15ベンちゃん八つ当たりされる
●15ベンちゃん八つ当たりされる
四代目の猫マクロ。略されてクロ
クロは対人最強猫であった。
普段はクールでおとなしい猫なのだが、いたずら、からかい等など自分に不利益があった感じた時の攻撃は当時の家族は父以外はみんな恐れていた。
父はちょっかいかけて攻撃され数日するとまたちょっかいするという反省しない人であったのでクロがいた時代はほぼ父の腕とふくらはぎには爪と牙の傷跡があった。
通常は真っ向から飛び掛かって攻撃してくるデンジャラスキャットで、人も傷を負うのは嫌なので頭を抑えたり引き離したりとするのだがやり返したと実感するまで攻撃を止めないのだ。
本当に遊びでやっているのではなく唸り声で毛は逆立ち猫同士で喧嘩しているようなスタイルで人に向かってくるのである。
人は本気で攻撃できないのでかなりいい勝負になっていた。漫画で閉鎖空間で人と猫が闘うと勝つのは難しいと書いてあったがあれは本当の事だと思う。
その上クロは二、三日後の夜に攻撃してくるときもある。たまたまではなく何度か自分で実験してみたので間違いない。(私も父の事を言えないのかもしれない)
真っ黒なクロは暗闇の中では無敵の猫であった。背後からふくらはぎに爪を立てられ噛みつかれる痛みはシャレにならない。
なので基本ウチにくる人には事前にクロいう猫を説明してから入ってもらうことになっていた。
ある日、父の会社の同僚の人達が集まって宴会することになった。私の実家は昔ながらの考えで作られていたので座敷がなかなか広く宴会場にされた。
父の会社の同僚が二十人ぐらいはいたと思う。皆さん最初から飛ばしまくりで一時間ともたず酔っ払いの集団になり果てていた。
当時、私は中学生で裏方の母を手伝いながら刺身や唐揚げを盗み食いしていた。そのくらいしないと酔っ払い共の相手はやっていられなかった。
それはクロも同じらしく、珍しく二階に籠ったままであった。
だが酔っ払いは危険物に平気に手を出した。
父がクロの凶暴性を話し始めたのだ。その話の中にはあのベンちゃんことも話に出た。
それを聞いて馬鹿笑いする酔っ払い。
なにを思ったのか父はクロを二階から連れ出してきたのだ。
クロは大人しくしていた。大勢の酔っ払いに囲まれて不利だと感じたのだろう。
私がその時に逃してやればのちの悲劇は避けられたのかもしれないが、残念ながら酔っ払いに近づきたくなかった私は放置してしまった。父がいるなら大丈夫だろうとも考えていたのも失敗だった。
しばらくすると動かないクロに酔っ払い共は飽きてそれぞれに散ったのだが一人だけちょっかいかける人物がいた。
あとで聞いたのだがちょっとロクでもない人らしく、すぐカッとなり暴力をふるうタイプで動物に対しても書けないぐらいの行為をしたこともある人物だったらしい。
そんな人だから同僚からは嫌われていて話しかける人はいなく、クロが被害にあってしまった。
その人はクロを軽く叩いたり馬鹿にしたようなことを言っていたらしい。
クロは何か感じ取ったのか黙って動かずされるがままだったようだ。(これは後で私にいつも優しくしてくれる人から聞いた)
そして悲劇が起きる。
最初に言っておくがクロは大丈夫であった。被害者は前に出てきたベンちゃんである。
ベンちゃんはとにかくクロに嫌われていた。それはもう可哀想に思えるくらいに。
その日はベンちゃんも酔っぱらって気分が大きくなっていたようだ。されるがままのクロを見て自分も触れると思ったらしく。近寄り撫でようとした。
その場面から私も見ていた。
今まで聞いたことがないウオォオオォンというクロの鳴き声。
ベンちゃんに対して今にも飛び掛かりそうな殺気あふれまくるクロがいた。
ベンちゃんは腰が抜けたように後ろに倒れていて、恐怖からか座敷の窓から靴を履かずに外に逃亡。
それを全力で追いかけるクロ。
周囲の酔っ払いは唖然とした顔で止まっていた。(例の人はやはりおかしい人でゲラゲラ笑いったのを覚えている)
私も遅れて外に駆け出した。ベンちゃんの靴を持って。
追いついたのは家から300mほど先の畑であった。
ベンちゃんは栗の木に登っており、その下で唸り声を上げているクロ。もうクロが獲物を襲っている虎にしか見えませんでした。
私が抱きかかえてもクロはベンちゃんに対して威嚇し続け、かなり距離が離れてからベンちゃんは降りてきた。
宴会の雰囲気はダダ下がりすぐにお開きとなった。
その後は母から父への説教が始まった。主催者なのに責任を放棄して飲んだくれた事、クロを無理やり連れだした事、例の人を放置した事、ベンちゃんと同僚の人たちに謝罪とこってり絞られていた。
例の人はウチでは初めての出禁となった。
これ以降、ウチで大勢での宴会は無くなった。
ベンちゃんも更にクロが怖くなったようでクロがいる間は来なくなった。
もうクロの八つ当たりされたベンちゃんが可哀想でたまらない。
いまだに考えるクロよベンちゃんの何を嫌っていたのか。
クロ フシャーッ!(=`ェ´=)
ベンちゃん 助けてー!( TДT)
私 止めて!ベンちゃんのHPはゼロよ!(;o;)




