第9話 美しき悪夢 前編
洋子博士が失踪してからも俺は、研究室のあるマンションで暮らしている。
しかし、一人住まいの、このマンションは、まるで脱け殻のように、生気のない空間になってしまった。
そして、その夜、一人で寝ていると、
俺に内蔵されている『殺意センサー』が反応する。マンションの裏側で、何者かが、恐ろしいまでの殺気を発しているのだ。
俺は部屋を出て、その場所に行った。
そこには、ジョッガーの幹部『超魔女子アップル・イブ』の姿がある。
相変わらず、裸に前腕と脛にピンクのアーマー。胸と股間をリンゴ型のカップで隠すという、痴女姿だ。
さらに、その後ろに、もう一人。
「俺様はジョッガーの上級幹部『超魔男児アダム・ドロン』だ」
アダム・ドロンは屈強な男性で、全裸に股間だけを無花果の葉っぱで隠すという、変態じみた格好をしていた。
だが、上級幹部と名乗る程だから、強敵なのだろう。
「アサルト・チェンジ!」
俺は、 赤を基調とした『全身装甲の 戦闘形態』に変身する。
「来い、ジョッガーの上級幹部とやら」
「まて待て、あれを見ろ」
アダム・ドロンの指差す方向には、二台の車が停車していて、その一台の車内にはジョッガーの戦闘員と、
パジャマ姿で『人質』にされた盛高知里の姿があった。
「あっ、知里ちゃん!」
「どうした。アサルト・ソルジャー」
「人質とは、卑怯だぞ」
「何を言う、俺たちは悪の秘密結社だ」
アダム・ドロンはニヤリと笑って、
「お前は、後ろの車に乗れ」
と、命じる。 俺と知里とは、別々の車で連行され、建設途中の遊園地に連れていかれた。
真夜中。誰もいない未完成の遊園地。夜空には、煌めく星と大きな月が出ている。
「誰か、助けて!」
と、知里が叫んだが、 ここには居るのは、アダム・ドロンとアップル・イブ。そして、数人の戦闘員だけだ。
アダム・ドロンが、
「お前は、コレに入るんだ」
と、俺は戦闘形態のまま、鉄製の檻に入れられた。
知里は戦闘員の手で、パジャマ姿のまま、上半身をロープでグルグル巻きに縛られて、
「嫌、止めて!」
クレーンで宙に吊るされる。
「止めろ、乱暴はよせ!」
俺は檻の中で暴れたが、ビクともしない。
「ハハハハッ、その檻には衝撃吸収装置が付けてある。どんなに強い力を加えても、傷ひとつ付かない。無駄だ」
と、アダム・ドロンが嘲笑った。そして、言葉を続ける。
「アサルト・ソルジャー。お前は、数々のジョッガーの仲間を殺してきた。今宵は、その復讐の夜だ」
さらに、アップル・イブが
「まずは、お前の目の前で、この小娘を殺す」
「止めろ、アップル・イブ!」
無言のまま、ギュッと目をつぶり、恐怖に耐える知里。
「これを見ろ、アサルト・ソルジャー」
アップル・イブの掌に、小さな楕円形の物体が乗っている。
「これはね。ジョッガーが開発した、人間処刑用の小型爆弾『リトル・ガール』よ。この爆弾を小娘の体内で爆発させてわるわ」
「止めてくれ、アップル・イブ。俺は殺されてもいい。知里ちゃんは助けてくれ」
檻の中で懇願する俺を、アップル・イブは冷たい目で見ていた。そして、アダム・ドロンが、
「小娘、お楽しみの時間だ」
と、知里のパジャマの下と下着を一気に下げて、白い尻を露出させる。
「ヒョエーイ、ヒョエーイ」
戦闘員が知里の尻を見て、歓声をあげた。知里は大声を出して、身をよじる。
「やめて、何をするの!」
「黙れ、静かにしろ」
アダム・ドロンは知里の白い尻を、ピャリと、一回、掌で叩き、両手で尻を左右に拡げた。
「何をするの、変な事は止めてよ!」
その尻に、リトル・ガールを差し込む。アップル・イブ。
「いやーっ、お尻には、嫌!」
泣き叫ぶ、知里。
「いくら力を入れても無駄だぞ」
ニヤけながら、知里の尻を凝視する、アダム・ドロン。
俺は檻の中で叫んだ。
「止めろ、そんな事は、止めろ!」
アップル・イブは、俺を無視して、笑いながら、
「フフフッ。小娘ちゃん、どんな感じ?」
「いやあぁーっ!」
泣き叫ぶ知里の尻に、リトル・ガールをニュルリと、完全に挿入した。
「あぁっ、嫌ぁ」
「ハハハハッ、ハハハーッ」
高笑いする、アダム・ドロン。興奮したのか、知里の尻に、ガブリと、噛みついた。
「痛いッ!」
知里の悲痛な声を聴いて、戦闘員が騒ぎたてる。
「ヒョエーイ、ヒョエーイ」
ニヤリと微笑むアップル・イブが、俺の方に視線を向け、
「後は、爆発するだけね」
「やめろ、頼む、止めてくれ」
俺は檻の中で無力だった。
その時だ。月光に照らされる『コウモリ』が一匹。上空をヒラヒラと飛翔する。
大きい。こいつは超魔人だ。
そのコウモリを見て、アダム・ドロンが驚きの声をあげた。
「あっ、あれは『コウモリース』か?」
次の瞬間。そのコウモリースが、バサリとアダム・ドロンの目の前に着地する。
彼女は、コウモリの羽を持ち、長剣を携えた美しい超魔人だった。
「リース・クロス!」
コウモリースが、一声、叫べば『光の十字架』が、二体現れて、アダム・ドロンとアップル・イブの二人を磔にする。
そして、コウモリースは戦闘員を睨みながら、
「あなたたちは、どうする?」
「ヒョエーイ、ヒョエーイ」
と、戦闘員は、逃げ出した。このコウモリースとは、いったい何者なんだ?
そして、コウモリースは身動きのできないアダム・ドロンに近づき、
「ワタシを裏切った男。ワタシを捨て、こんなスケベ女と婚約したバカな奴」
「誰が、スケベ女だよ!」
「お前、だろう!」
コウモリースは動けないアップル・イブの顔面を、
バシィーン!
拳で殴打した。口から血を流す、アップル・イブ。
なんだ、どういう展開なんだ。俺は檻の中で困惑した。