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第六話 パイロットなんて乗り物がなければ銃で死ぬでしょ

 ウォープラントから地球を救った後。

 私に宿っているというテレパシーという力の研究は、観測方法が怪獣君たちとの通訳でしか確認できないので見送られていました。

 ですが、戦闘後の博士によるユーキ君の診断はいつも通り行われています。いつもこの時は彼のプライバシーのために廊下で待っているので、少し寂しいです。なので、いつも聞き耳を立ててしまいます……。


「……博士、どうしたの? 元気ないけど?」

「はぁ? 健康状態を診断するのはボクなんだから! なに、そんなにボクのこの美貌に見とれちゃってるの~。普通にキモいんだけどぉ~!」

「だから、思い出したかのようにそのキャラやるのやめろよ。別に強がらなくても……」

「つ、強がってなんてないわよ! ボクはアンタなんかよりツヨツヨなの! はい、異常な~し! 行っちゃえ、ジロジロ見るな、エッチ、ロリコン、ヘンタイ!」

「おう、ありがとう、今日も」


 診察を終えて、ユーキ君は出てきました。


「お、お疲れ様。だ、大丈夫だった?」

「おう。モエコは、何か我慢してることない? 大丈夫?」

「え……? だ、大丈夫だよ、ユーキ君は、自分のことを考えてればいいんだよ?」

「おう、そうか、そうか……」

「……い、行こ?」


 そのあと、私たちは何気なく手を繋いで、休むことにしました。

 今日も一緒に眠ったのに、何もありませんでした……。





 次の日。

 ウォープラントは司令官から尋問を受けました。私も通訳兼記録係として、画面越しにユーキ君と博士と一緒に見ています。


「お前たち侵略者は、どのような方法で地球に来ているのだ?」

「ああ、それワームホール……って、言いたいところだけど、本当はよくわからなんだ。ただ、彼女が送ってくれているのは事実だ。母星や自宅からな……ただ、こちら側の常識が通用しない技術か能力でやっているに違いない……。あ、だが、一日に送れるのは一体だけらしいな。ワガハイの他には誰も侵略している様子の地球外生物はいなかったからな」

「なるほど。地球などの法則に基づいた方法でないから、こちら側が感知した時には、もうすでに地球に来ていると。して、他にどのような侵略者がくるか、予想は出来るか?」

「……う~ん、さあな。ワガハイもどのような者にテレパシーが送られているか見当もつかん……。だが、ワガハイたちのように強い者なのは確かだな……」

「敗北したお前たちのことは回収しに来ないのか?」

「ああ、たぶん見限られたんだろうな……。弱者には興味ないんだろう……」

「奴がどのようにして勝敗を観察しているか、わかるか?」

「いや、魔女なんだから千里眼とかそんなので感知しているんじゃないか? なんたって、魔女なんだからな……」

「そこまで全能なのか。他に、どのような能力を有しているか、わかるか?」

「……さあ。けど、何でもできるんじゃないか?」

「なるほど」




 

 尋問を終えて、司令官が私たちのいる指令室にやってきました。


「お疲れ様です、司令官」「ありがとうございます」

「ああ、モエコ、ユーキ。博士、侵略怪獣の出現頻度と間隔、奴らの進化レベルから、次に出現する時間と場所を予測してくれ」


 そんな簡単に割り出せるのでしょうか……。


「……ん。……あと、約三か月後くらいかしらね? もう四回目だから、しっかりしたデータも手に入って、予測することが出来たわ」


 さ、さすがは司令官に選ばれ、世界有数の天才や大量の量子コンピュータも認識することすらできないドフールの設計図を解析して顕現させた天才少女博士です……。


「うお、すげ。見直したぜ」と、ユーキ君。「科学を越えた力を持つ相手に追いついたじゃん。やったね」

「……。え? あ、当たり前でしょ!」

「……さて、侵略者がやってくるのにブランクがあるのは、黒幕側が戦力を集めていることに手間取っているからだと思われる。して、そのブランクが長ければ長いほど、余程入念な準備と相応の戦力を有していると思われる。敵が強力になれば、パイロットはいつ倒されてしまうかもわからない」


 その言葉を聞いて、私はゾッとしてしまいましたが、ユーキ君は平気なようでした。


「そうか。まぁ、俺は負けないけど? もっと頑張るまでだぜ」

「……。して、もしもユーキが負けた時のために、予備パイロットを確保する必要がある。モエコ隊員、ユーキ。地球を周り、パイロット候補捜索の任に当たってもらう」

「ええっ……わ、私たち、二人で、ですか……?」


 どうしよう、どこ行こう……。じゃなないです、デートじゃないんだから……。

 もしかしたら、死んじゃうかもしれないパイロットを探すことに、ユーキ君を付き合わせるなんて……。


「あ、あの、ユーキ君にもしもの時があるかもしれないので、パイロット候補捜索は、私だけで……」

「え、一緒に行こうぜ。俺の代わりになってもらうかもしれない人にも会いたいし、どんな感じなのかは、現パイロットの俺が話した方が説得力あるだろ?」

「……そういうことだ。博士、予算と人員を出す。ドフールの装備の製造、ドフール二号機の開発を頼む。……すまないが、お前たちの命をくれ。世界のために」

「しゃ、了解!」「り、了解……」「……はい」


 そう言うと、司令官はまた各所に出張しに行ってしまいました……。


「へへ、なんか司令官、前よりなんかフレンドリーになったか?」

「え、あ。そう言えばそんな気がしなくも……ん? は、博士?」


 博士を見てみると、彼女は泣いていました……。


「博士、どうしたの? 一緒にパイロット探しの旅に行くか?」

「何言ってんのよ! バカ、ロリコン、二人でどっか行っちゃえ!」


 思わず止めようとしてしまいましたが、博士は走って研究室かどこかに行ってしまいました……。


「……やっぱ、俺じゃだめだな。しゃあねぇ、司令官まだいるかな?」

「いると思うけど……。あ、じゃあ、案内するよ」


 私は博士とユーキ君のために、私しか知らされていない司令官の執務室に案内しました。秘密基地のさらに秘密の部屋です……。機密事項の一つです……。

 それを思い出して、私はハッとしてしまいましたが、時すでに遅し、ユーキ君は執務室の扉をノックしていました。


「司令官、ユーキです。入室してもよろしいですか?」

「……。ああ、入れ」


 まずいです、絶対怒ってます、パイロットの次に重要人物の司令官の居場所を話してしまいました……。

 いくらパイロットのユーキ君とはいえ、許されないかもしれません。いえ、確実に許されません。ですが、ユーキ君も博士のために、何か考えがあるはずです。


「司令官、お願いがあるんですけど、よろしいですか?」

「なんだ?」

「励ましてあげてくれないでしょうか、博士を。なんか、ドフールのこと複製とか量産とかできないから落ち込んでいるみたいでさ。俺はともかく、おじさんって呼ばれてるくらい親しい司令官なら何か言ってあげられるんじゃないかなと」

「……。お前は、自分の代わりに生贄になってもらうかもしれないパイロットを探すという、重要な任務を遂行しなけらばならない。なのに、なぜ自分より目上の者を心配しているのだ?」

