決闘(前編)
三時間後ーーー
僕はデーブに言われた広場に着いた。
広場の周りにはデーブに集められたのか沢山の野次馬が観戦に来ていた。
「よく来たな、平民」
と、声が聞こえてきたので声がした方向に目を向けると、そこにはデーブがいた。デーブの腰には剣が携わっている。
「よく逃げなかったな、根性だけはあるじゃないか、そこだけは誉めてやろう」
「デーブ様に褒められてもうれしくはありませんが」
「そんな威勢を張ってられるのも今のうちだぞ、平民」
僕はデーブと会話しながら広場の中央まで歩いた。
「それで、周りにいる人たちは?」
「ああ、それは俺様が決闘をすると言う話を聞いて集まりだしたんだよ、高貴な俺様の美しい戦いの姿を見る為と貴様の無様な土下座を見る為にな」
と、デーブが煽るような言い方をしながら言ってきた。
本当かな?デーブに侮蔑の視線が向いてるから、嫌われてるんじゃないかと思ったけど。しかも、僕に哀れみの視線が向かれてるのは気のせいか?–
それはそれとして、予想はしてたけど、やはりルールを破ってきたな。一対二、いや、一対三か。
と、僕が思っていると、
「ユウ!」
僕を呼ぶ声が聞こえる方へ振り向くと、アリスがいた。
「アリス様、このデーブの応援を?」
「ユウ、勝って!」
「なっ!」
「ああ!」
こいつバカなのか?アリスは最初に僕の名前を呼んでるだろ。
「やはり、貴様は気に入らん、貴様なのせいで俺様の輝かしい未来が台無しになる」
「僕も負けられないな。さっさと始めよう」
「ほう、長く話せば少しは長く学園にいられたかもしれないのにな」
「もしかして、ビビってる?」
僕の言葉にカチンときたのか、手を前に出し魔法を発動し始めた。。
「Lv1 火球!!」
デーブから放たれた火球が僕に迫る。
「ユウ!」
初めの合図も審判もなしに攻撃するのは流石にまずいのではないか?それに、防護魔法も何もなしに攻撃するのはやばくないか?
とりあえず、デーブが攻撃してきたので、僕も魔法を発動して、対抗する。
「Lv1 氷球」
僕が放った氷球とデーブの火球がぶつかり、共に霧散する。
この光景を見た周りの人達は静まりかえってしまった。
僕は普通にやったが、デーブは信じられないと驚きの顔をしていた。もちろん、アリスもだ。
「な、なぜ、おまえみたいな平民が魔法を使える!」
当然か、普通なら平民は学園でしか魔法を学ぶ機会がなく、学園に通う前は魔法を使うこともないので俺が魔法を使えてるのは不思議らしい。
とにかく、デーブの質問には答える事にした。
「独学だよ」
僕はそう一言告げた。だが、デーブの反応は、
「嘘つけ!そうか、お前は俺様に勝てないと悟ったから、イカサマを使ったんだな、卑怯だぞ!」
「いや、僕は育った環境が環境だからーー」
「は!これだから平民は無能なんだよ、だが、一つだけいい事教えてやる」
「だから、僕はーー」
「黙れ!無能な平民が!その空っぽの頭じゃわからないらしいな。簡単に教えてやる、たとえ、どんなイカサマを使おうとも俺様にはいっさい勝てないと言うことをな!」
そう言い、デーブは剣を抜き構えた。そして、僕の方へ走り出した。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
僕とデーブの距離が縮まると同時にデーブの持つ剣が縦に振られる。
「ギャッ!!」
僕は横に避けると同時にデーブが後ろに吹っ飛んだ。
「え?」
一瞬、何が起こったのか分からず誰もが不思議に思っただろう。
だが僕には見えていた。
やはり、使ってきたか