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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第三章 魔族共闘偏

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第66話 地球の復活

「その前に」


 エイミーは念押しするように言った。


「私は軍人なの。

この惑星には任務でやってきてるわ、よって軍規に触れることや、機密に関することは基本的に言えないのよ。

触れない範囲で喋るけど、気を悪くしないでね」


「ええ、言える範囲で結構です」




 オレは食べながらでいいので、そのまま話を続けるべく彼女に促した。


「この世界…… というか、この惑星にやってきた理由からお願いできますか」


 エイミーは次の袋を開けようとしていた手を止めた。

 そこからくるとは思っていなかったのかもしれない。


「…… 私の世界、あなたの未来にあたる地球はね、もう在りし日の姿ではないのよ」


 エイミーの顔は、それまでの明るさから一気に翳りを持ったそれへと変化した。


「丁度あなたの時代より少し後くらいかな、人工知能が人間の仕事をするようになった。

ほとんどの作業をAIを組み込んだロボットが処理するようになって、人類の生活は飛躍的に変化したわ。

社会構造から経済、人の意識まで大きな変革が続いたの。

それまでの人間の価値観も大変貌を遂げた。

効率よく労働して対価を得、それを生活の糧にして、時間を紡いでいく人生から、自意識を広げる活動へと移り変わっていったの」



 エイミーが大きく深呼吸するのがわかった。

 この人もオレと同じ、何かの節目には深呼吸なんだな。

 これから聞かされることは、そういうことなんだろう。


 オレは静かに身構えた。


「世界には200以上の国があって、それぞれに幸福の探求を続けていた。

でも、効率よく社会を発展させようとするグループと、旧来の人間の価値観を維持して、それを発展させようとしたグループに分かれたの、国家の枠組みを越えてね。

合理化優先のグループは、人間の形態に固執する必要はない、精神の体感機関に過ぎない身体は、もう必要としないだろうという考えを広げていった。

そうして世界は真っ二つに分かれたのよ。

合理化優先グループは、精神を量子AIと同一化して、機械に組み込むことに成功、それが世界中にあっという間に広がってしまった」


 エイミーはここまで話すと、次のチョコケーキを開ける。

 おれは保管域からペットボトルのお茶と紙コップをだして、彼女に出した。


 エイミーは驚いていたが、ためらいもなくお茶を飲み干す。

 緑茶を受け入れる文化がまだ残っていたことに、オレは少しだけ安堵した。


「今、一洸の目の前にいる私は、もちろん本来の価値観重視派よ」


「ええ、心配はしてません」


 エイミーはお茶のお替りを飲み干すと、姿勢を正した。


「戦争があったわ、とても大きな、地球を壊してしまうほどの」


 それを言った時の彼女の顔は、美しく整った造形に見事なまでの翳りを演出させている。


「本来の価値観を重視するグループ、つまり連邦側は、住めなくなった地球を離れて、巨大な船団をいくつも組んで新しい大地を求めて旅立ったの」


 ありがちな話だ。

 つまりは、身体を機械に換えた新人類と旧人類の戦争で地球は荒廃、新しい大地を求めてこの星へか。


「連邦は、この星に移住しようだなんて考えてないわ。

私たちの求めているのは、ネクロニウム、つまり巨大なエネルギー源であり、次元転移ドライブを動作させるエネルギー源となるものなの」


 ネクロニウム、そうなのか。


 次元転移ドライブ?


「……次元転移、つまり元の宇宙の過去と未来の繋がりではない、と」


「そう、あなたが私の世界の“線”の直接の過去ではなく、別の“線”の過去と繋がって今こうして話している、と理解するのが妥当かもしれないわ」


「世界線…… か」


 オレも彼女も少しの間、言葉を発しなかった。

 現実を咀嚼する時間をオレにくれたことに、彼女の気遣いの片鱗を見た気がした。


「私たち連邦が欲しているのは、エネルギー源であるネクロニウムよ。

戦ったあのアメーバ、あれからその反応がでているの」


 ネクロニウムの破片を集めていたのは、まさに任務だったわけか。

 だが、あのアメーバの目的はなんなのだろう。

 ベリアルの話では、魔族に偏ってその被害が出ているようだ。

 化け物の食べ物が魔族……


「……超次元エネルギーであるネクロニウムは、物理法則に反して生命を復活させることが可能なもの、生命の源と言われてるわ。

地球の復活、それが一番の目的よ。

そのためには大量のネクロニウムが必要なの。

これは私の目的でもあるんだけど」




 ネクロニウム、生命の源。

 ネクロノミコン、死者復活、永遠の命を紡ぐ秘術。


 繋がったな。


 ただ、あの化け物がその組成を持つ存在だとすると……

 栄養素が魔族?




 エイミーの身体からシグナルが小さく鳴った。

 彼女は軍人の表情に戻ると、通信を始める。


 喋っているのではなく、バイザーに映る情報に対して、網膜の動きか何かで応対しているようだ。


 なんという技術だろう。


 精神に直接タップして通信しないところから、人間らしさを残したいという意思が連邦の技術には感じられた。




「一洸、わたし戻らなくちゃいけないの。

ね、あなたもきてくれる?

あなたのその力、必要なの」


 オレは頷いていた。

 不思議なことに、自分の意思より先に身体が反応している。


 こんなことは初めてだった。


【 恐れ入りますが、下記お願いいたします 】


お読みいただき、ありがとうございます。

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