「だって、俺は死なないし、誰も乗らせないから。ドフールは俺専用機だぜ」

「ユーキ君……」と、私はつい呟くように彼を見つめてしまいました。

「……」

「それに、もしもの時は、モエコも博士も司令官も、あと、見当たらないけど、他の隊員さんたちもいるしな。必ず勝つし、負けねぇよ。予備パイロットさんも、新しい友達で、俺の代わりもいるって思うと安心できてさらに力が発揮できる気が済んだわ」

「……。了解」


 そう言うと司令官は、廊下をトボトボと歩いて研究室に向かっている博士に声を掛けました。私とユーキ君は物陰から見守ります。


「エメラルド」

「あ、お、おじさん……」

「ユーキから話を聞いた。悩んでいるそうだが、どうしたのだ?」

「ぼ、ボク、最近役に立てたないし、ドフールを量産できないし……モエコのテレパシーもアイツのことも分からないし、力不足かなって……」

「そんなことはない。教授が残した暗号や資料を解析できたのは博士だけだ。そして、ユーキを見つけ出す探知機を作り出せたのも君だけだ。自分が彼に比べて普通だからと、落ち込む必要はない。彼が世界を救うことが出来るのは、君のおかげでもあるのだ」

「そ、そうよ、アイツが特別だったから、今まで大丈夫だったのよ! だけど、ボクは何もできてない……。アイツがドフールを操縦しても死なない理由はボクでもわからなかったし、アイツがそんなこと、考えたくもないけど、やられた時は、死んじゃった時は、後任のパイロットは死んじゃうかもしれないし……そ、それに、二号機だなんて……ボク、作れるかわからないよ……ボク、全然ツヨツヨじゃない、ヨワヨワだったんだ……」

「は、博士……」


 私はもう我慢できず飛び出してしまいましたが、その後どうしたらいいかわからず、ただ博士に寄り添って、背中を撫でてあげるだけしかできませんでした。

 すると、博士は年相応の子どもみたいに抱き着いて、胸に顔をうずめてきました……。そうだ、博士も子どもだったと私も思いました……。


「ならば博士、ドフールを複製する必要はない。君がドフールではないモノを、一から作るなり、何か考えればよい」

「い、一から……そんな、そんなこと……それでこそ、教授じゃないんだから……」

「教授が残したものからではなく、博士が考えた設計図などから作ればいいのだ。そして、本当にわからないことがあれば、その時に教授が残したものを参考にすればよい。教授の残したものをそのまま再現する必要はない。博士なら、ドフールではなく、オリジナルの対侵略者の発明品を、作れると、私は思う」

「ぼ、ボク……ぐす、わ、分かってるわよ! ボクなら、ドフールもアイツももう戦わなくていいくらいのツヨツヨ発明品を作ってやるわ! だから、モエコ犬!」

「え、は、はい⁉」

「アンタは安心してボッチのアイツのために、お友達を探しに行きなさい!」

「博士……わ、わかりました!」

「じゃ、ボクはさっそく研究開発しないとだから! 覚悟しときなさい!」


 そう言うと、元気を取り戻した博士はトコトコと走って、研究をしに向かいました。

 その様子を一緒に見守っていた司令官が一瞬微笑んでいるような気がしました。


「ありがとうございます、司令官。俺のわがまま聞いてもらって」

「……。他人のためのことが、なぜ、わがままになるのだ?」

「ああ、確かにそうかも。あと正直に言いますけど、今まで司令官のことすごい怖い人かと思っていましたが、優しい人だったんですね。俺とあんまり話してくれなかったのも、パイロットにしたこと、責任感じててくれてたんですよね? だから、変なプレッシャーとか与えないようにしてくれてたんでしょ? 正直、ありがたかったです」

「……」

「だから、司令官が責任感じた分も頑張りますよ」

「……。そうか。では、これからも世界を頼んだぞ」

「はい! ……あ、そうだ、俺もおじさんって呼んでいいですか?」

「ユーキ君⁉ い、いくら何でも……」

「……」

「……。すいません、調子に乗りました、はい」


 司令官はその謝罪を聞いて呆れたように首を振ると、今度こそ出張に行きました。

 ああ、怖かった……って、済ませちゃダメですね。ここを指揮してくれて、私たちにお給料やお仕事をくれているのは司令官なのですから、感謝しないと。けど、やっぱり怖い!


「……。もしかして司令官、俺のこと嫌い?」

「え、いや、そんなことないと思うけど……」

「いや、だけど、仕事とプライベートは区切らないとな。必要な時以外あんま関わらないことにするぜ。その方が司令官もお仕事はかどるだろ」

「ええっ、そ、そんな寂しいこと……」

「いやだってさ、世界救うような職場で俺みたいな馴れ馴れしいヤツ、俺もイヤだし」

「ええっ……。わ、私はそんなユーキ君だからいいのに……」

「マジ?」

「うん……。あ、いや、そ、その、は、博士のこと見に行こう? やっぱり心配だし」

「お、おう……」


 どうしよう、また気づかぬうちにヘンなこと言ってしまいました。それに、博士を言い訳みたいな扱いしちゃいました。

 心の中で謝ろう。ごめんなさい……。





 そのあと、ユーキ君と一緒に博士の様子を見にいきました。

 基地の一番地下にある、怪獣施設に、新しい仲間が加わっていました……。


「お、おい、やめろ! そんなにすぐに出せん!」

「ほらほら~、世界中にあんなにいっぱいばら撒いたんだからもっと出せるでしょ! はいはいっ、頑張れ、頑張れ~! ドバドバ、ビュッビュ~!」


 早速ウォープラントさんの強力な生命力を解析しようと、まだ種から芽が出たばかりの彼から花粉のような資料を採取しようと、ロボットアームなどの機械で弄っています……。


「アハハハハッハハハ、どうだ、ぼくの苦しみを思い知れ~!」

「……。おい、津波野郎、お前そんなキャラだったか?」

「ビギャ。年上なのに後輩みたいなヤツができたからイキってんだろ」

「何笑ってんのよ、アンタたち! アンタらにも付き合ってもらうからね!」

「えええっ⁉ ぼ、ぼく、ただでさえ忙しいのに……!」

「おれなんかここを熱で動かしてんだぞ! まだ付き合わせる気か⁉」

「ビギャ~! オレサマは事務作業とか、そう言うのもあるんだぞ!」

「うるさい、ザコザコ怪獣ども! アンタたちの存在価値と生存権はボクによってもたらされてるんだから、言うこと聞きなさい! イイ子にしてたら、ペットに昇格してあげるから!」

「おい待て、今の状況がペットじゃなかったら、今までなんだったんだよ!」


 博士が元気になったようでよかったです。怪獣君たちには悪いけど……。


「おう。このままでも大丈夫そうだな! じゃあ、お前ら、博士のこと頼んだぜ!」

「はぁ⁉ ボクが面倒見てるの!」

「ああ、どこにでも行っちまえ」

「ザコザコザウルス、アンタも承諾するな!」





 私たちが荷物を持って、ハイテクカーに乗り込もうとしたその時でした。


「……⁉」

「どうしたの、モエコ? 頭痛いんか?」

「な、なにこれ……」


 寒い。悪寒がする。すごく怖い。なのに、それを発しているのが何なのか、わかってしまいます。知りたくないのに、知ってしまいます。

 どこかで、怪獣が暴れようとしています。しかも、今までのような巨大な怪獣ではなく、等身大で、たくさんいる……! ウジャウジャと蠢いています……!

