プロローグ
俺の母は絶世の美女だったらしい。そして俺の父は有名俳優だったらしい。じゃなんで俺は殺しなんてやってんだって話だよな。
俺の父と母は俺を生んですぐ暗殺者に殺された。
だから親の顔なんて覚えているわけがないんだよ。
で俺を育ててくれたのが親を殺した暗殺者って今知った。
別に驚かなかった。
なんなら理由もどうでもよかった。
何故なら俺にとっては育ててくれたこの人こそが親だったからだ。
色々不器用な人だった。
基本的に笑うような人じゃなかったし、いつも家では俺一人だった。
だけど、時間の合間に俺に言葉や武術そして暗殺術を教えてくれた。
だからこそ、俺は父(暗殺者)が所属する組織に入り、隊長にまで登りつめた。
ある日、親父が俺に聞いてきた
「お前は、自分のやりたいようにやれ。俺がいなくなれば一人で生きていくのだから。」
親父がこの話をするのはこれが初めてではない。
前にも似た話をしたことがある。だから俺はいつも通りこう答えた。
「やりたいようにやってるさ。」
なのに、何故俺は今その所属している組織から囲まれているんだ。
「すまんな。組織の為に死んでくれ」組織のボスがそう言い放った瞬間、数百にもおよぶ隊員が突撃しにきた。
その瞬間死にたくない一心で、苦楽を共にした隊員達を無我夢中で殺した。
何人殺しただろうか…
「あぁ、腹痛ぇ…長くないか…」
時間がゆっくりに感じる。
流れ出る親父と過ごした日々
これが走馬灯か。
誰かの声が聞こえる...
ああ、親父来てくれたんだ....
泣いてて何言ってるかわかんねーよ
親父俺は幸せだったよ
その声は遠くなり、完全に消えた。
そう、俺は死んだ.....