14孔雀は強い
●14孔雀は強い
二代目猫洋介
二代目猫洋介はいたって普通の猫であった。
他の歴代猫はちょっと猫の常識がズレているのが殆どだ。
・・・書いていて飼い主として複雑な気分になる。
まあ洋介は普通の猫なので獲物も獲ってきた。
狩猟猫のウーには勝てないがトカゲやネズミ、昆虫などが主である。ウーは少し異常であった。
私の実家は少し特殊で周囲50メートルほどを全て畑に囲まれている。文書にするのは難しいのだが、友人たちからはかなりおかしいと言われていた。
近所の人の畑だったのだがその当時はお婆さんがマメに耕しており鳥がよく来ていた。
ただ隠れるような場所が無かったので洋介も他の野良猫達の狩猟率は低かった。
そんな洋介が大物を狩ろうとした瞬間を見たことがある。
大抵畑にいる鳥はカラスか雀なのだが、その日は違っていた。
孔雀である。
あの孔雀だ。羽を広げると美しいがシャレにならないほどでかい孔雀が畑にいたのだ。
実は実家の近くには孔雀のいる動物園があり、たまにだが畑にやって来るのを見たことがあった。ただそれは雌の孔雀であり、ド派手なオスの孔雀が来るには無理なはずの距離に畑はあった。
そのオス孔雀を洋介は狙っていた。
地面に這いつくばってにじり寄る姿は特殊部隊そのもの。子供だった私はその光景を興奮して見ていた。
少しずつ近寄っていく洋介。
息を飲む私。
あと数メートルまで近づいたとき孔雀に気づかれた。それは当たり前だったのだ、畑は土がむき出しの平地なのだ。いくら背後から近づこうと隠れる場所はなかったのである。
そして洋介を発見して怒り狂う孔雀は羽を全開にして迫ってくる。
洋介はまさか孔雀が何倍にも大きくなって襲ってくるとは思ってなかったようで全力で逃げ出した。
私がいる方に。
正直かなり怖かった。金網越しなら平気でもかなりのスピードで迫られるとシャレにならなかった。
洋介と私は全力で家の中に逃亡した。
そして窓越しに孔雀を見るとこちらに向けてまだ威嚇していた。
私は恐怖で縮こまり、洋介もソファーの下に逃げ込んでいた。
しばらくすると孔雀はどこかに行ったが、私たちの心には軽くトラウマになった。
その後、洋介はしばらく畑を通らず道路を歩いていたので怖かったのだろう。
ちなみに私が近くで見て怖かったランキング3位孔雀、2位猪、1位猿である。
桃太郎のお供よりも強そうなメンバーである。
ついでに孔雀ミヤァーオゥと鳴く。(私感覚だが)かなりうるさい。
孔雀 ミヤァーオゥ!(`Δ´)
洋介 ニャー!(/≧◇≦\)ダッシュ逃げ
私 こっち来るなー!(;´Д`)