 警報音はなっていません。彼らが地球上ではありえないエネルギーを放出して暴れまわっていないから、探知できないのでしょう。まだ何も起きていません。

 ですが、彼らが何かをしようとしている悪意は確かに感じます。

「ゆ、ユーキ君! ど、どうしよう、怪獣が来ちゃった、しかも、ち、小っちゃくて、た、たくさん……いっぱいいる……軍隊みたいに……」

「……。分かった。けど、探知機でも探し出せないくらいに小さいんだよな? 一緒に来てくれないか? 司令官にも知らせておいて」

「う、うん!」


 あれ? 司令官、出張中で基地にもいないし、情報漏洩防止のために、基地からの端末じゃないと連絡できなかったんじゃ……?


「ありがとう、行こうぜ!」

「え、あ、ちょっと!」


 ユーキ君はヒーローの変身シーンのようにあっという間にパイロットスーツに着替えて、私を持ち上げてドフールの元に走って行きました。

 ……ちょっと待ってください、あの狭いコックピットに二人で、しかも、せ、戦場に⁉

 そう考えて頭の中をぐるぐるさせている間に、私たちはドフールに乗り込んでいました。


「あ、あれ? 操縦席、こんなに広かったっけ?」


 それどころではありません。質量保存の法則を無視して、コックピットの中にドーム状の全面モニターが展開されており、一部屋くらいの空間が広がっていたのです。戦闘機のそれと同じくらい狭かったはずなのに、ピョンピョン動き回ったり踊ったりしても余裕なほどの広さです。

 さらには、その床から、完璧なシートベルト付きで座り心地がよさそうな椅子が、水面から浮かび上がるかのようにヌッと出てきました。

 ユーキ君はそこに私を座らせると、丁寧にシートベルトを締めてくれました。

 ……私は子どもですか、それくらいできるのに……。


「俺が家具職人のところでお世話になってた時に設計したヤツなんだ」

「そ、そうなんだ……って、ちょっと待って! こ、ここ、ど、どうなってるの⁉」

「いや、もっと感覚的に動かせたら強くなれるんじゃないかと思って、ドフールに念じて見たら、俺の体の動きに合わせて動けるようにしてくれたんだ。あと、適合者のパイロットさんに合わせて変わるようにもなってると思うぜ」

「す、すごい、いつの間にそんな……」

「よし、じゃあ、しっかり掴まっててくれ!」


 コックピットのハッチが閉まると、ついに私も搭乗しているドフールは発進しました。


「それで、どこから感じるの?」

「う、うん……えっと……」


 私が侵略者の気配を感じる街を思い浮かべると、全面モニターにその街の位置が映し出されました。


「え、な、なんで⁉」

「モエコが街のみんなを思いやってるから、きっとドフールも反応してるんだろう」

「あ、あのさ、前から思ってたけど、その、ドフールは思考を力に変える機械なんだよ? だ、だから、その、えっと、ドフールが私の考えていることを映し出したりしちゃうのは……もしかして、その……」

「おう。俺なりにモエコのこと、理解したいなって思っててな」

「ゆ、ユーキ君……。ありがとう。うん、連れて来てくれてありがとう。私、オペレーター、頑張るね!」

「おう、これからもよろしく。今日は戦場に連れ出しちゃったけど、絶対危険な目には合わせねぇから! モエコもみんなも!」


 そう言っているうちに、ついに問題の街に辿り着きました。

 地上から、空を飛んでいるドフールの姿に気づいて見上げたり、端末のカメラを向けている人々が見えます。

 彼らの困惑と驚愕の感情をたくさん感じました。そして、それ以上に、凄まじい人数の悪意を感じます。本当にこの街を、いえ、世界を乗っ取ろうとしているようです……。街の人口よりは少ないはずなのに、こんなに強力な悪意を放っているなんて……。


「ああっ、い、いっぱい……」

「モエコ、奴らが考えていることわかるか? 逆探知されないように、ドフールの思考制御機能でガードしてみる。そうすれば相手から乗っ取られることもないだろう」

「う、うん。やってみるね!」


 私はその身の毛もよだつくらいに邪悪な気配に感覚を研ぎ澄ませました。敵のことを知らないと……。どんな姿をしているのか。

 すると、私はテレパシーと共に新たな能力を目覚めさせていました。千里眼です。肉眼では見えないはるか遠くや別の場所が見えてしまう魔法の目でした。

 その千里眼で彼らの姿が見えました。

 街中の人気のないところで、各部隊に分かれて蠢いていました。彼らは人型の二足歩行を獲得した虫を彷彿とさせる姿をして、見たことがない形の武器で武装していました。

 私が見たその姿は、ドフールの全面モニターにも映し出されています。


「へぇ、昆虫類が文明を持つほどに進化したら、ああいう感じになるんだろうな。博士みたいに名付けるなら、虫型宇宙人マンバグズ」

「……⁉ マンバグズ、行動開始、侵略活動をするために、街中に散らばっています、数えきれません!」


 私はついいつもの調子で言ってしまいました。

 彼らは完璧な軍隊のような統率で、まるで働きアリが地下に巣を掘り進めるかのように、地下世界を巡って、街中の配置についてしまいます。


「よし、第一部隊はそっち、第二部隊はあっちだ! 散らばれ! この街の知的生命体どもを全員捕まえて奴隷にしてやるのだ!」


 このままだと、無数のマンバグズの軍団に、街が侵略されてしまいます……!


「ねぇ、俺の考えていることもアイツらに伝えられないかな?」

「私とドフールを通じて? どうだろう、だけど、どうして?」

「街のみんなの避難が完了していない。アイツらが何かやらかす前にこっちにはお前らを余裕で倒せる方法があるって警告すれば、諦めるかもしれん」

「……うん、わかった!」


 私はユーキ君の声に耳を澄ませて、マンバグズたちに伝えるように念じました。

他の怪獣たちの声も無意識で通訳できたのです。ですから、個人相手なら通訳することもできるでしょう。ですが、相手は等身大とはいえ軍団です。集中しないといけない気がします。


『お前ら、聞け!』

「うお、なんだ⁉」

「頭の中に声が聞こえたぞ!」

『俺はこの地球を守っているロボットのドフールのパイロット、ユーキだ!』

「おい、空に何かヤバいのがあるぞ!」

「なんで言わないんだ! こんだけいてなんで誰も今の今まで気づかないんだ!」

「だって、ここ、地下だぞ!」

『お前らが何人でかかろうと、このドフールがお前らを止める! 諦めてどっか行け!』

「ふざけんじゃねぇぞ、下等な哺乳類が!」

「あんな空飛んでる鉄くず人形、アタイたちが数でかかればどうということないだろ!」

「そうだ、戦いは数だ!」


 すると、マンバグズたちはついに地上に飛び出して、人々に襲い掛かろうとしました! 彼らの恐ろしい姿と、何より気配で感じる明確な悪意を感じるなり、人々は混乱して逃げ回ります。


「ムシシシ!」

「この地球をおぞましく這いまわってやるぜ!」

「全部おれたちのもんだ!」

「マンバグズ、地上に出現! ど、どうしよう、街のみんなが……」

「モエコ、あいつらの正確な位置、わかる?」

「え、えっと、うん、やってみる!」


 なんとなく頭に両手をかざして、もっとテレパシーを正確に操ろうとしました。

 そして、彼ら一体一体を感じ取ります。みんな、バラバラに動いているように見えて、一つの群れで一つの生き物のような統制が取れていました。

 こ、こんな完璧な軍団に勝てるのでしょうか……? ううん、ドフールを操るユーキ君なら出来るはず!


