カレンとソフィアの訓練
12月10日。カレンとソフィアはイサリ公国でサリナたちと訓練を行った。2人には[ミンク]というコンビ名が与えられた。ミンクは紺のブレザーに白のミニスカート。カレンは赤。ソフィアはブルーの下着とオーバーニーソックスを身にまとった。サリナは黒。シンラは白のレオタードタイプのコスチューム。オーバーニーソックスはサリナが黒。シンラが白。ミンクはルーシーの引率でアリエスに紹介された。訓練場所はニュース映画でおなじみの廃校の体育館。これから寒くなるが、私たちは3月末までずっと屋内で訓練と対戦ができるのだ。これはイサリ公国へ参戦した子だけに与えられた特権であり、館内には暖房が入っていて肌寒さは全く感じられない。もちろん言葉の不自由もない。ただし訓練は急ピッチ。何しろ1時間しかないのだ。ルーシーはすぐに帰った。また迎えに来るという。初めの30分はハーフキックの練習に費やされた。残りがステージで対面の練習。その間に休憩を挟む。休憩時間は訓練時間に含まれない。さっそくカレンたちは真ん中の足場に立ち、サリナたちに飛び方を学んだ。アリエスは飛べないため、コツは自分でつかむしかない。4人は白のアームカバーを装着した。サリナたちはステージに立ち、お姫さまたちのキックを受ける。美人姉妹はからだをかがめてジャンプ。すると意外なほど早く天井に到達した。そのため力のため方が不充分なままステージに向かい、アリエスにかわされた。反動を利用しないとキックにキレが生まれないのだ。それでもミンクは生まれて初めて空を飛べた高揚感にあふれていた。カレンたちは競い合うように足場に戻り、ハーフキックを繰り出した。若いせいか飲み込みが早く、まずソフィアがコツをつかんだ。続いてカレン。習得が早いのはオルガたちのアドバイスがあった。両手の使い方と頭を下げるタイミングが大事なのはすでにわかっていた。美人姉妹はフルキックに挑戦したが、やはり威力が増した。休憩に入るとカレンたちはサリナたちとの雑談に花を咲かせた。「カレンは飲み込みが早いわね」「まあね。お母さまたちのおかげよ」「ソフィアもいい感じね」「うんっ。対面もすっごく楽しみ」休憩が終わるとミンクは対面の練習。初めは守備。アームカバーを使ってアリエスの攻撃を防ぐ。アームカバーは厚みがあるが意外と軽くて防御に優れる。サリナたちのハイキックを受けてもあまり痛くない。守備の後半は攻撃に転じる練習に励んだ。でもふだんからだを動かさないから足が上がらない。ハイキックがミドルキックになってしまう。なので初めはミドルキックから始めた。ミドルキックはマルスの肩あたりを狙うが、徐々にカレンたちの足が上がり始めた。徐々にハイキックが形になり、威力を増す。この時点ではミンクの方がブランカより上のようだ。確かにソフィアは体格差でマルスに劣るが、その分飲み込みが早い。逆にオルガは体格差で彼らに引けを取らないが、飲み込みが早くない。第三王女は待望のプチエンジェル世代だから執拗に責め立てられはしない。どころか遊んでもらえる。だから第一王女の負荷は女王ほど重くはない。美人姉妹はハイキックとローキックのコンビネーションに磨きをかけた。そしてハーフキックから対面に至るまでの基本線を磨いた。まだまだ荒削りではあるが、ミンクの仕上がりは早い。カレンたちはスクリーンで自身のキックのフォームをチェックした。不思議と美人姉妹では変な雰囲気にはならず、むしろ下着の魅せ方にとことんこだわった。このあたりはオルガたちとは対照的。必ずしも変な雰囲気にならないところが面白い。やはり4つも歳下だとそうなりにくいのだろうか?ミンクはフライングニードロップを果敢に試した。カレンたちは意欲的に訓練をこなしていく。徐々にサリナたちの動きもよくなり、実戦に近い雰囲気になっていく。美人姉妹は生まれて初めての訓練を満喫した。やっぱり飛べるって最高。まだ必殺技はないが、これから編み出せばいい。カレンは懐疑的だがソフィアは楽観的。このあたりは性格の違い。責任の重い長女と甘やかされてのびのび育った三女は対照的な振る舞いを見せた。例えばフライングニードロップではカレンはどこか遠慮がち。でもソフィアは果敢に攻めた。あまりにも攻めすぎて右ひざをアームカバーに挟まれてグッと押し戻された。更にはフローリングの床にゴロンと転がされた。その際にお股をグッと広げられてソフィアは頬を赤らめた。でもすぐに開放され、第三王女はそそくさと逃げるように退散し足場へ戻った。でも嬉しそう。そのシーンを見なかった第一王女は複雑な心境。な、なにかあったのかしら?でも聞けなかった。姉は妹に甘いためどこかしら遠慮がち。でも妹はがぜんやる気に。あくまでも攻める姿勢を失わないソフィア。どこかしらアリエスに遠慮がちなカレン。皮肉にも成長したのは妹の方だった。