2猫の獲物とは
●2猫の獲物とは
六代目の猫うる。略されてウー。
ウーはわたしが一人暮らししていたときの猫で田舎の実家よりも更に田舎…というよりほぼ森の中の家で飼わせていただいていた。
私は昔は夜の外が怖かった。それは何か怖いものがいるかもしれないとか単純に暗いからというものであった。それが今は夜の外に出るとイノシシが出るから怖いに変わった。それくらいの田舎に住んでいる。
住み始めて2年間で犬(さすがに飼い犬)猿(庭を横切るマッチョの猿を見たときは死ぬかと思った)雉(最近はあまりみない)を見たときは俺は桃太郎になったのかな思った。
そんな家(森の中)で育ったウーはほぼ野生児。
狩猟本能全開で獲物を取ってくる。
ネズミや蛇は当たり前、モグラは下手すると一日に数匹は獲ってくる。鳩は玄関前が羽が散乱し血まみれ、ウサギはよく尻尾らしき毛玉がよく転がってたな~。
玄関のドアを開けたら目の前にイノシシがいたときは家の中からウーが飛び出てイノシシを追いかけたときは流石に全力で私も追いかけた。
しばらくして捕まえそこなえた感を出して戻ってきたウーに説教をした。
そんなウーが獲ってきた獲物は大概驚いてきた私だが一つだけ違う意味で驚き、罪悪感が残った獲物がある。
私の家はウーが散歩という名の狩猟に出かけるので台所の窓を少しだけ開けていた。
だから朝に台所に行くとよくウーの獲った獲物が置いてあった。
小動物ぐらいには慣れて血まみれ羽まみれは心の中で泣きながら掃除できるくらいにはなったがその日の獲物は違っていた。
まず獲物と認識できなかった。
だって袋に入った食パンですよ。
どこからどう見ても食パンが床に転がってるの、袋入りで。
最初はあーしまい忘れた食パンがテーブルから落ちたんだなーと考え。次に、いやこんなメーカーの食パン買ってないぞとなり。最後になんでここに食パンが落ちているんだーっ!とパニックを起こしました。
怖い話の部屋に知らない物が増えてるの気持ちがよくわかりましたよあの時は。
そして食パンを持ってパニックになっている飼い主の前に窓から現れる飼い猫ウー。
凄いですねその時のウーが何を言いたいのか顔を見ただけでわかりましたよ。
《あ、その食パン僕が獲ってきたんですよ!褒めて褒めて!》
猫があんなに喜びのオーラを放っているのは後にも先にも初めてでした。
私はぎこちなくウーの頭を撫でて褒めながら「でも、食パンはダメだよ~」としか言えませんでした。
おそらくお隣さんの家(100mは離れている)から盗んできたのでしょう。猫を飼っていらしたみたいなので私のように窓を少し開けていらしたのでしょう。
そう考えながら私はそっと食パンをゴミ箱に証拠隠滅しました。
それがいけなかったのでしょう、ウーはそのあと2回食パンを獲ってきました。
3回目のあと手土産を持って謝罪しに行きました。
母にこのことを話したら爆笑された。
疑問なのだが猫達はモグラを獲ってきても食べようとはしなかった。