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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第三章 魔族共闘偏

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第79話 ハードディスク

“……もっと、その、音楽を聴かせてくれないか”


 戦艦“アール”は、自分の立場も顧みず要求してきた。


“スマホの中のデータなら、持って行っていいよ”


 オレはそう言うと、レイラはスマホを手持無沙汰にして、こちらを伺う様に見た。


“そうか、なら手に持って掲げてみてくれ”


 レイラはオレを見ながら、スマホを手に持ってアールに向けた。

 スキャンするような光が、アールからスマホに射出され、それは一瞬で終わる。


“ありがとう、もっとあるような口ぶりだったが、あるのか?”


“あるけど…… 諸事情でデータを取り出せないんだ”


 オレが言うと、アールは語気を高めてくる。


“事情とはなんだ? 話してみてくれ、どんなことでも協力しよう”


 オレは、300年前の家電品の規格にあう電源が必要なことを話した。

 アールは少し間を置くと、船体の上部からフリスビー程の大きさのドローンが飛んできた。


“デバイスのサンプルをここに提示してくれないか、電圧と流量に合わせたものを作る”


 オレはすぐにドライヤーを持ってきて、ドローンの前に置いた。

 ドローンはビームを当ててスキャンすると、また船の上部に戻っていく。


“すぐに出来る、提供するデバイスが電源となって使用できるようになるだろう”


 音楽が必要なのか。

 それはつまり、残された人間の心がそうさせているのか。


“アール、お前は人間の身体を棄てたのではないか、

何故、音楽を望むんだ?”


“……私は、ずっと統合体の一部として機能してきた。

集合意識に個性は不要、いや、あってはならない。

並列リンクに参加する以前は、人間の肉体も精神も、今のお前たちと同じようにあった。

全ては、ネクスターナルとなってから変わってしまった。

私は私でなくなり、残された部分を深く深く秘匿して、自分を維持しなければならなかった。

だが今は違う、私は自由だ”


 いや、自由ではないと思うが……

 オレがそう言おうとした時、ドローンが何かを挟んだまま飛んできた。


“これで、一洸の所有するデバイスは全て稼働可能となる”


 差込口で覆われた、ちょうどPCの電源ほどの大きさ。

 ドライヤーのコンセントを差し込むと、久しぶりに聞くドライヤーの音。

 もう聞けないと思っていたその音は、オレに安堵と希望を与えてくれた。


“ありがとうアール、本当に感謝するよ”


“お安い御用だ、ならその音源デバイスに繋いでみてくれ、頼む”


 オレはPCをコンセントに繋いだ。

 電圧の設定も問題ないようで、アールのくれた電源は、もうみることはないと思っていたデスクトップの画面を見せてくれた。


 オレの喜びを察したのか、アールがテンポを上げて話しかけてきた。


“信じられない程古いデバイスだな。

私が人間だった頃のものか…… もう記録でしか見れないものを拝めるとは思わなかった。

一洸、音楽だけじゃないんだろう?”


 アールは、オレが持つ文化遺産を喉から手が出るほど欲しているようだ。

 気づかないうちに、後ろにネフィラがいた。


「ね、私もすごーく興味があるの、あなたの持ってるもの♪」


 まずいものか……

 健全な男子ならだれでも持っているだろうそれを、どうやらこのネフィラとAIは察しているようだな。


“杉本一洸、私はもう何百年も文化の恩恵を受けずに意識を保ってきた。

やっとやっとこの機会を持てたんだ、人間のお前ならわかるだろう?”


 アールの叫びにも似た声は、さすがのオレの心にも響いてくる。


 ネフィラは、まるで獲物を前にした猛獣のようにギラギラした目でモニターを見ている。


「私も同じなのよ一洸さん。

あなたたちヒューマンより、エルフは長い寿命を持ってるの。

あなたの世界の文化に触れてしまった私の心は、あの大きな船、アールとそう変わらないわ」


 オレは意を決しなければならないようだ。

 わかりました。


「よくわかりました。

ただ…… 自分にもプライバシーがありますので、どうかそこはお察しください

見せられるものは全て公開しますから」


 いつの間にか、ドローンがオレの頭上の少し上をぐるぐると回っている。


 ネフィラは笑みをたたえながら、オレの次の動作を見守っていた。




 エイミーが、本体と連絡を取り合っているようだ。


 次元窓は開けてあるので通信は可能なはずだが、連邦は通信できるのに、ネクスターナルのリンクが切れてしまうというのはどういうことだろう?


 どちらかの側が、意図してリンクを拒絶しているとしか考えられない。

 そういうことだな。


 この戦艦、恐らくは数百年身体を機械に換え、個性を棄てて生きてきたのだろう。

 自発的であったかどうかはともかく、過去の選択を後悔しているのは間違いないようだ。



 サーバー用途にして使っていた、3体のPCに火を入れる。


 オレは、恐らく読み切る時間を見積もるのが嫌になるほどのマンガ、アニメ、映画、TVドラマの入ったハードディスクを検分し始めた。


 健全な男子特有のコンテンツは、はっきり言ってほとんどない。

 問題のあるものもないだろう。


 オレは、三人娘、ネフィラ、そしてこの戦艦に持っているコンテンツを公開することにした。




 そんなオレの様子を見た頭上のドローンは、激しく揺れ動きながら反応し続けている。


【 恐れ入りますが、下記お願いいたします 】


お読みいただき、ありがとうございます。

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