表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/12

第11話 真ハカイ・タイガーの脅威 前編

病院に入院した盛高知里(もりたかちさと)だが、一ヶ月もすると、退院して、芸能活動を再開する。


今日も知里は、テレビ画面の中で、元気に歌っていた。


今、知里の身辺警護は、付き人に扮している『コウモリース』が守っている。ジョッガー対策であるなら、コウモリースに任せておくのが、一番、安全だろう。


しかし、依然として、洋子博士は行方不明のままで、俺は一人、この昭和レトロな喫茶店『栗とリス』を営業して、彼女の帰りを待っていた。



そして、その日、リーゼントにサングラス、ひげ面の男が『栗とリス』にやって来た。俺が第2話で叩きのめした、ジョッガーの戦闘員だ。


「何をしに来た」


身構える俺を見て、奴は、


「待ってくれ、別に、あんたと、やり合うために来たんじゃねえ」


「だから、何をしに来たんだ?」


「実は、ジョッガーの内部で大変なことが起こったんだよ」


「それと、俺に何の関係がある」

蒔洋子(まきようこ)を知っているだろう」


「ああ、俺を造った博士だ。今、行方不明だが、お前、何か知っているのか?」


「彼女はジョッガーの超魔人になったんだ」

「な、何だと、本当か?」


「本当も何も、ここからが本題で、超魔人になった蒔洋子は、ジョッガーの首領の『Mr.ナリック』を殺害した。そして、『超魔ロイド真ハカイ・タイガー』を造って、ジョッガーの超魔人や戦闘員を皆殺しにしたんだ」


「ま、まさか」


「蒔洋子は、ジョッガーを壊滅させて、その本拠地を乗っ取ったんだよ」


「洋子博士が、そんなことを」


「オレは運良く助かったんだが、見つかれば殺される」


「それで、ここへ逃げ込んだのか」


「助けてくれよ。あんたなら、何とかできるだろう」


その時、乱暴にドアが蹴り開けられた。


ドカン!


「や、奴だ。真ハカイ・タイガーだ!」


全身銀色、頭部はトラのアンドロイドが、リーゼントの戦闘員を表に引きずり出す。


「た、助けて、頼む、助けてくれ!」


絶叫する、リーゼント戦闘員。


「うぎゃーっ、止めてくれ!」


ぐしゃぐしゃと、戦闘員の手足を引きちぎる、真ハカイ・タイガー。おびただしい血が地面に流れた。


「た、助けてーっ!」


最後は無惨に、頭をグシャリと踏み潰して殺害する。なんとい残忍さだ。


その、真ハカイ・タイガーが、俺に向かって言う。


「我々の本拠地に来てもらおう『超魔女王ヨーコ』が、待っている」


「それは、蒔洋子のことか」


「そうだ。すでに本拠地には、盛高知里も来ているぞ」


「知里はコウモリースが守っているはずだ」

「あのコウモリ女は、オレが殺した」

「な、なに、コウモリースを!」


強い。この真ハカイ・タイガーは、想像以上に強いのだろう。


コウモリースは、ジョッガーの幹部である『アップル・イブ』と上級幹部の『アダム・ドロン』を、 一人で倒した超魔人だ。それを真ハカイ・タイガーは、殺したのか。


「わかった。その本拠地とやらに、案内してくれ」


「よし、付いて来い」


真ハカイ・タイガーは、銀色に輝くオープンカーに乗り、走り出した。俺は、その後をバイクで追う。



真ハカイ・タイガーと俺は、かなりの距離を走り、山間部のトンネルに入る。そのトンネルの奥に、奴らの本拠地があった。そこは『黄金の内壁』の悪趣味な空間だ。


悪趣味な本拠地には、女豹の姿に変貌した洋子博士がいる。今は『超魔女王ヨーコ』となり、中央の玉座に座していた。


盛高知里は、コウモリースの光の十字架『リース・クロス』に、下着姿で(はりつけ)にされ、その側には、コウモリースの生首が、長剣に突き刺され、晒されていた。


「助けて、アサルト・ソルジャー」

「知里ちゃん!」


さらには『女子高生コマンドー・泉』と『学生刑事』妻藤雪(さいとうゆき)が捕らえられている。


泉は全裸にされ、亀甲縛り、M字開脚の状態で、天井から吊るされていた。その局部は剥き出しだ。


「い、泉!」

「嫌、恥ずかしいッ、見ないで!」


そして雪は、下半身だけを丸裸にされ、大きく脚を広げ、拘束椅子に固定されいる。すすり泣く、雪の傍らには『コーラの瓶』が転がっていた。


女豹姿の洋子博士が、玉座から立ち上がり、ニヤリと笑ながら、雪の頭を撫でる。


「この()、処女だというので、私が『遊び』を教えてあげたのよ」


「なんて事をするんだ!」


「じっくりと、可愛がってあげるとね。このスケバンちゃんは、ヒイヒイと声を出して、よろこんでいたわ」


「言わないで、うぅっ、うぅぅっ」


いつも強気な雪が、泣き声を漏らした。こんな雪の姿を見たのは、初めてだ。涙を流し、拘束されたまま、脚を広げ、弄ばれた局部を晒している。あまりにも無惨だ。


「気でも狂ったのか?」

「狂っているのは、あなたたちの方よ」


「アサルト・チェンジ!」


俺は赤を基調とした『全身装甲の戦闘形態』に変身する。すかさず、ヨーコが、


「動くな、アサルト・ソルジャー!」


と、知里の下腹部に銀色の銃を突きつけた。


「この銃は、すべての物質を瞬時に凍らせる冷凍銃よ。この娘を子供の産めない体にしたいの」


「や、止めろ。なぜ、そんな残虐なことを?」


「残虐なのは、あなたたちでしょう。大河さんを殺して」


「それは逆恨みだろう」


「逆恨みって何よ。私の愛する人を殺しておいて、私は、あなたたちへの復讐のために、超魔人になる道を選んだわ」


「なんてバカなことを」


「大河さんを失った、私の苦しみは、あなたにはわからない」


「だからといって、超魔人になることはないだろう」


「そうね。でも、超魔人になって、初めて解る事もあるのよ。人間は『弱くて愚か』な存在だし、ジョッガーは『どうしようもないクズ』の集まりだった。だから、私はジョッガーを皆殺しにしたのよ。人間は私が支配するわ」


「く、狂っている」

「狂わせたのは、あなたたちよ」


その時、真ハカイ・タイガーが鉄製の鞭を持ち、


「ヨーコ、対話は、それぐらいにしておけ、オレは、この牝ブタどもに、一度、殺された怨みがある」


「何をする気だ、真ハカイ・タイガー」

「フフフ。お楽しみは、これからだ」


そう言って、真ハカイ・タイガーは、M字開脚で吊るされた泉の背中を、鉄の鞭で、ぶっ叩いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