測定結果と初めての友達
俺は水晶の前に立つ。
「では、水晶に触れて下さい」
そう言われ、僕は水晶に触れた。
どうか、普通の結果であります様に
僕は目をつぶった。
「「「え?」」」
驚く声が生徒だけじゃなく先生からも聞こえてきた。
嫌な予感がして、恐る恐る目を開け結果を見てみたら、
魔力量 S、属性 氷、スキル 魔器生成《固有スキル》 剣術《共有スキル》 身体能力強化《共有スキル》 魔力回復速度上昇《固有スキル》 魔法威力上昇《固有スキル》
そこには、普通じゃあり得ない測定結果が出た。
やばい、これはまずい。事前に測定すれば良かった。どうにかしなければ、
僕は正直焦った。だが、
「こ、この水晶古いからなぁ、新しい水晶持ってくるよ」
そう言い、先生は教室を出ていった。
よ、良かった、水晶が故障だと思ったみたいだ。みんなもそう思ってるみたいだ。
それよりも、まずいな、これ以上能力を下げられない。
見られる可能性があるが仕方ない。
僕は、10本の手の指にある指輪のうち、右手の小指についた指輪を外し、少し目を瞑り、指輪を戻す。
と、ちょうどその時先生が戻ってきた。
「ユウ、すまない、新しいのものを取りに行って遅れた、もう一度測ってくれ」
僕は新しい水晶に触れ、もう一度測る。測定結果は、、、
魔力量 C、属性 氷、スキル 魔器生成《固有スキル》
という結果になった。
少々目立ってしまうが、あらゆる状況に対応するためスキルを一個残した。
「やはり、あの水晶は壊れていたようだ、すまないな、手間をかけて」
「いえ、大丈夫です」
そう言い、僕は席に戻った。
席に着き、静かに座っていたら、
「ねぇ」
「ん?」
隣の席に座るアリスが僕を呼んでいるようだった。なので、僕は彼女の方を見る。
「なんでしょうか?」
「単刀直入に聞くわ、あなた、何者?」
「何者とは?」
「誤魔化そうとしないで、私のスキル『魔力視』は普段見えない魔力を見ることができ、さらに、色で属性、大きさで魔力量がわかる、だから私は最初あなたを見たとき、かなりの魔力量があるのがわかった、私よりも、もう一度聞くわ、あなた何者?」
この質問をされるのは分かってた。彼女が『魔力視』というスキルを持ってるのを知ってから、ある程度予想はしてた。だが、これ以上隠し続けるのはかえって怪しまれてしまう。だから、
「ただ、普通に学園を過ごしたいだけの平民ですよ、まあ、ちょっと危ない場面はありましたけど」
「え?」
「だから、普通に学園を過ごしたいだけの平民ですよ、それ以外に何があるんですか?」
ここはあえて正直に話す。かえって怪しまれる可能性あるけど、秘密を隠すよりはいい。
彼女はとんでもない返答に驚いた。怪しまれるかなと思ったが、彼女は静かに笑った。
「ふふっ、まさかそんな答えが返ってくるとは思わなかった」
「あれ、怪しまれると思いましたけど、信じるのですね」
「ええ、私はスキルではないけど、いい人か悪い人かなぜか分かるのよ、だから、あなたに話しかけた、普通だったら魔力量を偽る事人は怪しすぎて、話しかけないわよ」
「確かにそうですね、普通は話しかけませんよね」
大丈夫だったようだ。
「そういえば、『魔力量を偽る』で思い出したけど、どうやって魔力量を偽ったの?私魔力視で見てたけど、魔力が減っているところ見えなかったよ」
「それはですね、手にある魔力量を調整したからです」
「魔力量を調整?」
「はい、魔力は常に体からにじみ出てるんです、おそらく水晶は体の中の魔力じゃなくそのにじみ出てる魔力を測定してると考えています、だから、手からにじみ出てる魔力を調整して魔力量を偽ったのです」
と、魔力量を調整の話をしたら、彼女はかなり驚いてる。
「えっと、あなたはそれができるの?」
「えっ、できないんですか?」
「普通できないよ」
「え?」
僕はこの事実にすごく驚いた。まずい、また怪しまれる
と、思ったけど、
「ふふっ、最初から規格外だと思ったけど、まさかここまでとは思わなかった」
と、笑って話していた。
「あの、この話は秘密にしていただけるとーーー」
「安心して、秘密にしてあげるから、あと、敬語禁止」
「えっ?アリス様はーーー」
「敬語禁止、『様』はつけない、ここは身分関係ないし、友達だからね」
「友達、、、」
『友達』、僕は友達ができるのか心配だったが初日でできた。僕はこの事実に感動した。
「分かった、これからよろしく、アリス」
「ええ、よろしくね、ユウ」
僕が初めて友達ができた瞬間だった。