「ユーキ君、わかったよ!」


 するとドフールの全面モニターに、私が感じ取ったマンバグズたちの位置を示す、赤いマーカーが映し出されました。

 それはあまりの数で全面モニターを真っ赤に埋め尽くしてしまうほどでした……。絶望的に眩しくて、目をそらしてしまいます……。


「うっ……や、やっぱり、数が多すぎるよ……」

「俺、博士からはネーミングセンス以上に学んだことがあるんだ。演算だぜ。どうすればああなるとか、こうすればああなるとかな。計算で導き出してやるんだ。この世界のいろいろな現象はいろんな計算で解き明かして解決することが出来る」

「……? ユーキ君、何をするつもりなの?」

「人と建物の位置、敵の数、原子構造、射程、温度を計算に入れて、算出する……。……計算完了。やってやるぜ」

「ユーキ君?」

「仕上げに、思考力向上のためにネーミングセンスを。くらえ、敵だけやっつける光線、ジャスト・アタック・トゥ・エネミーズ!」


 すると、さっきまでただ直立で街の上を浮遊していたドフールが、バッと何かに掴みかかるように両手を広げて、その手の指を何かをひっかこうとするかのように曲げました。そしてその指先から、無数の光り輝く光線が、花火か噴水のように放たれました!


「ムシっ⁉」

「な、なんだ⁉」

「あいつ、街ごと、おれたちをやる気が⁉」

「むし~⁉」


 マンバグズたちはドフールの指先から放たれた光線に当たって、次々と倒されていきます……!

 それだけではありませんでした。光線は人々や街の建物など、守るべきものは避けているのです。そして、たとえ当たったとしても無傷で何の異常も感じません。マンバグズたちに捕まった人々諸共光線が放たれていたところもありましたが、人質は無事、マンバグズだけが倒れていました。

 すなわち、人々も街も無傷なまま、マンバグズたちだけをやっつけているのです……。

 マンバグズたちはあまりの激痛に悲鳴を上げているようでした。


「理不尽だ~!」

「いて~!」

「こんなのありか~!」

「どんな構造してんだよ!」

『どうだ、思い知ったか! わかったら早く母星かなんかに帰れ!』

「ふざけんじゃねぇぞ!」

「おい、ちょっとまて!」

「あ、ただ痛いだけじゃねぇか!」

「お、本当だ!」

「死んではいないぞ!」

「アイツ、ただケガをさせるだけで殺すほどの威力はねぇんだ!」

「しかも、おれたちは頭がなくなってもすぐ生え変わるほどの治癒能力がある!」

「このまま再生しながら数で押し込んでやろうぜ!」

『だが、痛いことには変わりないだろ?』


 そう言うと、ユーキ君はさらに容赦なく、その敵だけを倒す光線をドフールで放ちました。

 その間に、人々はなんとか避難しているのを感じました。街は謎の光線で悶えているマンバグズ、野良猫や鉢植えや街路樹などの動植物だけになってしまいました。

 激痛の光線に当てられて悶えているマンバグズたちの目の前を、野良猫が背伸びとあくびをして悠々と通って行きます……。それを彼らは見ていることが出来ませんでした。


「ふ、ふざけやがって~!」

「痛み云いより、これの方が屈辱だ!」

「なんであっちの都合よくおれたちだけなんだ!」

「もういい、ネコ一匹でも破壊してやる!」

『なんだと、このザコ虫ども!』


 すると、ユーキ君は死ぬ寸前くらいに明らかに威力だけを高めてさらに大量の光線を放ちました……。ものすごく怒ってます……。


「ぎゃ~⁉」

「なにしやがる!」

「ネコの時じゃなくて、人間の時、怒れよ!」

「人間よりネコの方が大事なのか⁉」

『ネコも人間も同じくらい大事だろうが! ……あ、けど、俺は博士の方が可愛いと思う』

「……え? ゆ、ユーキ君……? その、やっぱり博士みたいな小さくて可愛い女の子の方が……と、年下の方が好きだったり……」

「お、お前が一番ヤバいやつじゃねぇか!」

「嫌いよりよっぽど危険な奴だぞ!」

『なんだと、マジで悪意から殺そうとしてるお前らより何倍もマシだろうが~!』


 ドフールは容赦なく、地球の大地の上に散らばっているマンバグズ全員に死なないけど激痛が走る光線を当てて行きます……。


「ゆ、ユーキ君……その、殺すのイヤなのはわかるけど……」

「こいつらが帰るまで俺たちは光線をぶちまけ続けてやるぜ……!」


 ユーキ君、顔怖い! 戦ってるとき、いつもこんなだったっけ……。

 こんな表情をして怒りを攻撃という形で露にして、敵を必要異常なほど苦しめているなんて……。こんなことさせてるのは、私なんだ……。

 ごめんなさい、ユーキ君、マンバグズのみんな……。

 みんな全員にそれぞれの都合があるのはわかるけど、やっぱり、こんな戦いにもなっていない悲しい状況、イヤだよ……。


「お、おい、モエコ。大丈夫? 泣いてるのか?」


 ユーキ君は敵に対して怒りながらも、私の方を振り向きました。

 まだ敵に対して怒っているのに、それを私に対する心配と両立させてる……。

 けど、やっぱり残酷なほどの怒りを抱えてます……。


「モエコ、あんな文字通りの虫けらどものことなんざ気に掛ける必要ねぇぜ!」


 私も気づかないうちに、泣いているようでした。こんな時に……。マンバグスたちのことも気になりますが、一番はユーキ君に決まっています!


「ゆ、ユーキ君! も、もういいよ!」

「えっ……?」

「ゆ、ユーキ君の、そんな顔も行動も……見たくないよ……。ご、ごめんね、こ、こんなこと、させちゃって……ご、ごめん……」

「いや、あれは、俺がやってることだし……」

「よし、今よ! ワラワの可愛い子どもたち! やりなさい!」


 そんな怒声にも似た女性のヒステリックな声がテレパシーで聞こえてきました。

 せっかくユーキ君が話してくれているのに、思わず分析してしまいます。

 虫と言えば蟻、蜂……。群れのリーダーである女王がいます。

つまりはマンバグズにも、彼らの上に立って統率している女王がいるにちがいありません!


