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姫騎士プロジェクト始動

11月8日。イサリ公国はアンジェラ改革法案を可決した。アンジェラとは国内外で活動するエージェントのことだが、改革法案の骨子はシラナミ公国のお姫さまたちをアンジェラに口説き落としてもらうことにある。ターゲットはシラナミ公国女王のオルガ。第一王女のカレン。第二王女のイレーヌ。第三王女のソフィア。オルガはすでに10年以上も国王で夫のファイサルとはレスの状態が続いていたが、まだ32歳と女盛り。16歳のカレンは公務に就いて間もないが、つい最近彼氏に振られたばかり。14歳のイレーヌと12歳のソフィアはまだ公務に就いておらず、姉と同じく処女。ただし異世界では王族の女の子は庶民と違って性的な訓練を受ける機会がない。しかも3人はヘルバアと呼ばれる性悪女の脅威にさらされていた。ヘルバアは祖先が露天商であることが圧倒的に多い。彼女たちは王族同士のマッチングに異常なまでの執念を燃やすが、ヘルバアの仲介で幸せになった子は皆無。彼女たちの魔の手を逃れるには世界線の違う国へ魔法戦士として参戦するのが望ましい。でもなかなか踏ん切りがつかないものだ。王族の女の子はリアルの女の子と同じく世界線の違う国へ魔法戦士として参戦すれば魔法の力が発動する。世界線が変われば生身の人間から精神体に変わるからだ。魔法の力は精神体でしか発動しない。交戦国への参戦は女の子が2人1組というのが原則。既婚者はダメだが、例外として夫とレスの状態が10年以上ならばOK。イサリ公国は王族を姫騎士として売り出したい思惑があった。というのも同国は魔法戦士取り込みの後進国であり、リタイヤ中の魔法戦士にオルガたちを口説き落とす役割を与えたい。うまくいけばリタイヤ中の魔法戦士をも取り込めるからだ。そのためにはまずリタイヤ中の魔法戦士をアンジェラとして訓練しないといけない。アンジェラの職務には王族を口説き落とす役割が盛り込まれていなかった。本来ならば王族の説得には近隣の国々の助力がいるが、イサリ公国はシラナミ公国と世界線が違うがゆえに近隣の国々の助力を得られにくい状況にあった。そこで彼らは名古屋在住のリタイヤした魔法戦士に白羽の矢を立てた。オルガには永松浅美。イレーヌには娘の莉奈。カレンには皆川悠月。ソフィアには娘の羽澄。浅美と悠月は32歳。莉奈と羽澄は14歳。浅美と莉奈は[キサラ]。悠月と羽澄は[コリス]としてイサリ公国へ参戦したが、今はリタイヤ中。その理由は定かでない。対戦相手のマルスによれば浅美たちが性的な訓練を全く受けていないがゆえに順応しきれなかったからだという。浅美はアデル。莉奈はテオ。悠月はハメル。羽澄はルネが担当した。彼らはみんな16歳の少年兵士だが、職業軍人でも戦闘のプロでもない。名古屋に常駐するエージェントからの情報では浅美たちは持て余し気味。母親たちには加齢からくる焦りがあった。娘たちが通う萃香女学院中等部には文化祭がなく、受験もバイトも部活もない。なので彼女たちはまず3月からエージェントを始め、9月から満を持して参戦した。この頃には悪魔の残暑は徐々に影を潜め、浅美たちの思惑通りに進むかに見えた。でもアデルたちには姉妹がおらず、女の子の扱いに不慣れだった。身近に同世代の女の子もおらず、キサラとコリスはマルスと親密な関係を築けずに終わった。でも2ヶ月に及ぶアデルたちとの対戦自体に不満はなく、浅美たちは自身の気持ちや性欲に対して素直になりきれなかった。2組の美人母娘は同じマンションの違う階に住んでいたが、今でもリタイヤしたことを悔やんで悶々としている。そこでイサリ公国は浅美たちにチャンスを与えることにした。オルガたちを口説き落とすことに成功すればアデルたちとの復帰戦を認めよう。このあたりは異世界の国々によって違うが、リタイヤ中の魔法戦士に王族を口説き落とさせるのは前代未聞の試み。彼女たちには若い女性の通訳を付ける。では浅美たちが失敗したら?その場合はそれなりの理由を付けてマルスとの復帰戦を認めてあげればいい。もともと王族の説得は簡単にはいかないものだが、イサリ公国はお姫さまたちの取り込みに意欲的。何しろ王族が対戦相手の庶民に屈し、彼らに従属するとなれば決して公にできないからだ。でも実際には庶民の殿方に従属したがるお姫さまたちは数多く存在する。従属といっても通い婚だから彼女たちの自由が永遠に奪われたりしない。なので庶民の殿方に従属するのはお姫さまたちの甘い夢なのだ。イサリ公国の通い婚は浅美たちにも適用される。通い婚に身分も世界線の違いもない。王族ともなれば経済効果がまるで違う。お姫さまたちは姫騎士として思う存分活躍できる。姫騎士は玉座の間でイサリ公国の魔王さまと配下たちへの完全なる従属を誓わされる。従属の儀式はあくまでも儀礼的なものに過ぎないが、オルガたちには最高の晴れ舞台になるはずだ。


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