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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第四章 異世界争乱偏

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第94話 幽閉されし者

 会議室に通されたオレとリロメラは、ソファに座って寛いでいる。

 ベリアルとバラムは準備があるのだろう、今ここにいるのは二人だけである。


 ミーコたちやカミオを呼ぶべきか迷ったが、この様子は見せているので、タイミングを図るべきだと思った。


「なぁ一洸、お前はどうして人間なのにあのクソウザくてデカい下等生物を殺れるんだ?

空飛ぶゴーレムだってそうだ、あんなの俺様は初めて見たぜ」


 リロメラは、自分を越える殲滅力を持った力に興味が尽きないようだ。


「話すと長くなるんだけど…… 元々オレはこの世界の人間じゃないんだ。

元いた世界の事故に巻き込まれて、この世界に転移させられた」


「おっ、お前もそうなのか!

俺もよぉ、クソみてぇに威張り腐ってる神に喧嘩けしかけたら、絶対ぶっ壊せねぇ空間に閉じ込められてよ、そりゃ長いこと入れられっぱなしになってたんだ。

ついこの間だ、オレを引っ張り出そうとしてくれた奴がいてさ、そいつの前に引き出された途端、そいつはぶっ殺されちまった。

あの気持ち悪ぃクソ下等によ!」


 リロメラはそう言うと、出されていた飲み物を飲み干した。


「俺ぁ別に何かに貸し借りがあるわけじゃねぇ。

この世界の人間や魔族、魔人にも義理はねぇ、ただ気持ち悪ぃものが嫌いなだけだ。

あのクソ下等は、オレがあの牢獄から出されて羽を伸ばそうとした時に、俺の気分を存分にぶち壊しやがった。

今度現れても消し炭にしてやる」



“一洸、そのまま喋らずに聞いてくれ。

Yesの時は右手を一回、Noの時は二回叩いてくれ”


 右足に置いた手を次元窓から見たカミオが、オレに通信してきた。


 オレは右足を一回、指でリズムをとるように叩く。


「リロメラ…… その、召喚された時にいた魔導士はどうしたんだ?」


「あぁ、あのおっさんな、だからいきなりぶっ殺されちまったよ。

色々聞きてぇこともあったのにいきなりだ。

あのクソ下等、また腹が立ってきやがった!」


 ということは、この異世界の天使はまだ自分に与えられた召喚者権能を知らないということなのか。


 ただでさえ、元来ある力であの異形の化け物を抑えることが可能な実力者だ、この存在にもたらされた権能がどんなものなのか、オレは興味があった。


「オレは元々普通の人間で、特別な力なんか持ってなかったんだ。

でも、召喚された時に与えられた権能“保管域”の力や、協力してくれる仲間のおかげで、あの異形の化け物を倒すことが出来た。

もちろん、リロメラの力もあるがね」


 リロメラは、少し嬉しそうに笑顔を向けた。


「そうか! 俺もなかなかやるよな!

お前のあのすんげぇ光玉よ、あんなの前の世界のクソ神くらいしか出せねぇし、俺は今まで見たこともねぇ。

お前すげぇよ一洸」


「……いや、あの光の玉は、オレの保管域にいる仲間が出してくれたんだ、オレの力じゃないよ。

残った化け物を消すのだって、その仲間たちの力があってのことさ。

もちろん、リロメラの力もあるけど」


 リロメラはさらに嬉しそうに笑った。


「おおっ、じゃあお前のその仲間もここに呼べよ!

でも人間じゃあないだろ? 人間には無理だぜ。

お前も人間だが…… お前みたいなのがまだいるのか?」


 しばしの沈黙があったが、カミオから通信が入った。


“一洸、ぼくとミーコちゃんたち、そっちへ行こうと思うが大丈夫そうか?”


 一瞬固まったが、彼らを呼んで一気に話をしてしまった方が早いと判断した。

 オレは、右足を一回叩いた。




 オレが次元窓に手を突っ込んで、一人一人外界に出した時、リロメラはその様子をただ黙って見ていた。


 リロメラにカミオ、ミーコ、アンナ、レイラを紹介すると、リロメラは涙を流し始める。


 予測不可能な挙動に、オレは少々混乱した。


「……一洸、お前人間なんて嘘ついてんじゃねぇ、お前やっぱあのクソ神と同じ力持ってやがる。

俺は、俺はよぉ……」


 なるほどそうか、元の世界の神たる存在に脱出不可能な空間へ幽閉されていたのだ、保管域から出し入れする様子からそう思ったのだろう。


「リロメラ、大変な誤解だ。

これが、召喚者権能の“保管域”なんだ。

確かに特殊な空間なんだけど、君を幽閉していたその空間とは違うよ。

出し入れ出来るのはオレだけかもしれないけど」


 リロメラは、まるで叱られた子犬のように泣き顔を上げた。


「嘘じゃねぇよな…… お前、クソ神じゃあねぇよな」


 オレはリロメラに近寄り、初めて肩に触れた。

 天使に触れたのは、生まれて初めてだ。


「違うって、オレは人間だ」


 リロメラは、まるで子供が笑顔を取り戻すように、少しずつ表情を戻していった。




 ベリアルとバラムは、オレたちを会議室に通した。


「天使様、こちらへどうそ」


 バラムがリロメラを席へ案内しようとした時、リロメラが面倒な事を言い始めた。


「俺はリロメラだ、そう呼んでたのは、前いた世界のクソ神だがな。

俺を名前で呼んでいいのは、この一洸だけだ」


「では…… どうお呼びすればいいのですか?」


 バラムが必死に我慢しながらそう訊いた。

 オレが一緒でなければ、恐らくは戦闘になっていたのではないか。


「前の世界じゃよ、“天主様”って、人間も魔人も呼ばせてたぜ。

まぁでもいいや、俺ぁ今じゃこの世界の住人だ、リロメラ様でいいよ」


 バラムは、小さく深呼吸していた。


「ではリロメラ様、こちらへお掛けください」


「おぅ」


 アンナとレイラは、笑いそうになるのを堪えているようだった。

 まるで駄々をこねる子供を見る感じである。


 ミーコは、そんなやりとりをする彼らを見るオレに、小声で話しかけてきた。


「ねぇおにいちゃん、ネフィラ先生やアールも呼びたかったね」


「そうだね、本当に…… 来られたら呼びたかったよ」




 ミーコは久しぶりに、オレの手を離そうとしなかった。


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