「ご、ごめん、ユーキ君! あ、あの……」

「ああ、俺にも聞こえたぜ! どこかにバグズクイーンがいる!」

「探してみるね!」


 私はその声を頼りに、まだ光線の痛みで悶えているマンバグズたちの気持ちをさらに探って、その気持ちの奥底にある忠誠心を感じ取りました。


「くっそ、ふざけやがって!」

「おれたち全員でかかるぞ!」

「圧倒的な力も数には……!」


 ドフールとユーキ君にあんなにやられたのに、まだ立ち上がれるの? 

 怖がるどころか、すごい怒ってる……。

 だけどごめん、地球を渡すわけにはいきませんから!

 そして、ついに見つけました。彼女は地下世界から指示を出していました。

 千里眼とテレパシーで、マンバグズの女王の姿と思考を確認します。

 恐ろしい姿をした眷属や子どもたちとは違い、彼女は異形ではあるものの、人間と昆虫が程よく混ざり合った、美しいとも思える姿をしていました。


「誰だ! どこから見ている! よくもワラワの子どもたちを~!」


 けど、怒った顔はものすごく怖いです……。

 どうしよう、早く沈めないと。きっと、彼女の怒りに呼応してマンバグズたちも戦意を保っているに違いありません……。


「彼女が怒っている限り、ずっとあのみんなも戦い続けると思う!」

「了解、彼女を止めればいいんだな!」


 すると、ドフールの光線を放っている手が外れました。手と体が分離したのです。

そして、分離された手は浮遊したまま光線を放ち続けてマンバグズたちを抑え込んでいます……。


「そんなことできるの⁉」

「やろうと思ったらできたぜ! さて、女王様には足技を思い知らせてやるとするか!」


 私が驚愕し、マンバグズたちが光線で悶えている間に、ドフールは女王が潜んでいる地面の上に浮遊しました。


「よし、ドフールズフッドリル、変形!」


 その掛け声とともに、ドフールの足が機械工学とかそう言う類の法則を無視して、巨大なドリルに変形してしまいました。

 さらに、ドフールはそこから勢いよく飛び上がって、蹴りつけるかのように地面に両足のドリルを突き刺しました。そして何メートルも潜って、あっという間に地下世界に辿り着いてしまいました……!

 そこは、まさに巨大になったアリの巣のようで、一昔前の地下都市のように文明が発展していました。いつの間にこんな所にまで掘り進めていたのでしょうか……。

 いろいろな種類の虫が進化したかのように思える独特で可愛らしかったり、カッコよかったり、やっぱり怖かったりする容姿を持つ、たくさんのマンバグズたちが驚愕した視線を送っています……。


「邪魔するぜ~!」

「もう入っちゃってるけどね……」

「ムシキキキイイイイイイ! お前~! ワラワたちの帝国に土足で踏み入れるな~!」


 そこに、マンバグズの女王であるバグズクイーンがやってきました。

 いわゆる庶民と同じところに、しかも、敵の目の前に自ら……! 

 一体、どんな強力な力を持っていて、最前線に表れたのでしょうか? 警戒しないと!


『おう、ずいぶん民衆と距離間の近い女王様だな。感心するぜ!』

「お前の関心なんていらない、キモい! 私は碌に戦う能力もないのにここまでやって来てやったぞ! そんな超兵器に頼りやがって、ふざけやがって! よくもワラワの優秀な子供たちにして可愛い兵士たちを! それに、まだ侵略っぽいことしてないだろうが! あんなにウジャウジャワラワラいるんだから、一人くらい殺させろ!」


 ものすごい勢いでまくし立てている上に、頭の中に憤慨の感情と一緒に響いてきて、頭痛がします、苦しいです……。


「ううっ……」

『あ、モエコ! 許さんぞ、この侵略大好き女め! それに、まだってことはこれからもっとヤバいことやるつもりだったんだよな?』

「そうだ! 魔女様にはここを征服したらパワーと一緒に明け渡すと言ったが、あれはウソ! 地球もそこに住んでいる奴らも全てを喰らいつくし、また次の星を征服する! そうやって我々の種族は先祖代々繁栄してきたのだ! だが、ワラワたちは既に惑星文明レベルまで到達させているほどの文明を誇る! なのに、なぜ侵略するのか? それは楽しいからだ! 圧倒的な数の暴力で弱者を惨たらしく蹂躙してやるのが楽しいからだ! そう、お前らを征服することなど、ただの遊び、だが、本気を出したらどうなるのか……」

『……やっぱり悪者じゃねぇか! 一瞬でもよさげな指導者だと思わせたのを呪うぞ!』

「うるさい黙れ、まだ喋ってるだろ、この乳房とかいう脂肪の塊をチューチューして育った気色悪い生物が進化しただけの変態野郎が! その無駄にデカい超兵器から降りてきて正々堂々と勝負しろ!」

『よし、わかった、そこで待ってろ!』

「え、ま、まって、ユーキ君⁉」

「これが終わったら、地下世界から脱出する冒険映画見ながら、一緒に寝落ちしようぜ」

「……う、うん。え、ほ、本当に行くの⁉」


 すると、本当にユーキ君は地上、というより地下に広がっている街にいる、忠実な民衆たちの中心にいる女王の元に降り立ってしまいました。敵が大勢いるのに!


「ユーキ君! そんな怒っている女王のところに行ったら……ん?」


 コックピットのワイヤーで降り立ったユーキ君と、向かい合うバグズクイーン。

 その心には、怒りではなく、どこかでいつも身近に、私もユーキ君に対して同じように感じているような感情が芽生えていました。


「うわ、マジ、バッカクソイケメン……⁉」

「おう、ありがとう。アンタも近くで見ると独特で毒々しい美しさと可愛らしさがあるな」

「へへ、ありがとう! あ、えっと、よかったら、ワラワとその……」

「え、いや、それはやだ」

「ガーン……⁉ そんな、い、今まで連れ込んできたオスは、ホイホイだったのに……」

「いやそれは、アンタが女王だからだろうが。宇宙人の上に、なにより侵略が好きな悪女となんてしねぇわ。もし侵略をやめてくれるなら、しないこともないかもだけど?」

「な、なに⁉ わ、わかったわ、ワラワの兵は撤退させよう……」

「え、ええっ……?」


 私が驚愕しました。聞き間違い、いえ、感じ間違いではありません。女王は本気です。


「お、戻ってきた、おかえり~!」


 すると少しもしない間に、地上からフラフラになったマンバグズ兵は地下世界へと撤退してきました。


「なんで、あそこまで耐えたのに撤退……」

「陛下には何か考えがあるはずだ」


 マンバグズ軍の兵士たちは、フラフラになりながらも女王に忠誠を誓っていました。


「へへ、本当に帰らせてくるとは思わなんだな……」

「はいはい、この通り、撤退させました~! と、いうわけで~、イケメン君、シない?」

「やめとけやめとけ。俺の遺伝子取り込んだら、お前らの子孫がここにいるちょっとカッコイイ容姿じゃなくなるぞ」

「え、な、なに、ワラワたち、この惑星では、ワラワたちカッコいいのか?」


 何かがおかしいと、私は感じました。バグズクイーンの声は本当に官能的で、ユーキ君のことを好いているように感じましたが、私が感じる気配からは邪な感情が混ざっているように感じます……。

 ですが、ユーキ君はそんなバグズクイーンと話を続けています。


「うん、悪くはないと思うぜ。だから、その身体を傷つけないように戦うのやめない?」

「わ、わかった、お前ほどのオスが言うのだからそうなのだろうな……」

「……ハッ、ユーキ君!」


 私はドフールの中からつい叫んでしまいました。バグズクイーンが何かしかけてくる気がしたのです。

 そして、予感は的中しました。背を向けたバグズクイーンのお尻から、サソリを彷彿とさせる巨大な毒針が襲い掛かってきたのです!


