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桜花のゆめ  作者: さえ
7/24

7距離

 「おはようございます〜どうでした?」

 眩しい。マールの挨拶と太陽の光でぼんやり目が覚める。

 「おはようございます、ラナ」

 イリューが反対側から挨拶してきて、ラナの眠気が一気にどこかへ行った。

 (そうだ、イリューもいたんだった…慣れない)

 寝ぼけ顔が見られていることも恥ずかしい。

 「おはよう。今日は見えなかったよ」

 「そうでしたか、ではゆっくり朝ごはん食べられますね」

 「もう用意してあるそうですよ、食べられますか?」

 イリューがにこやかに言う。

 本当に寝なかったのか疑いたくなるほど朝から爽やかだ。

 「ラナ様、お食事のあと、大事な話がありますので、よろしくお願いします」

 「うん。わかったよ」

 (何があったわけじゃなくても、ドキッとする言い方だなぁ、なんか過度に気になっちゃうし…)

 「いい話、だと思いますよ」 

 イリューは知っているのか。

 「なに?何の話なんですか?」

 ラナは珍しくイリューに言い寄ってみた。

 イリューは困ったような嬉しそうな顔をしていたのでラナはもう一押ししてみた。

 「知ってるんですよね?」

 「新しい仲間が増えるんですよ」

 「えっそうなの?マール!」

 マールの方を向くと、彼女は呆れ顔を返してきた。

 「ちょっと、イリュー様、言っちゃったんですか?護の方なのに口が軽すぎますよ!」

 「すみません。つい…楽しくて」

 「とりあえず、ご飯食べてから!ですからね!」

 マールがピシッと緩んだ空気を締めてくれた。


 「こちらの背の高い方がリズで、髪が短い方がアルマです。今日からラナ様付きの新人ですよ」

 マールの紹介の仕方が失礼な気がするが、それよりもラナはリズに釘付けになった。

 「マールに似てる!え、親戚とかじゃ、ないよね」

 髪型も背の高さも体つきもそっくりだった。さすがに顔までは似てなかったが、後ろ姿は一見どちらかわからないほどだった。

 「違います。似てますよねぇ、私もびっくりです」

 「あの、リズです。よろしくお願い致します」

 「よろしくね、リズ。アルマもよろしくね」

 「よろしくお願い致します、アルマです!」

 どちらの従者も緊張しているようだった。

 その緊張をしている姿を見て、応援したい気持ちになった。

 「二人も一度にお付きが増えるなんて、花国では考えられないね」

 「国に配属されるということはそれだけ責任と仕事量が増すってことなんだと思いますよ、がんばりましょうね、ラナ様」

 「はい!!!」

 緊張しっぱなしのリズとアルマが間違えて返事をした。

 あなたたちじゃないから、マールは冷静に言うと二人は明らかにしょんぼりした表情になった。

 ラナとイリューは顔を見合わせて笑ってしまった。


 「リズは食器を片付けて、アルマはお茶の用意をしてくれる?」

 マールが指示を出すと二人は元気よく返事をしていなくなった。

 「なんか、妹が二人できたみたいだね」

 「ラナ様、面白がってますけど、ラナ様付きですからね。しっかり仕事ができないと困るのはラナ様なんですよ」

 「マールは本当、頼もしいですね」

 イリューが感心して言う。

 ラナも大きく頷いた。

 「他人事みたいになってますよ!自分事にしてくださいね!」

 いつも他人事みたいなマールが、逆の立場になったのでそれがおかしくて仕方ない。

 ひとしきり笑った後、マールが切り出した。

 「今日の予定ですが、よろしいですか、お二人とも」

 「はい、お願いします」

 「午後に着任式の儀式があり、夜には会食があります。第三王子はお見えにならないそうですが、側近の方達はいらっしゃると聞いていますので、しっかり用意していきましょう」

 やはり。

 第三王子は夢見のことを疎んでいるんだろう。

 この国に配属になる前からわかっていたことだけれど、わかっているのと実感するのはやはり違う。

 「お気になさらずに。第三王子は今外交中なのだそうですよ。ラナに会いたくないとかではありません」

 「えっ…」

 「何でわかったのか、ですか?眉間に皺がぐっと寄ってました。心配されなくても大丈夫ですよ」

 「そうです!夢見は貴重な力を持った大切な存在です。思い知らせたらいいですよ」

 マールも加勢する。

 「さ、準備、準備!ラナ様はとりあえず、準備ができるまで待っててくださいね!」

 マールは久々にラナを着飾れることを楽しみにしているようだった。

 一方でラナは、大勢の人の中にいるのはとても苦手なので憂鬱な気持ちになる。

 知らない人だらけ、というだけではなく、自分が彼らに疎まれているから尚更だ。


 「憂鬱そうな顔してますね」

 アルマが入れてくれたお茶を飲む。

 イリューは表情を読む達人なのか、それともそれ以上に私がわかりやすいのか。

 後者だったら嫌だなぁ、ラナはまた憂鬱になる。

 「すぐに顔に出ちゃうんです。だから、今日の会食も不安です」

 「わかりづらいより、わかりやすい方が良くないですか?」

 「そうかな、すぐ何考えてるかバレちゃうんですよ」

 「俺は逆に表情に出ないので、わかりづらいのか誤解されることがたくさんあります」

 「たしかに、何考えてるか…わからない、かも」

 「怒ってないのに、怒ってる、とか、よく言われますよ」

 「それは嫌ですね」

 「わかりやすいとそんなことないでしょう?」

 「でも、わかりやすいと、嫌いなことが嫌いな人にバレちゃいます、顔に出ちゃうので」

 「それも嫌ですね」

 イリューが笑った。

 ラナも気づいたら笑っていた。

 憂鬱な気持ちが少し軽くなっているのを感じた。

 



 


 

 

 


今日も、もう一つ投稿したいと思っております。

楽しんでいただけたら嬉しいです。

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