7猫は嫌なことがあると母に泣きつく
●7猫は嫌なことがあると母に泣きつく
五代目猫タッキー
タッキーは色々な事情があってうちにやって来た。
子猫の頃から人に育てられたのでどうも自分の事を猫ではなく人と思っていた節がある。
私からすると少しひねくれたアホな弟な感じであった。
このタッキーのことで悔やまれることがある。どうしてこの面白いことがスマホの時代に起きなかったのかと。
冬のある日だった。
居間にはソファーで寝転んで本を読む私に、ストーブの近くで座ってテレビを見る母。そしてストーブ前を独占するタッキーがいた。
本を読み終わった私はソファーにちゃんと座り直しタッキーを可愛がるため名前を呼んだ。
人の体の上に乗るのが好きなタッキーはすぐに私の元にやって来た。
軽く飛んで私の膝に乗ろうとするタッキー。
その時、私の脳裏に悪魔が囁きました。
今、膝を広げたらどうなる?面白い?面白いだろう、と。
その言葉通りにタッキーが着地する寸前に両膝を広げてしまった。
着地点が無くなったタッキーはそのまま床に落ちていくはずだった。だったのだ。
ただ私がソファー微妙に浅く座っていたため股の間のソファー部分に落ちていくタッキーのアゴに綺麗にヒット。
見事に当たったのかのかタッキーはしばらく立ち上がられず。おそらく軽く脳震盪を起こしたのであろう。
そんなタッキーを見て私と母は大爆笑。
そんな中回復したタッキーはスクッと立ち上がる。
タッキーがどう行動するの私は期待した。ただ予想よりも斜め上の行動であった。
「ウニャウニャオー」
とても猫の鳴き声でない声を出しながら正座している母の股の間に顔を突っ込んだ。
その行動に驚く私達、そして更に爆笑。
「ウーニャウーウーニャオー!」
ふてくされて更にわからない鳴き声で怒鳴るタッキー。
笑う私達。それを何回かループしていた。
ごめんごめんと私が謝ると再び変な鳴き声で叫び母の股に顔を突っ込んだまま両前脚で母の足に爪で固定した。
もう完全に幼児がふてくされた光景にしか見えず。私と母の腹筋は崩壊するくらい笑った。その間も文句を言っているタッキー。
どうやってそれが収まったかは笑いすぎたせいか覚えていない。
ただテレビで猫の面白い動画を見るたびにあの頃にスマホがあればという無念が胸の中に湧き上がってしまう。