「くらえ、おっぱいチューチューマンめ! ワラワの催眠用、保存用、抹殺用、等々様々な用途に調整できる毒を喰らって、子作り要員兼非常食にしてやるわ! ム~シッシ~!」

「攻撃が届くまでのセリフがなげぇ!」


 ユーキ君は護身術を応用した技を放ち、振りかざされた巨大な尻尾を掴み上げると、その先にいたマンバグズたちの上に彼女を投げ飛ばしてしまいました。

 また私が教えた白兵戦と格闘術、なんかすごいことに昇華してる。

 ……フフ。


「おう、約束通り一対一で勝負ってことだろ? かかって来いよ?」


 ユーキ君の戦意は凄まじかったのですが、バグズクイーンは大人しい様子の慈愛に満ちた様子で自分が下敷きにして気絶させてしまった民衆を助けていました。


「……あ」


 私も気づきました。バグズクイーンの尻尾の毒針が折れていたのです。それによって彼女は毒気が抜けて戦意が消失してしまったのでしょうか……?


「あ~……。ねぇ、もう侵略とかしねぇよな? 大人しくしてるんだよな?」

「はい、ワラワはこれまでの行いを悔い改めることにいたします。大変申し訳ないことをいたしました。何なりとお申し付けください。ワラワたち種族全員でこの罪を償います。なんなりとお申し付けくださいまし……」

「う~ん、とりあえず貸しにしておくぜ。なんかあったらよろしく」


 しかし、バグズクイーンは諦めても、周りのマンバグズたちは許してませんでした。


「ちょっと待ってください!」

「女王様がよくても、我らは納得できません!」

「そうだ、コイツが悪い!」

「女王様の戦意がなくなったのはコイツのせいだ!」

「全員でぶっ殺してやれ!」

「誇りなんて知るか!」

「勝てばいいのだ~!」


 そう叫びながら、光線銃などのハイテク兵器で武装したマンバグズの兵士たちが、たった一人のユーキ君を取り囲みました。


「ゆ、ユーキ君……⁉ ど、ドフールさん、お願い、動いて……!」


 ドフールは反応しません。

 こんな卑怯者の私の言うことなんてやっぱり……。

 生身でバグズクイーンを倒したユーキ君ならどうということはないと思いますが、やっぱり心配でした。今度こそやられちゃうかも……。


「お前らマジで虫けら並にしつこいし、しぶといな……」

「虫なんだからそうに決まってるだろ!」

「何を見てたんだ、てめぇ!」

「群がって食い殺してやる!」

「お前に特殊薬物ぶち込んで標本にして夏休みの自由研究にしてやる!」

「そうはさせるか~!」


 その聞き覚えのある可愛らしい声とともに、どこからか熱線が飛んできて、マンバグズの触角を斬り落としました。しかし、またそれは生え変わりまず。


「アチッ⁉」

「なんだ⁉」

「あれは当たったら普通に死ぬヤツだぞ!」

「なにすんだ⁉」

「俺じゃねぇよ!」

「そこまでお怒りにならなくてもいいじゃないですか……私の可愛い子どもたちに……」

「おう、女王様、アンタ、母性はそのままなんだな、なんかよかったぜ」

「ボクのことを気にしなさいよ! ……たぁ!」


 すると、ドフールが掘った天井にある地上へ通じる穴から、その声の主はカッコよくやってきました。

 天井から氷の滑り台ががグルグルと伸びてきます。それに手を上げて楽しそうに滑って跳び出し、クルッと身をひるがえしてスタッと着地、どこかで見覚えのあるドラゴンのような怪獣を模した熱線銃を構えたのは、やはり博士でした。


「おう、博士、来てくれたんだ!」

「そうよ、勝手に出撃するウルトラザコとモエコ犬のためにね!」

「またなんか来たぞ!」

「子供じゃねぇか!」

「知恵をつける前に根絶やしにしてしまえ!」

「もう、文字通りのヨワヨワザコウジ虫たちが、みんな揃ってこんなにかわいいボクに、寄って集っちゃって~。ふん、ネズ公、あいつらの武器、ショートさせちゃって!」


 そう言うと、博士がかざしたブレスレットの中から、ホログラムのワットラット君が映し出されました。そんな小さな端末に、どうやって彼を閉じ込めたのでしょうか……。


「ビギャ、この虫けらども、お前らまだそんなことしてたのか、くらえ!」

「ムギャ~……ん? あ、あ~⁉」

「マジで光線銃が使えなくなったぞ!」「ふざけやがって!」

「つか、あれって、母星に文明もたらしてくれた電子生命体じゃないか⁉」

「あ、女王様のご先祖様が呪術でファーストコンタクトして、文明の啓示を受けたって言う!」

「おれもゼミで習った! てか、母星の壁画、校外学習でも見た! そっくりだぞ!」


 ワットラット君は、自分がテクノロジーの最高峰の存在であることを活かして、様々な惑星に影響を及ぼしていたようです……。


「なんだよ、ネズ公。お前そんな立派で超文明を持つ高度な宇宙人っぽいことしてたのかよ」

「ビギャいや。それもオレサマよりもっと上の高次元生命体の方に、仕事で頼まれたからで、オレサマ自らやったことじゃないんだ。そうだな、あれは五億年くらい前……」


 仕事を終えたワットラット君は興味津々な様子のユーキ君に語り始めました。


「種族規模の恩人よりも女王様の方が大事だ!」

「まだこの体がある!」


 そんな様子のマンバグズたちを、博士は臆せずにまるで品定めでもするように見ました。


「ふうん、へぇ。アンタたちのその姿、本当の姿じゃないでしょ? その大げさでオスガキ趣味丸出しのデザイン、抜け殻とか蛹で作った生体アーマーでしょ?」

「だ、だったらどうした⁉」

「カッコいいだろ!」

「宇宙中で怖くて評判なんだ!」

「やっぱりそうなんだぁ~、ふぅ~ん。一体どんなヨワヨワでなっさけな~いダサダサな顔が隠されているのかな~? ふぅ、はぁ、そう言えばなんか暑くない?」

「ねぇ、博士、本当に汗だくだけど大丈夫?」

「お、さすが、男子だね。汗でスケスケで輝いちゃってるボクのエッチな姿を見逃さないなんて。ふふん、もっとすごいの見せてあげようか?」

「うん、お願い」

「お前ら、マジで敵の前でどんな話してんだ⁉」

「お、おい、なんか変だぞ⁉」


 その瞬間でした。ドフールに展開されているホログラムの中に表示されている湿度計が、急に上昇しました。外の湿度が雨の日のようにジメジメしているようです。


「はい、ジメジメ液くん、ゴー! アイツらを無防備にしちゃって!」

「え~……」

「いいから、行け! ゴー!」


 空気中を漂っているどこかで感じたことのある気配の正体が明らかになりました。

博士のしなやかな体から出ていたと思っていた汗と思われていた水滴が、ヘビのように跳び出してマンバグズ兵たちに突撃していったのです!

