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10番外編 犬は空を飛びたかったのか



●番外編 犬は空を飛びたかったのか


 猫ではなく犬の話になるのだが謎の残る出来事であった。

 ある日私は人と会う約束をしていたのだがまだ約束の時間までそこそこあったので近くの埋め立て地に車を停めて休憩していた。

 その埋め立て地は海に面しており釣りをしている人もちらほらいた。

 散歩する人もおり、それをダラダラ見て時間をつぶしていた。

 その中でダックスフントを散歩させているおじさんがいた。

 リードを付けずにいたので危ないなと思いつつ見ていると、その犬は海に向かって走ってくる。

 私の車は護岸の車止めの近くに海に平行に停めていたので目の前を走る犬がよく見えていた。よく見えていたのだ。

 そのまま海にダイブする犬の姿までもが。

 あの時はかなり驚いたのを覚えている。

 楽しそうに走ってくる犬が護岸ギリギリで止まり海面を少し眺めた後、ピョン海に飛び込んだのだ。

 私は一瞬呆けた後、慌てて車を降り海面を覗き込んだ。

 飼い主のおじさんも犬の名前(覚えるどころではなかった)を叫びながらやってくる。

 二人で海面を見ると犬が必死に泳いでいた。

 護岸なので90度の絶壁のコンクリの壁、しかも海面までは1.5mはあったのではと思う。

 犬はパニック、私たちもパニック。現場は混迷を極めていた。

 海面まで降りられるはしごがあったのだが、そこそこ遠い場所にあり犬には昇ることは無理であった。

 その時はパニック状態の私達であり二人で犬をはしごまで誘導するがなかなか思うように行動してくれない。

 次第に弱ってく犬を見ておじさんは覚悟を決めた。

「飛び込んで引き上げるので受け取ってもらえますか」

 私の返事を聞く前にズボンを脱ぎだすおじさん。

 現れたのは上はポロシャツ下ブリーフの変態。昼過ぎぐらいだったからパンイチはやばいと思ったのだろうが、今思い出すとパンイチのほうがマシだったのように思える。

 そしておじさんは海に飛び込み犬をつかみあげ、私に渡そうと必死に持ち上げられた。

 私も必死に持ち上げる。時間をかけるとおじさんまで沈みそうだったから必死だ。

 ようやく犬を確保する。犬は疲労したのか助かったおかげかおとなしくしていた。

 おじさんもはしごから戻ってきって感謝の言葉をかけられた。

 お礼がしたいと言われたがやんわりと断った。

 考えてみてほしい、ずぶ濡れで犬を抱えたポロシャツ下ブリーフのおっさんが若い男に頭を下げている現場を…。

 私はポロシャツ下ブリーフのおじさんに見送られながら車に乗ってその場を去った。

 この起きたことを早く人に喋りたくて若干運転が荒くなったのは勘弁してほしい。


 しかし犬よ。なにを考えて海にダイブしたのか。それがなければポロシャツ下ブリーフおやじが誕生することはなかったのに。


犬 アイキャンフラーイ!ヽ(*´▽)ノ♪

ドッポーン

私 はぁー!?(゜ロ゜)

おじさん はぁー!?(゜ロ゜)

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