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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
最終章 爽酷清編

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第240話 進みゆく多くの課題

 オレがアメノムラクモを手にして保管域の次元窓を開けようとしたその時、アールの叫ぶような声が入ってくる。



“高位知性種が、軌道上の古のものに触れようとしている……

大量にジャンプアウトしてきているデバイスは、新しい可変タイプのようだ。

急げ一洸”



 クソっ、保管域での話はやはり無理か。

 オレは自分の描いた絵通りにならない、認めたくない自分をはっきりと自覚した。


 バルバルスが見ているだろうが、大人げない自分を晒すことに、もう躊躇はない。



“一洸、状況が変わっただけだ……

宇宙空間に戦士たちを出して、高位知性種を迎えよう。

私にはどうも、彼ら高位知性種が迷っているように思えてならない”



 エイミーから通信だ。

 高位知性種の周辺に展開しているわけだ、あからさまな動きを認めたのだろう。



“一洸、大量のデバイスがジャンプしてこようとしているの……

あなたの動きが直接見えないんだけど、私たちとネクスターナルはずっと周辺に展開しているわ”



“ありがとうございます、今保管域なんです。

緊急のお願いなんですが、地表のラウンドバトラーを軌道上に移動させるための時間って、どのくらいかかりますか?”



 オレは返答に時間がかかることを予想したが、予想は外れた。



“あのラウンドバトラー全機体を収納して軌道上にあげると…… 最短でも一時間近くはかかるわ”


 それでは間に合わない、やはりダメか。



“心配には及ばない……

我々には、ワープエリアを指定してジャンプさせる力がある。

エイミー少尉、地上のパイロット達に案内を頼みたい”



 ネクスターナルがすぐに返してきた。

 オレは、全身が痺れるような感動に打ち震えるのを隠すことができない。



“ネクスターナル…… お願いします。

エイミーさん、みんなを導いてください、よろしくお願いします”



 感動と感謝を全く隠さない自分に少々気恥ずかしさがあったが、この強力な助っ人の存在は有難かった。


 オレは、アールが送ってきたモニター情報から、地上の更地にジャンプアウトしてきた連邦とネクスターナルの合同艦隊を見る。



 設定されたワープエリアに集まっていくラウンドバトラーの大群……

 ネクスターナルの戦艦から発せられる淡い光が、バトラーの機体を包み始める。

 

 

「ね、一洸さん……あなたが戻ってきたら、私のお願いきいてくれる?」



 モニターを見つめるオレの肩に手をかけたネフィラはそう言った。

 戦闘中珍しいな、彼女らしくない。


 こんな状況だからこそ言っておかなければならない、何かなのか。



「お願いですか?オレにできることならどうぞ」


「その時に言うわ、あなたは必ず戻ってくる、私がそうさせる」



 ネフィラは後ろからオレの肩を抱きすくめた。

 オレはネフィラの手にそっと触れる。

 

 彼女の手はいつもと違い、少し熱かった。



 素早く次元窓を閉じると、オレは再び阿頼耶識に戻る。



“いにしえ様……”



 阿頼耶識からとてつもなく巨大な蛇の半身をさらしている古のものは、空間を引き裂いて突出させた“手”による裂け目を、さらに広げようとしている。


 今は話しかけてもだめか……


 高位知性種の浮遊する軌道上の空間、そこにまるで台風のような空間の渦が発生しかかっている。


 エイミーの言った、大量の何かが、そこからジャンプしてこようというのか。



“アンナ、レイラ、オレが戻ったらすぐに出る”



 伝えたオレは、急いで“0”に手を引いてもらった。



    ◇     ◇     ◇



 私は一洸さんの後に続いて保管域を出て、アンナちゃんと一緒に衛星から引き出してもらう。


 何もない宇宙空間…… 

 微かに光る目標空域、モニターが進むべき方向を示している。


 さっきアンナちゃんが言ってたあの戦術、やるのよね。

 私は自分のやるべきことはわかっているし、絶対あの人を守る、誰が盾になろうとも、最後にあの人の前にでるのは私……


 たとえあなたが誰を選んでも、私を選ばなくてもいい…… 私はあなたを、誰にも殺させない。


 まだ言ってなかった、お預けになってる願い事。

 これが終わったら、あなたの重荷が少しでも軽くなったその時に言います。



 アンナちゃんは私の少し前を、あの人の後ろに続くように飛んでる。


 その先にある空間の歪み、少し離れたところに、ほうき星が渦を巻いているみたいな大きな穴、穴から少しだけ出ている指……


 そう、あれは手の一部なのよね。


 空間の歪みから出てきているのは、ちょっと前に一洸さんが大きな鎌で消していた蟲たち。



 なんて数なの……



 でも今度はあの蟲、次々に形を変えて…… まるで、このバトラーみたいな人の形になってる。


 あの数、私たち全員で相手にする数じゃない。


 モニターは、私たちのいる場所から展開している連邦やネクスターナルの船の位置を表示している。



    ◇     ◇     ◇



“姉様、聞こえる?”



 私は姉様に通信を送った。


 こんな状況で無駄な通信なんて許されるわけじゃないけど、どうしても伝えておきたかった。



“アイラ、あなた今大丈夫なの?”


“ネクスターナル…… が、広い範囲にいる私たちを転移させるみたいなの……

これって、私たちが使う転移陣の拡大版なのよね?

この技術って、姉様は承知しているの?”



 姉様はしばらく考えているみたいだった。

 あの人が間を空ける時、それはあらかじめ答えがでているものを言うべきか否か、決めかねている時……


 つまり、もう既に方向性は決まっているということね。



“アイラ、転移の技術だけじゃない、これからこの世界を大きくかえるテクノロジー、魔法も含めたそれを開示していくことになるわ。

でもね、その前に私…… 私たちはやらなければならないことがあるの。

あなたならわかるわよねアイラ”



 世界にこの新しい技術たちを広めるには、解決しなければならない課題があまりにも多すぎる……

 一体どれほどのエネルギーと時間が要ることになるのだろう。


 私や姉様が生きた時間では足りないくらい、かな。


 でも私たちは知ってしまった、あの人が連れてきた、関わってきた別世界の技術……


 もう後には戻れない。



 私を含むバトラー戦士たちは、転移陣を包む魔素光とは違った、異世界の技術による光に身を任せ始めた。


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