表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第三章 魔族共闘偏

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/254

第80話 約束の対価

「というわけで、あの鹵獲戦艦は自分の意思で統合意識との並列リンクを切り、一洸の保管域に留まることを希望しています」


 エイミーの報告を聞くホワイト大佐の表情は複雑であった。

 その本音を読み取ることの難しさは今始まったことではないが、彼女にとっての“おじさん”は、今目の前にはいない。


 ホワイト大佐の目的は、敵ネクスターナルの脅威の排除、可能なら現状の技術レベルの把握とその対策で、彼らとの意思疎通ではなかったはず。

 だが敵は当初の目的を越えて、一洸の管理下のもと、連邦に協力するとまで言ってきている。


 今回の鹵獲作戦では、とにかく自分の役割は果たすことが出来、“おじさん”の顔に泥を塗ることもなく、損害も出なかった。


 それだけでも良しとしよう、エイミーはそう思うよう自分に言い聞かせていた。


「……それで、君は話をしたのかな、“戦艦”とは?」


「いえ、直接には。

あの空間の中で紹介された、三人の亜人の女の子と魔導士一人は、名付けられた“アール”と、果敢にコミュニケーションしているようです」


「話しづらかったかい?

敵の戦術管制AIだ、無理もないが……

エイミーなら積極的に接触すると思ったけどな」


 エイミーは、一瞬“おじさん”に戻ったホワイト大佐に心を開こうとしたが、自分の心に帳を降ろす何か、がそうさせないようだ。


 その心の襞の正体が何なのか、久しぶりに生じた内心の葛藤の闇に、小さなため息をつくのだった。



「当面、このまま現状維持だな。

一洸には、我々の検証作業に協力してもらおう。

鹵獲戦艦の統合体とのリンクが復活すれば、奴は統合意思のもとに活動しなければならなくなる。

保管域にいる限りその心配はないのなら、そのまま検証作業を実施する。

一洸の処遇だが、私の権限で軍属としての地位を与え、以後は連邦の協力者となってもらうしかないな」


「そうですか。

今回の任務において、一洸は随分と熱心に働いてくれました。

魔法を駆使したこの戦術は、私にとっても随分勉強になった部分があります」


「そうだろうな。

実は…… 彼とある約束をしたんだ」


「約束?」


「ああ、彼があのラウンドバトラーに乗りたいんだそうだ。

どうやら彼の時代の人間にとって、人型戦術兵器への搭乗は一つのドリームだったらしい。

私も昔の映像やコンテンツを見る限りにおいては、無理もないと思ったがね」


 エイミーは、一洸がバトラーを見る時の目を思い出した。

 

 そういうことだったのか。

 疑念の心を持つまでに、自分に協力的だと思ったその理由がこれでわかった。


「ですがまさか…… 彼に搭乗を許すのですか?」


「約束だからな。

ネクスターナル戦艦をほぼ無傷で鹵獲してきた対価だ、むしろ安いくらいだろう」


 エイミーは、自分の中に湧きあがる複雑な思いに動揺しかかった。


 彼がバトラーに……


 あれを駆るのが、どれほど難しいかわかっているのだろうか。

 AIは支援とサポートはするが、あくまで動作をするのは人間、操縦者である。

 たとえ神経接続をした上で操縦したとしても、システムとの親和性は天性のもの、訓練ではたどりつけない天賦の才が要る。


 それが彼女のバトラーに対する想い、敬意でもあった。


 シュミレーターで手足のように慣れるまでの時間を思い出し、“出来るものならやってみろ”と言いたくなる自分を抑えた。


「彼がシュミレーターの貸し出しを希望してる。

それが終わったら、兵装を外したバトラーを一機提供する。

その機体の監視と管理を君に頼みたい」


 エイミーは、軽く息を吐いて心を落ち着かせていた。


 お手並み拝見としようか。


「了解しました」



    ◇     ◇     ◇



“……一洸、お前は本当に凄いな。

これを全部保管していたのか、私が人間として活動していたころの映像が、夢にまで見たものが……

なんてことだ、まったく……”


 アールはただただ興奮して、オレの提供したフォルダのコンテンツを見ている。

 このAIが人間の身体を棄て、チップになったのはオレが転移した年から十数年後くらいらしい。

 あの時代を、オレとアールは同時に生きていたと言うことになる。


 オレはオレで、電力を供給してくれたおかげで、引っ越し時の家電品が全て復活した。

 冷蔵庫は必要なかったが、飲み物類を冷やしておけるのは助かる。


 ネフィラは、ファイルのリストを見てもただタイトルがあるだけで、内容はわからないだろう。

 だが一つ一つ洩らさず見ていくつもりらしく、その目の輝きは尋常ではなかった。

 ミーコたちは、そんなネフィラの後ろから興味深そうに眼を動かしている。


「……なんか、懐かしいな。

おにいちゃんの部屋、あたしの部屋」


 映像に出てくるマンションの部屋を見て、ミーコが呟いた。


 このPCも彼女たち用に一人ずつコピーしてもらうか。



“なあアール、さっきまでおいてあったあの人型ロボット、あれどう思う?”


 この、オレと同じ時代を生きたAIなら、あのバトラーを無視することはできないだろう。


“ああ、あれね。

そりゃ、興味深いさ。

一洸がどう思ってるのかもわかるよ”




 オレはアールに見えるように、ニヤリと口元に笑みをうかべた。


【 恐れ入りますが、下記お願いいたします 】


お読みいただき、ありがとうございます。

「面白い、続きが読みたい!」と思われた方は、

面白かったら☆5つ、つまらなかったら☆1つで

評価をお願いします、大変励みになります!

ブックマークも頂けると本当にうれしいです。

      ↓   ↓   ↓

引き続きお読みいただきますよう、

よろしくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