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最終話 真ハカイ・タイガーの脅威 後編

真ハカイ・タイガーの振るう『鉄の鞭』が、ブンッと唸る。


バシンッ!


全裸の『女子高生コマンドー・泉』の背中を、ぶっ叩いた。


「ぐ、ぐぅっ」


声を殺し、痛みに耐える泉は、亀甲縛り、M字開脚の状態で吊るされている。


「フッ、フフフ、どうだ。痛いか?」

「私は鍛え上げられたエージェントよ」

「そうだったな」


そう言うと、真ハカイ・タイガーは、泉の体を『鉄の鞭』で乱れ打ちにする。


バシッ、バシッ、バシッ、バシンッ!


「ぐぅ、がぁっ、あがぁっ」


泉の白い肌が裂傷して、血が飛んだ。


「悲鳴をあげないとは、さすがは防衛庁のエージェントだ。鍛え方が違うな」


「殺すなら、殺しなさいよ」

「そう簡単には殺さない」


と、真ハカイ・タイガーは拳で、泉の顔面を殴打した。


ガヅンッ!


「ぐわぁっ」


鼻が潰れ、ドバドバと鼻血を流す泉。その様子を眺めながら『超魔女王ヨーコ』が言う。


「美人が台無しね」


真ハカイ・タイガーは、


「悲鳴をあげるまで、いたぶってやるぞ」


拳で泉の腹を、サンドバッグを叩くように連打した。


ドス、ドス、ズドン、ドス、ズドン!


「ぐはっ、うぐぅ、ぐがっ、ぐあっ」


必死に痛みに耐える、泉。だが、


「ゲホ、ゲホゲホッ」


と、むせかえる。それを見るヨーコの目は爛々と輝いていた。


「もっとよ。もっと、いたぶるのよ!」

「フッ、フフフ。ヨーコもドSだな」


そう言いながら、真ハカイ・タイガーは、泉の顎をパンチで撃ち抜いた。


バギーン!


「ぐわあっ」


口から血を流し、折れた歯を吐き出す、泉。


「まだ、悲鳴をあげないとは、全く、この女は。恐ろしいほどの打たれ強さだ。だが、これは、どうかな」


と、真ハカイ・タイガーは、M字開脚で剥き出しになった泉の股間の毛を鷲掴みにする。


「エージェントちゃん、少し濃い目だね」


ギュウーッと毛を引っ張る、真ハカイ・タイガー。顔を歪める、泉。


「止めなさいよ、そんな事は、この変態!」


「フッ、フフフ。オレは変態だよ。ド変態だ!」


真ハカイ・タイガーは笑いながら、


ブチリッ!


と、一気に泉の下の毛を、むしった。


「ぎゃあぁぁ!」


これには泉も悲鳴をあげる。俺は思わず叫んだ。


「もう、止めろ、真ハカイ・タイガー!」

「そうなだな」


真ハカイ・タイガーは、指に絡み付いた泉の毛を払いながら、俺に近づいて来た。


「そろそろ、メイン・イベントだ。アサルト・ソルジャー。貴様を破壊する!」


言うと同時に、真ハカイ・タイガーのバンチが飛んで来た。早い。避けることができずに、


ガヅーンッ!


まともに顔面を打たれた俺は、金色の壁まで吹き飛んだ。


「相変わらず、弱いな、アサルト・ソルジャー」


そう言いながら、真ハカイ・タイガーは、俺に『殴る・蹴る』の攻撃を加える。 一方的にやられた俺は、倒れて床に這いつくばった。


その俺を踏みつける、真ハカイ・タイガー。


「どうした、アサルト・ソルジャー。もう終わりか、だらしないぞ」


「油断は禁物よ、真ハカイ・タイガー。早く、(とど)めを刺して」


ヨーコが言うと、真ハカイ・タイガーは、


「フッ、フフフ。わかっている」


そう言いながら、右足のホルダーから『大型ナイフ』を抜いた。


こうなれば『究極の必殺技』を出すしかない。これは、俺の全エネルギーを右足に集中させ、蹴りを放つ技だ。


一見、地味だが、この蹴りは『光速』を超える可能性がある。


光速を超える『物質の衝突』は、人類が未体験のため、どのような現象が起こるか予想できない。それゆえ『究極に危険』な技でもある。


だが、この真ハカイ・タイガーを倒すには、この『究極に危険な必殺技』しかないだろう。俺は立ち上がり、


「アサルト・タオキン・キック!」


その『人類未体験の衝撃』を体感した。


「◯✕▼□☆◎★◇▲◎■▽★△」


光速を超える蹴りの衝撃により、時空が歪んだようだ。目の前が真っ白になる。


『臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前』



気が付くと、俺は河川敷の少年野球のグランドに立っていた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


目の前には、バラバラになった、真ハカイ・タイガーの残骸が転がっている。その近くに全裸の知里、泉、雪が、横たわっていた。


俺が少しの間、呆然と立ち尽くしていると、倒れていた三人が目を覚まして、立ち上がる。


「ここは、何処?」


と、雪は辺りを見回して言った。泉は、俺の方を見て、


「私たちは、助かったの?」

「大丈夫、アサルト・ソルジャー」


知里は、俺に駆け寄ってきた。


『超魔女王ヨーコ』は冷凍状態で直立している。おそらく、冷凍銃が暴発したのだろう。



その後、雪は高校卒業と同時に『学生刑事』を辞めて、なぜか古いアパートの管理人となった。数年後には、そのアパートの入居者の年下の男性と結婚する。


泉は防衛庁を退職して、会社員の男性と結婚。その後は平凡な生活を送っているらしい。


知里は、その後もタレントとして活躍し、俳優の『シエロシ羊介』と結婚した。二人の馴れ初めは、知里のラジオ番組に羊介がゲスト出演したのが出会いで、後に、震災のチャリティーイベントで共演した二人は交際を始める。週刊紙の記事によれば、交際四年で羊介と知里はゴールインしたようだ。


俺は冷凍状態の洋子博士を『超魔女王ヨーコ』から人間に戻す研究に没頭した。一人で研究する俺に時間だけが流れ、時代は平成になり、やがて三十年以上が経過する。


だが、アンドロイドの俺は、歳をとらないし、冷凍状態の洋子博士も、歳をとらなかった。


そして、時代が令和を迎えた、ある日、俺は、洋子博士を『超魔女王ヨーコ』から人間に戻すことに成功する。


研究室で目を覚ます、洋子博士。俺は歓びの声をあげた。


「ついに、成功した!」

「ここは何処?」

「令和さ。俺が元いた時代だよ」

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