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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第三章 魔族共闘偏

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第77話 生きている

 宇宙艇の中に鋲を打って保管域に入ると、跳ね回っているミーコたちに抱き着かれた。

 タックルされたようになったので、オレはその場に座り込んでしまう。


 見上げると、いつもの荷物置き場からは少し離れたところになるだろう、巨大なネクスターナル戦艦が静かに横たわり、港に停泊しているタンカーのようにも見える。


 受けた戦傷はそれほど痛々しいものでもないようだ。

 大破していたらと思うと、この戦艦のことを心から心配している自分に気づいた。



 オレは、保管域に鹵獲したあとの予定を実行する。


「レイラ、それじゃ頼む」


 レイラは待ってましたとばかりに頷き、離れた戦艦へ大きく掌を向けると、その艦底部分に魔法の光を当てた。


 みるみるうちに、底部は石の台座状のもので固められ、戦艦は完全動作不能の状態に陥っていく。


 何せこの体積である、しばらくレイラは魔法を浴びせ続けた。


 ミーコとアンナは、まるで銃を向けるが如く、掌を戦艦に向けて、いつでも暴威を射出できるようにしている。


 この子たちも大分場慣れしてきたな、何も言わずともこうしてやってくれる。




 エイミーがバトラーから降りてきた。


「一洸、一応起動制御を解除しているだけで、この艦の量子魚雷は発射可能なのよ、気をつけておいてね」


 三人娘は掌を戦艦に向けながら、オレとエイミーのやりとりにくぎ付けになっている。


「……一洸、あの、この子たちは魔法でこの船を抑えてるのよね?」


 オレはレイラの艦低固定作業が終わったのを確認すると、みんなを手招きして呼び寄せた。


「紹介しますね、こちらからミーコ、アンナ、レイラ、みんな冒険者パーティ“ブラザース”のメンバーで、最後の一撃の立役者たちです。

こちらはエイミー・ロイド少尉、今回の戦艦退治の仕事の依頼人で、連邦軍の軍人さんです」


 オレは三人にエイミーを紹介。

 互いに微妙な間があったが、オレは気にしなかった。


 ネコミミやウサミミを突っ込まれるかと思ったが、その辺りは既に慣れているのだろう、敢えて聞かれることもない。



「「「エイミーさん、はじめまして」」」


「……みなさんの魔法、本当にすごいのね、戦艦を行動不能にするなんて言葉がないわ」


 ミーコはエイミーに何か聞きたそうな様子だが、我慢しているのが伺えた。


 女性同士の微妙な立場を察する気遣いは、オレに求められても無理な話だが、三人娘たちからはなんとなく堅い印象を受ける。

 

 彼女が、闘技会の仮面の剣士だということは伏せておいた。

 ミーコのネコミミが、いつもと違いピクピクしていたのが印象的だ。



 荷物の影からネフィラが顔をのぞかせて、まるで隠れたネコのようにこちらを見ている。

 オレは大きく手を振り、ネフィラを手招きした。


「……わたし、出てきてよかったのかしら?」


 ネフィラはそう言いながらも、優雅にエイミーに挨拶する。


「エイミーさん、こちらはあのバトラーの“影”を演出してくれた、魔導士のネフィラさんです」


「魔導士…… 魔法使いの人なんですか?」


 エイミーのネフィラへの食いつきは、予想外だった。


 “魔法使い”


 その言葉は、時代を越えてオレの世界の常識下にあっては、言葉にできないほど魅力的なものなんだろう。

 闘技会までの偵察で、この世界が剣と魔法の世界だと知っていたはずだが、魔導士ともなると話が違うようだ。


 まさかこのエイミーまで……。


「魔導士…… 魔法使いって、宇宙空間でも魔法が使えたって本当に驚きです。

センサーにも反応しないのに、この戦艦を欺けるなんて、信じられません」


 ネフィラはにっこり笑うと、手を一振りして、まるで風に舞う木の葉のように、宙に舞い上がった。


 唖然とするエイミーの顔は見ものだ。


 三人娘たちは拍手してネフィラ先生を持ち上げている。

 このまま放置してもいいが、悪乗りしそうだな。


 そう思っていた時、エイミーのセンサーが何かに反応したようだ。

 彼女の見ているものは、網膜に映された情報の確認。


 エイミーは、横たわるネクスターナル戦艦を見て言った。


「一洸、この船、私たちを見てるわ」


「え?」


「戦闘行動はとれないけど…… 目はもちろん生きてるの。

センサーで、私たちの行動や会話をスキャンしてるみたいね」


 オレは戦艦を見上げた。


 もしこれに乗って宇宙を旅することになったら、それはそれで楽しいことなのか……


 それまで持っていた常識も見識も、価値観さえガラリと変わるだろうな。

 光速移行、超次元ジャンプ、いわゆるワープみたいなものだろう。


 自由に銀河を旅して、危険が迫ったらシールドで守られて、もし攻撃されたら魚雷で反撃。


 悪くないかもしれない。


 保管域に入っている限り、時間経過がないのだから、問題があるとすれば……


 退屈するかもな。


 こんなことを考えられるとは、今はそれだけ余裕があるってことか。


 微かに音がした。

 音楽が鳴っている。

 クラシックのようだ、高い音域が続いている。


 レイラのスマホのイヤフォンから音が漏れ出ていた。


「……あ、あの、私操作してないのに、どうしてですか?」


 レイラがオレに縋るように聞いてきた。


 エイミーもオレも、三人娘も、ネフィラまで戦艦を見上げている。




 その巨大な船は何も言わなかったが、確かに生きているようだ。


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