐすぎる想いが胸に刺さる。


 ――俺は〈槌術[2]〉と〈念話〉をゲットした。


 想定外というか完全に忘れていたのだが、〈念話〉のようにスキルレベルのないスキルを複製すると、快楽の倍率がやってみるまでわからないのだ。ティアさんが叫んでいたので、2倍どころではなかったのだと思う。



 一時間半かけて、三人の発情状態を解消した。最初に終わったジーナさんと、次に終わったセレナさんはもう動けるようだが、ティアさんはまだ無理なので、しばらくこのまま寛ぐことに。少し離れたところにテーブルセットと紅茶のポットとカップを置くと、リディアが俺のために紅茶を注いでくれた。


「お疲れさまでした。ご主人様」


「いや、特に問題はなかったからいいけど、普通、初めての子を満足させるとか無理だぞ」


「ご主人様なら絶対問題ないと、私とイレーヌが断言したので、彼女たちも身を任せたのでしょう」


 少し離れたところのベッドの上にいるティアさんと、ジーナさん、セレナさん、それにイレーヌが談笑している。「すこかった」とか「あんな感じなんですね」とか聞こえてくるので、さっきのことを話しているのだろう。

 しかし、ティアさんが、


「そういえば、二回目のとき……」


「「「二回目!?」」」


 俺は知らないふりをしたが、イレーヌに睨まれた。ちょっとした手違いということにした。


 ◇


 地下三十階からワープポータルで地上に戻ると、イレーヌの言っていた通り、五人の男娼が待っていたが、


「え!?」


 と全員が目を丸くして、とても困惑していた。少なくとも何名かは発情状態で戻ってくると思っていたのだろう。いつものように「お疲れ様でーす」と挨拶して、その場を去る。


 冒険者ギルドが近づくにつれ、〈迷宮の薔薇〉の三人は口数が少なくなり、顔が赤くなっていく……まあ、地下三十階のボスを倒してきました=ヤッてきました、みたいなもんだからな。



 冒険者ギルドの扉を開くと、ギルド内のざわつきはこれまで以上だった。


「おい! あいつら帰ってきたぞ! 早くないか? “男娼行き”なら早くても明日だろ?」

「今回はたまたま〈誘引(性)〉を使われなかった、とか?」

「そんなの今まで一度も聞いたことねえよ」

「じゃあ倒さず帰ってきたんじゃねぇの?」


 声がでかいので丸聞こえだが、無視して受付へ。帰りにはまだ早い時間なので、受付は五つほどしか開いていないが、サフィラさんがいたので、その窓口へ向かう。


「アレスさん! お帰りなさい! オークキングはどうでしたか?」


「無事討伐できました。ギルドカードに記録されていると思うので、確認してください」


「え……ええと……後ろの五名も一緒に討伐されたのですよね? キングは〈誘引(性)〉を使わなかったのですか?」


「いえ、普通に使ってきましたよ。状態異常を解消して戻ってきたところです」


 その一言で、ギルド内は一気に騒然となる。


「う、嘘だろ……五人だぞ!? あの三人はどうみても初めてだっただろ!?」

「なんなんだ、アイツ! 化け物かよ!」


 〈迷宮の薔薇〉の三人は真っ赤な顔で若干涙目だった。サフィラさんは半ば呆れ顔で「本当に……一人で大丈夫だったんですね」とつぶやいた。



「それではアレスさん、そして〈迷宮の薔薇〉の皆さま。Bランク昇格おめでとうございます。ギルド長からお話がありますので、こちらへどうぞ」


 ……そうだ、Bランクになれば“二つ名”が付けられるんだった。今度はまともだといいが。


 前回の“アリス”のときと同じように、二階の奥、無骨な扉の部屋へ連れて行かれる。相変わらず筋肉の塊のようなギルド長、ガルドがそこにいた。


「お、来たか。オークキングを倒したんだってな。しかし、女五人、男一人で“男娼行き”なしってのは初めて聞いたぞ」


 俺はこれになんて答えるのが正解なのかわからず、なにも答えられなかった。


「まあいい。ジーナ、セレナ、ティア、それとアレス。Bランク昇格おめでとう。知っていると思うが、Bランクになると二つ名を登録することになる。慣例に倣って俺が二つ名を付けるぞ」


 有無を言わせない流れだな。仕方ない。


「まずジーナは、《戦斧姫》だ。今もそう呼ばれているだろうが、そのままだ。これが一番お前に合っているだろう」


 そのままとかあるのか。たしかにジーナさんにはぴったりの二つ名だと思う。


「次にセレナだが、《氷霜(ひょうそう)の魔術師》だ。元々“氷の魔術師”と呼ばれていたようだが、それよりももっと自然現象の名称に寄せてみた。こっちのほうが強そうだろ?」


 えー!? そんな理由で二つ名付けるの? いや、かっこいいとは思うけど。


「そしてティア。お前は《紅血の天使》だ。まあ、意味合いは今呼ばれている“血染めの天使”と同じなんだが、血染めは物騒だろ? 少し柔らかくしてみた」


 パッと見はかっこいい気もするが、意味が一緒なんだよな……殴りヒーラーである以上、仕方ないのかもしれない。


「それで、アレスなんだが……先にパーティ名決めてくれねぇか? お前とイレーヌとリディアのパーティ名だ。さすがにBランクパーティで名無しってのもな」


 そういや俺たち、ずっと名無しのパーティだったな。考えていた名前はある――ここで決めよう。


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