12父の大丈夫は大丈夫ではない
●12父の大丈夫は大丈夫ではない
五代目猫タッキー
この話は残酷な表現がでます。
その日は母の買い物に運転手として借り出されたときだった。
買い物は終わり車で帰る途中で母の携帯が鳴った。
母が出るとどうやら父のようだ。
父はどうでもいいようなことで電話してくる少し困った人であった。例えば回覧板が届いたとき、孫が遊びに来たなど。いや家に帰って来たときに直接言えばいいだろう?というのが殆どなのだ。
その時は私は運転中だったのでなんとなく聞いていたのだが、うんうんそれで大丈夫とね?とか聞こえた。
母が電話を切ったので尋ねてみると、猫のタッキーが喧嘩したのか顔が少し腫れているとのこと。
二、三日もすれば腫れは引くだろうとのことだった。
私は内心呆れていた。我が家の歴代家猫は一部を除いてほぼ地域でボスになる猫達であった。その中でもダントツで強かったのはタッキーであった。たまに怪我はするが前脚が少し腫れるぐらいであった。
父はよく誇張して伝えることが多々ある。自分のことに関しては過少で伝えるのだが。
だから私と母はそのくらいで電話するなよと愚痴りながら自宅に向けて車を走らせた。
そして十五分ほどで自宅に着いた。
父は居間で寝っ転がってテレビを見ており、私達がタッキーのことを聞くと座敷の方にいると言ってきた。
この時私は少し嫌な予感がしていた。タッキーはよほどのことがない限り座敷の部屋には行かないのである。もの凄く具合が悪いかきつい怪我をした時なのである
そしてタッキーを見て驚いた。あの時は二人そろって叫んだはずだ。(パニックになっていたのでよくは覚えていない)
タッキーの顔は少しどころではなく額から顎までの左半分が1.5倍に膨れ上がっていたのだ。
部屋の角でうずくまり全く動いていなかった。
死んでると私は思った。多分母も思ったと思う。
慌てて駆け寄り、名前を呼ぶとゆっくり顔を上げてか細い声でニャー…と鳴いたの今でも覚えている。
そして父がほら少し腫れてるやろ?と何でもないかのように言ったとき、私はキレたのだが、母の方が先にキレた。
これのどこが少しね!あんた目がおかしかとな。死にそうじゃなかたい!というのをもっと方言で父に怒鳴っていた。(おかげで私は親に暴言を吐かなくて済んだ)
私と母は怒鳴られて唖然としている父を無視して、タッキーをバスタオルで包み急いで動物病院に連れて行った。
獣医さんはすぐに処置をしてくれた。
腫れている原因はおそらく蛇に噛まれ膿が大量に皮膚の下に溜まっているから、幸い毒のある蛇ではなかったようだが、ちちが言っていた二、三日も放置どころかあと数時間もすれば助からなかったと言われた。
そのあとの処置は凄かったとしかいいようがなかった。
タッキーの額と顎に5ミリほどの穴を開け整理食塩水を注射で流し込んで膿を流しだすという人であったならゾッとするようなことをされた。
その間、タッキーは私の体に全力でしがみついていた。(そりゃ顔にでかい穴開けられて水入れられたら誰かにすがりたくなるだろう)
引き離すこともできたが心情的に可哀想だったのでそのまま処置してもらったのだが、私の腹から下は流れ出る膿と、激痛と恐怖心で最高潮のタッキーのおもらしと脱糞でぐちゃぐちゃになった。
引くぐらいに出てくる膿、シャーと音が聞こえるおしっこ、プリプリ出てくる糞。私はから笑いで、母と看護師の二人は我慢しているが笑いを止められず。唯一、真剣に処置してくれている獣医さんがいなかったら私は泣いていたかもしれない。
処置が終わったあとタッキーは数日入院になり、私はタッキーを包んでたバスタオルでグチョグチョの下半身をぬぐって車に乗ろうとしたら、母に下は脱げといわれて動物病院は国道に面しており、車の陰でTシャツトランクスの変態となった・・・。
帰宅した後は母と二人でマジ説教を父にした。
実は処置して帰宅したタッキー写メがあるのだがかなりグロいので載せることはできない。それでも処置前のほうが誰が見てもこれは助からないだろうと思える状態であった。
それを二、三日で治ると言った父はしばらくの間、家族からの信用を失った。
タッキー ヴァニャー!m(。≧Д≦。)m
プリプリ
私 イヤーッ!フンはフンはやめてー!(ToT)




