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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第九章 避けられぬ戦い編

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第201話 守るべき存在

 コミュニケーターをタップしようとした瞬間だった。


 天空を破るように迫りくる巨大な光球、隕石のようなそれが空から墜ちてきた

 そのあまりの迫力に、オレの身体は固まったように動けない。

 あっという間に地上に激突、風圧と熱波にオレとミーコは吹き飛ばされる。


 核爆発のようなものだろう。


 放射能がないだけまだいいが、普通は死ぬ。


 そんなことを考える余裕があるのが自分でも不思議だったが、保管域を開く間もなく、オレとミーコは散り散りに吹き飛ばされてしまった。



 必死に木にしがみつくオレ。


 ミーコを探さねば。


 オレはコミュニケーターでミーコの名を叫ぶが、風が生み出す轟音で声にならない。


 こいつのセンサーが使えればいいが……



 コミュニケーターのミーコの反応、吹き飛ばされた先からあり、オレは風圧を利用してそこまで飛ばされる。



「ミーコっ!」


 木にしがみついているミーコの手を握って抱きしめるオレ、二人同時に飛ばされる。


 くそっ、この状態では“窓”を開けない……



 とにかく、まずどこかに落ち着かねば。


 飛ばされた拍子で、大木に背中を強く打ちつけれたオレは、あまりの激痛に声を上げた。


 ミーコをかばっていたので、彼女に衝撃はなかったはず……



 気絶する寸前、オレはミーコの手をとって、


「ミーコ…… 先に逃げるんだ…… オレは……」


 無理やりボックスを開けようとしたが、うまく体が動かない……



「いやっ! おにいちゃんを助ける」


「ミーコ!」



 オレはその時にだせるありったけの強さで言ったが、ミーコは素早くオレを抱えると凄い速さで走り始める。


 追い風もあったのだろう、景色が見えないほどで、あまりの素早い動作と俊足に、オレは声も出なかった。


 森を抜け、爆風の嵐から遠ざかったのを確かめると、ミーコは走る速度をおとして岩陰にかくれるように止まった。


 息をきらせているが、それほど疲れている様子もない。



「ミーコ……」


 オレは何と言っていいかわからなかったが、ミーコの顔をしっかりと見つめて言おうとした。



「おにいちゃん、あたしおにいちゃんに何かあったら、もう生きていけないの」


「……」


 ミーコはオレの手を握って言った。


「あたし、おにいちゃんが危ないときに助ける力くらいあるよ」


 オレは、今しがた見た彼女の力と俊足を全身で感じた直後だけに、もはやその言葉に抗う気持ちもなかった。



「ミーコ、オレはミーコが大事だ、だから危ない時はミーコだけでも……」


「おにいちゃんが危なくなったら意味がない! あたしは、おにいちゃんが危ないことをする方が嫌なの!」



 ミーコは強くオレの手を握って言った。

 その目は、鳴きながらオレの帰りを待っていたあのミーコの目だった。




 身体中を激痛が走る。

 オレが軽く呻いていると、ミーコが横に寝かせて光を当て始めた。


 黙って彼女の施術のままに身を任せる。

 この直前に何かあったよな、思い出さなくては……


 そうだ、通信が入っていたんだ。

 シグナルは消えていたが、4Dボードには小さく履歴が残っている。


 これは…… ネクスターナル?



 地震だ。



 いや、他の地域に落ちた光球による地鳴りだろう。

 何とも言えない地場の波が感じられた。


 オレはネクスターナルに通信を試みる。



“オールドシーズ一洸…… 大丈夫だったのか?”


“……これは、どういうことなんですか”


 一瞬の間があったが、抑揚のない声は一気に伝えてくる。



“高位知性種による惑星への大規模破壊が実施されている。

今現在我々も防御に回っているが、完全には防ぎきれていない。

亜空間からのエネルギー波による直接攻撃だ”



“……すぐ対策します、ご連絡ありがとうございます”



 オレは大分動くようになった身体を起こすと、ミーコを抱きしめて言った。



「保管域に戻って戦闘準備に入る……

オレを、助けてほしい」



 ミーコは小さく、だがしっかりとオレの肩越しに頷いた。


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