 博士の体を冷やすための生理機能の産物だと思っていた汗は、実はライブリキッド君だったのでした。生きた水害ともいえる彼を、汗に擬態させるなんて……。


「怪獣を鎧みたいに身に纏うとは、恐れ入ったぜ……」

「ふふん、これならただの汗だくな娘だと思われてアイツを連れ込めるし、アンタみたいなお人好しのスケスケ大好きザコザコ変態性癖のヨワヨワおじさんも釣れちゃうでしょ?」

「釣ってどうすんだよ……」

「それより、見てみなさいよ、アレ!」


 マンバグズたちを見てみると、彼らはまるで水中で溺れているかのように悶えて苦しんでいるように見えました。


「ぐは、ゲホっ⁉」

「早く外装を取るんだ!」

「溺れ死ぬ前に早くしろ!」

「やっぱりね~。その外見は地球人のボクたちから見るといかにも昆虫っぽい感じだけど、本当は生体アーマーだったのね! 皮なんて被っちゃうなんて、キッ~モ~!」

「うるさい、うるさい!」


 マンバグズたちはあたりを水び出しにしながら、恐ろし気でグロテスクな生体アーマーを脱ぎ捨てて、その正体を露にしました。

 水でせき込んでいるみんなは、バグズクイーンよりもさらに人間に似ていましたが、やはり所々虫の面影を感じます。そして、働きバチや働きアリがメスのように、全員が女性のようでした。テレパシーで通訳していたつもりだったのに、気づきませんでした……。


「へぇ……結構可愛いじゃない。ボクほどじゃないけどね~。好きな人は好きなんじゃん?」

「俺は無理」


 あ、よ、よかった、特殊性癖なわけじゃないんだ……。

 ……フフ。


「なんだと……⁉」

「おれたちの方が地球人の外見に近いだろ!」

「同族よりかけ離れた外見の方が好みなのか⁉」

「気持ち悪いな!」

「てか、なんでお前にいいかどうかなんて言われなきゃいけないんだよ!」

「おい、ちょっと待て!」

「女王陛下は美しいだろ!」

「いや、女王陛下のお姿がキモいって言ってるわけじゃなくて……」

「ああ、ややこしい!」

「それも全部あいつのせいだ!」

「生身でもやっつけてやる!」

「うっわ、しつこ。さすが、ザコザコウジ虫お姉さんたち。数と勢いだけは一人前ね~。あ~、ボク分かっちゃったぁ。アンタたちみんなで揃って初めて一人分なんだね~!」

「ああん⁉」

「だったらなんだ!」

「力を合わせて立ち向かってやる!」

「ザコザコ枯れ枯れおじさん、ゴー!」


 すると、博士の可愛いツインテールが解けました。

 花をあしらった髪留めに見えていたのは、実は髪留めサイズに縮小したうえに擬態していたウォープラント君だったのです。

 ウォープラントは博士の流れるようなきれいな長髪からヒラヒラと地面に落ちると、そこに根を張り巡らせ、ニョキニョキとその巨大な姿を現して、マンバグズたちとその王国に影を落としたのでした……。


「地下だからもう暗くね?」


 ユーキくんがそう言うと、ドフールが発光しているのを感じました。千里眼で見てみると、本当に夜空に浮かぶ満月のように地下世界を照らし、みんなを見下ろしてツタをうねらせているウォープラント君に圧倒的で不気味な気配を演出させています……。


「フフフフ……。これは、これは……極上のお姉さまがたくさん……」

「あ、ウマそう」

「本当だ」

「青々してんじゃねぇか!」

「食べごろじゃね?」

「ん? みなさん、さては、もしかして草食動物でございますか……?」

「ん~、虫ってほとんどがそうじゃね?」

「何言ってるのよ、ウルトラザコ。カマキリとか肉食もちゃんといるでしょうが!」


 その時、羽があって飛行することが出来る種類のマンバグズたちが、発光しているドフールに近寄ってきました。

 まるで、電灯に群がっている夜の虫さんたち見たいです……。

 その姿が、全面モニターでたくさん映っていて、ギラギラした目で見つめてきます。


「ひっ……⁉」こ、怖い……⁉

「うお、すげ! なんてきれいなんだ!」

「ピカピカ光っててきれいだブ~ン!」


 一方、飛べないマンバグズたちは巨大なウォープラントに魅せられて、息を荒げているようでした。


「ほほう、そんなにワガハイのコレがほしいのですかい?」

「だ、ダメだ……」

「もう、我慢、できない!」

「腹減った~!」


 そして、ウォープラントは大量のマンバグズたちの軍団に食べられました。本当の意味で。葉を食べる芋虫や樹液を吸う昆虫のようにモグモグチューチューと食べられています。


「食べられてる~⁉」と、私はつい叫んでしまいました。


 ですが、ウォープラントは全く動じることはなく、食べられるたびにむしろドンドン大きくなっていきます。

 いつの間にか、彼はマンバグズ全員に自分の分身や体の一部ともいえる木の実や葉っぱなどを次々と分け与えているのでした……。

 博士はユーキ君に肩車をしてもらいながら、その様子を興味深そうに見上げていました。また顔にスカート被らされてます……。


「……? へぇ、思ってたのと違うけどやるじゃん。アンタ自身も無限にエネルギーを生み出して蓄えられるほどの生命力があるうえに、ちょっとした生物の体温からでも光合成したり、地球のちょっとだけの養分からさらに多くのエネルギーも発生出来るもんね。まあ、すなわち、ちょっと悔しいけど、無限超回復を持つツヨツヨ植物だからヘーキね」

「うわ、お前、結構すごい植物だったんだな。大丈夫なのか?」と、ユーキ君。

「いや、心配することはない。ワガハイの体がお嬢様方の体の一部となるのならば、実質的にワガハイはこのキレイなお姉さん方と一心同体も同然、すなわち実質セッ……」

「あ~、はいはい、わかった、わかった! ……聞くんじゃなかったぜ……」


 そう言いながら、ユーキ君は博士が促す通りに、地面にひざまずいて何かを祈っているバグズクイーンの元に歩み寄りました。博士はユーキ君の方の上からそんな彼女を勝ち誇ったかのように腰に手をあてて見下ろしてします。


「フフン、ボクの怪獣軍団はすごいでしょ、ザコザコウジ虫お姉ちゃんたち!」

「はい、恐れ入りました……。と、でも思ったか、下等生物!」


 すると、バグズクイーンは口から毒液を発射しようとしました! 博士に当たってしまいます! 危ない!


