表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/12

第3話 『学生刑事』と『女子高生コマンドー』

アップル・イブと戦った俺は戦闘のダメージで、右半身が麻痺してしまった。それでも、なんとか人間形態に戻り、バイクに乗り、研究室に帰る。


右半身を引きずる俺を見て、洋子博士は、


「いったい、どうしたの?」

「実は、あのう」


一部始終を話し、事情を説明すると、


「電撃で神経回路がやられたのね」


と、洋子博士は俺の下半身を裸にして、作業台へ乗せる。


「バカね。ヘンな喫茶店に行くから、こんな目に会うのよ」


小言を言う洋子博士は、俺の脚を広げ、下腹部のカバーを外した。神経回路は股間にある。


「敵をスケベな目で見て油断するからよ」

「そんなに油断はしてないんですが」

「でも、スケベな目で見たでしょう」


お説教されながら、俺は股間をいじられて、


「あぁ、うっ」

「もう少しよ。我慢しなさい。」


神経回路の修理をしてもらう。


「まったく、小遣いをもらって、何の勉強をしに行ったのか」


洋子博士は、 ぶちぶちと言いながらも、馴れた手つきで股間をいじり、


「どう、これで、感じる?」

「あっ、はい」


神経回路は修理され、俺の右半身の感覚は復旧した。



翌日。昭和レトロな喫茶店『栗とリス』に、セーラー服姿の『女子高生コマンドー・泉』が来店した。ロングヘアーはポニーテールにして、学生鞄を持っている。


「あっ、君は?」


驚く俺に、泉は笑顔で、


「レモンスカッシュ、お願いします」

「あっ、はい」

「何、女子高生の知り合い?」


と、怪訝な表情の洋子博士。


「昨日のバズーカの」

「女子高生コマンドー・泉です」


泉は自己紹介するように言った。


「で、あなた何者なの?」


洋子博士の質問に、泉は、


「実は私、防衛庁の『ジョッガー対策室』のエージェントなんです。今度、あなた方の支援をすることになりました」


それを聞いて俺は、


「え、でも防衛庁って、君は女子高生なのでは?」


「セーラー服は身分を偽装するための変装なの」


身分を偽装って、ジープを運転して、バズーカ砲を、ぶっぱなす女子高生なんていない。


まったく変装になっていないと、俺は思いながら、泉のテーブルにレモンスカッシュを運んだ。


そこへ、もう一人、女子高生が来店した。スカートが長く、ツッパリ風だ。


「いらっしゃいませ」

「いや、客じゃないよ」


不良っぽい口調で言う女子高生は、セーラー服にポニーテール。今の泉と同じような格好をしていた。


「わたしは、県警本部直轄の『学生刑事(がくせいでか)妻藤雪(さいとうゆき)


雪は警察手帳を見せながら、言葉を続ける。


「この茶店(さてん)に、銃刀法違反と無免許運転の高校生がいると、通報を受けて来たんだけど」


「残念でした。私は高校生ではなく、防衛庁のエージェントなの」


泉は、そう言いながら、防衛庁の身分証明書を見せる。その時、


プルルルル。


と、着信音。泉が学生鞄から、バカデカい携帯電話を取り出す。そうか、昭和の時代のケータイはコレなのだ。


「あ、はい。了解しました」


通話が終わると泉は、


「ジョッガーの秘密基地の場所がわかったわ、至急、出動よ」


それを聞いた雪は、


「それなら、わたしも行くよ」

「あなた、武器はあるの?」


泉の問いに、雪はスカートを、めくり上げる。


右の太ももにホルスター。大型のリボルバー拳銃を持っているようだ。その瞬間、白い下着がチラリと見えた。


「さあ、出撃よ」


と、泉。


「いってらっしゃい」


呑気に手を振る洋子博士。


店の外へ出ると、泉が雪に向かって言った。


「県警のツッパリさん、セーラー服にポニーテールはキャラがカブるから、やめてよね」


「何、言ってるんだよ。あたしは本物の学生で、あんたはコスプレだろう」


「でも、最初にセーラー服で登場したのは私よ」


そう言いながら、泉はジープに飛び乗り、急発進する。


その後を、バイクで追う俺。後ろには雪を乗せた。


スピードを上げると、雪がギュッと身体を密着させる。小振りの胸が俺の背中に、ピタリと当たった。


たぶん、ビーチクはピンクだ。と、俺は妄想してしまう。


しばらく走ると、ビルの建設現場から銃声が聴こえた。銃撃戦をしているようだ。


ここがジョッガーの秘密基地なのか。泉はジープをスピンさせて、


ギギュュウーッ。


急停車した。


建設現場では、黒い骸骨の戦闘員と屈強な男性エージェント数名が、撃ち合いをしている。


「あなたはコレを」


と、泉はライフル銃を俺に手渡した。人間形態の俺は、その銃で戦闘員を撃つ。


バキュン、バキュン、バキュン。


「なめんじゃないよ!」


と、雪も大型の拳銃で応戦する。


バアーン、バアーン。


「ヒョエイーッ」


骸骨の戦闘員も撃ち返してきた。


バン、バン、バン、バン、バン。


激しい銃撃戦。


バン、バン、バン、バン、バン。

バン、バン、バン、バン、バン。


泉がバズーカ砲を構え、


「これでも、喰らいなさい!」


と、ぶっぱなす。


ドゴオォォーン!


建設現場が吹き飛んだ。


「ヒョエイーッ、ヒョエイーッ」


と、悲鳴をあげ、戦闘員は退散したが、あのアップル・イブが出て来る。


相変わらず、裸に前腕と脛にピンクのアーマー。胸と股間はリンゴ型のカップで隠しているという、痴女のような格好をしていた。


手には、例の電撃鞭を握っている。


「また、お前たちか!」


と、喚く、アップル・イブの傍らには、オオカミの超魔人が控えていた。


「俺は『超魔人オオカーミ』だ」


「アサルト・チェンジ!」


俺は、赤を基調とした全身装甲の戦闘形態に変身して、そのまま、必殺技を出す。


「アサルト・レッグ・ラリアット!」


ジャンプして、オオカーミの喉元を狙って、蹴った。


バシュン!


オオカーミの首がちぎれて、生首が飛ぶ。残った身体は爆発した。


バッゴーォーン!


「くそう、この借りは、必ず返す」


そう吐き捨てて、今回はあっさりと、アップル・イブも退散した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