第10話 美しき悪夢 後編
戦闘形態のまま、檻の中に閉じ込められた俺は、目の前の出来事に困惑した。
コウモリの羽を持つ女性超魔人『コウモリース』が飛来して、ジョッガーの上級幹部である『超魔男児アダム・ドロン』と幹部の『超魔女子アップル・イブ』を光の十字架『リースクロス』に磔にしたのだ。
どうやら、この仲間割れの原因は、男女関係のトラブルらしい。
コウモリースは、磔にした二人を見て、勝ち誇った表情をみせる。そして、アダム・ドロンの股間を隠す、無花果の葉っぱを剥ぎ取った。
露になった下半身を見て、
「こんなモノをぶら下げているから、スケベ女に惑わされるのよ」
と、コウモリースは腰の長剣を抜く。
「まて、待ってくれ、コウモリース。これは政略結婚なんだ」
このアダム・ドロンの発言を聞いて、怒りを顕にするアップル・イブ。
「はあ、何が政略結婚なのよ。変な言い訳をして、情けない男ね」
「悪いのは全部、この女だ。わかってくれ、コウモリース」
必死に助けを乞うアダム・ドロンを横目に、アップル・イブは吐き捨てた。
「最低な男ね」
「一番、最低なのは、ココよ」
と、コウモリースはアダム・ドロンの下半身を蔑みの目で見て、長剣で突っつく。
「まっ、待ってくれ、この女を殺そう。そして、俺と結婚してくれ」
その言葉を聞き、コウモリースは、
「馬鹿じゃないの」
呆れた表情で、長剣を刃を走らせ、スパンッ、と、彼の一物を切り落とした。
「ぎゃあぁぁーっ!」
悲鳴をあげる、アダム・ドロン。
「な、なんてことを、するんだ!」
「あなたはには、必要ないモノよ」
壮絶だ。壮絶すぎる超魔人の私刑。檻の中の俺も恐怖した。
「せめてもの情けよ。一瞬で殺してあげるわ」
そう言って、コウモリースはアダム・ドロンの心臓を長剣で貫いた。
「ぐあぁーっ」
と、一声の断末魔。アダム・ドロンは磔にされたまま、絶命したようだ。
「次は、お前だ。アップル・イブ」
コウモリースは、そう言った後、一旦、アップル・イブに背を向ける。
「先に、あなたを助けてくれあげるわ。可愛い娘」
と、知里を縛っているロープを、長剣で切断して、抱き抱える。
「爆弾を取ってあげるから、四つん這いになって」
「えっ、四つん這い?」
「恥ずかしがらなくても、いいのよ」
「で、でも」
知里は、真っ赤な顔になり、四つん這いになった。
「もっと、お尻を上げて」
コウモリースに言われて、白い尻を突き上げる知里。
「行くわよ、力を抜いて」
知里の尻に口を付ける、コウモリース。
「あっ、そんな事」
グッと目を閉じる知里。その尻をコウモリースは吸引した。
チュウーッ。
「あぁ、駄目えぇ」
切ない声を漏らす知里。さらに強く、コウモリースは吸い込む。
チュウゥゥーッ。
「ああっ、あぁぁーっ!」
知里は、四つん這いの姿勢で、身をよじった。
「んっ、取れたわ」
コウモリースは知里の体内から吸出したリトル・ガールを、口から吐き出し、掌に乗せる。
「これは、お前に返してやる」
リトル・ガールを見せながら、コウモリースは、アップル・イブに近づいた。
「や、止めろ、それは止めろ!」
磔にされたアップル・イブが喚く。
アップル・イブの股間のカップを外す、コウモリース。リトル・ガールで、その『部分』を突っつきながら、
「これは、どこに入れるんだ?」
「止めろよ、変態女」
「変態は、お前だろう。好きなのは『前』か『後ろ』か?」
コウモリースは、アップル・イブの下半身の茂みにリトル・ガールを突き刺し、
ブスリッ、
と、強引に『前』に挿入したようだ。無理矢理に入れられたアップル・イブは顔を歪める。
「痛いッ」
「何が痛いだ。ガバガバのくせに」
その言葉に、怒り狂う、アップル・イブ。
「ふざけんな、クソ女!」
「クソ女は、お前だ」
「殺すなら、早く、殺せよ!」
「殺してやるよ、馬鹿女」
「うるせえ、ドブス、早く殺せ!」
コウモリースは、アップル・イブを睨み付けながら、数歩、後ろに退き、
「ファイヤー!」
掛け声と同時に、アップル・イブの下腹部が、
バゴオォォーン!
爆発した。血と肉片が飛び散る。
光の十字架に、磔にされたアップル・イブの上半身だけが残った。凄惨な処刑だ。
全身にアップル・イブの血と肉片を浴びた、コウモリースがニヤリと笑いながら、
「まあ、こんな理由だけど、私はジョッガーを裏切ったことになる。これからは、あなたたちの味方になるわ」
こうして、俺と知里は、コウモリースに助けられた。
その後、盛高知里は、体調を崩して、病院に入院してしまった。無理もない、残忍な方法で殺されかけたのだ。精神的にも、かなりのショックを受けたのだろう。
その知里を看護師に扮した、コウモリースが警護している。彼女に任せておけば知里も安全だ。
俺の方は、とりあえず、一人で、昭和レトロな喫茶店『栗とリス』の営業を続けることにした。 この世界で生きていくにも、金銭が必要だ。何かしら働いて、現金を稼がなくてはならない。
しかし、洋子博士は、どこに行ってしまったか?
洋子博士が消えた、この世界。
独り残された俺は、まるで孤島に取り残された『漂流者』のようだ。なぜ、俺は、この世界に転生してしまったのだろう。しかも、正義のヒーローとして。どうして俺は、ジョッガーと戦う『使命』を背負ってしまったのか。