「博士⁉」「ひうぅっ⁉」


 ですが、ユーキ君がサッと避けて肩から博士を下ろして抱きかかえて守り、彼女の太ももにつけたガーター兼ホルスターから恐竜を模したかのような熱線銃を抜いて、バグズクイーンに放ちました。小さな博士を胸に抱き寄せて守りながら、素早く。


「アッチ、イッデ、アチー⁉」


 バグズクイーンを悶えさせた恐竜型熱線銃から、最初は恐ろしいと感じていた気配を感じました。オメガザウルス君です。

 彼が純粋な熱エネルギー体となって、博士が作った熱線銃に宿っていたのでした。


「おお、発作的に撃っちまったぜ。てか、お前、こんな所にいたのか、バカが一人足りねぇと思ってたんだよ。助かったぜ」

「……! もういい、おれより心配することがあるだろうが」

「ねぇ、博士! 大丈夫か?」


 博士は恐怖のあまり気絶していました。すっかり勝った気でいたのでしょう……。


「わ、理解っちゃった……へにゃ~……」

「おぉ、エメラルドぉ……可哀そうに……」

「可愛そうなのは、ワラワたちだ~!」


 すると、バグズクイーンの姿が干からび始め、その中から質量保存の法則とか生物学的に在りえないものが食い破って現れました。

 それは、クモを基本として様々な昆虫や虫が混ざり合った、地下を覆いつくすかのように巨大な虫怪獣でした。美しくも見えたかつての彼女の姿は見る影もありません。

 彼女に、クモの巣やハチの巣やらを張り巡らされて、世界中が彼女に食い破られてあっという間に彼女が生んだ子供たちに征服される……。

 そんな感覚が確かにしました。

 このまま彼女を放っておいたら、世界が征服されます!


「ど、どうしよう……⁉ ユーキ君、博士たちを連れて早く逃げて……」

「昔、カタツムリの世話してたんだ」

「え?」

「……へにゃ~」

「あん?」

「ビギャ?」

「そうっすか」

「そして、一日中セック……」


 私たちが突然のユーキ君の発言に戸惑っていると、浮遊していたドフールの足の一つがガチャッと外れて、巨大化バグズクイーンの上に浮遊しました。


「ふん、そんな小さな足で何をするつもり?」


 すると、魔法みたいなことが起きました。ドフールのただでさえ巨大な脚がグングンとさらに巨大になって行きます。巨大化したバグズクイーンを余裕で踏みつぶせるくらいに。


「そしたらいじめっ子のガキがさ、俺がやらかしたってことにして、カタツムリたちを踏みつぶしやがったんだよ。……その苛立ちを込めて、アイツと同じことをお前にするぜ、くらえ。ドフール・ハイパーフッド!」


 そして、その足は本当に、ドーンと彼女を容赦なく踏みつぶしてしまいました……!


「えええええっ⁉ 怒りで巨大化させて、八つ当たりした~⁉」

「ウギャ~っ⁉」

「女王陛下⁉」

「だ、大丈夫……か?」

「原型がない!」


 そして、ドフール・ハイパーフッドは体液を付けながらもいつもの大きさに戻って、私が隠れて乗っているドフールの元に戻りました。

 そして、無残に潰れた巨大バグズクイーンの中から、まるで生まれ落ちるかのように泣き叫びながら、最初に見た姿より幼くなった印象のバグズクイーンが現れました。

 あんな目に遭ったのに、まだ生きてるんですか……。

けど、ユーキ君が怪獣相手とはいえ、殺しをしなくてよかったと思いました。


「ゲホ、ゲホ、ウゲ、ううっ、な、なんなのよ……⁉ せっかく久しぶりの巨大化だったのに……! まだいろんな技を披露するはずだったのに……!」


 そう泣いている幼くなったバグズクイーンは、駆け寄ってきて世話をしようとするマンバグズたちに囲まれていました。


「女王陛下……!」

「大丈夫ですか!」

「さすがです!」

「相手が悪かっただけです!」


 そして、その中にはユーキ君もいて、敵のトップの額を拭いてあげていました。


「うわ、キサマ⁉ 何をしれっと紛れ込んでんだ!」

「ねぇ、女王様、頼むよ。もう侵略したりしないでくれ。アイツらの女王様なら、しっかり統率して、もうこれ以上悪いことをしないように説得してくれない?」

「うるさい、黙れ、ここで諦めたら、それでこそ契約がおじゃんになって、魔女様になにをされるかわかったもんじゃない……」

「けど、このままじゃ終わらないだろ! ここで無限に殺し合っているより、みんなでお前の子どもたちと仲良く美味しく、アイツを食ってる方が幸せじゃないか?」

「……⁉ そ、そうかもしれんが、そうかもしれないけど……」

「ウォープラント」

「うむ」


 ウィオープラントはユーキ君に言われて、ツタを伸ばし、その先に美味しそうな果実を実らせました。ユーキ君はそれをもぎると、睨んでいるバグズクイーンに差し出します。

 バグズクイーンはしばらくそれを睨んでいましたが、ユーキ君はずっと受け取るまで持っていたので、受け取ることにしたようです。そして、彼女も子供たちや忠実な兵士たちを同じように、その果実を食べました。


「……バカ美味いですわ。一体、どうやって……」

「だろ? だから、征服なんてしないで、ここでジッとしててくれない? たぶん、司令官がなんとなくなんとかしてくれると思うし、魔女は俺が倒すし!」


 さっきまでそれらしいことをしてたのに、急に適当過ぎます……。ですが、なんとなくしてくれるし、何とかなりそうだと思っている私もいます……。


「……。……⁉ はぁ、わかった、確かにこれ以上戦っても不毛ですわね。ワラワたちにした所業は許してさしあげますわ……。大人しく引き下がってくださいまし」

「おう。わかってくれてよかったぜ」

「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ! なんであっちが許してやったみたいな……」

「急に起きるなよ、行こう、博士……」

「はぁ⁉ なんなのよ、もう! うわぁあ~!」


 こうして、今回の侵略は、敵との和解という形で幕を閉じたのでした。

 やっと終わったとホッとしました。だって、ユーキ君も博士も、敵に囲まれているのですから……。その状態でも、みんな生き残れてよかったと、私は思いました。


「ユーキ君、博士、みんな……」


 ユーキ君が地面にドフールを呼び寄せて座らせ、コックピットを開け放ちます。


「モエコ、終わったよ!」


 私はコックピットから飛び降りて、ユーキ君の胸に飛び込んでしまいました。彼は優しくも力強く、私を受け止めてくれました。


「はぁ⁉ ちょっと、待て!」

「もう一人いたのか⁉」

「もしかして、アイツが動かしてた?」

「てか、おれたち、なんで地球人と会話成立してるんだ?」

「てか、なんか、アイツ、エロくね?」

「なんだ、お前、女王様の方がエロいだろうが」

「我が子たち、ワラワのすぐ横でそんな話する?」

「さすが、ウジ虫軍団、モラルもムシ並ね!」


 博士が怪獣たちを背にしてマンバグズたちを煽っていましたが、私はそれどころではありませんでした。


「ユーキ君、博士、怪獣君たちも……よかった、無事で」

「おう。これも萌子がテレパスしてくれたからだぜ? てか、今回は博士と怪獣たち大活躍だったな」

「う、うん……。ユーキ君も頑張ったよ」


 その帰路、私は安心しきって眠ってしまったようです。


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