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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第九章 避けられぬ戦い編

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第193話 提案の可能性

 ゴーテナス帝国帝都にある評議会議長の執務室にて、ネクロノイドの被害報告を聞いているガイアス議長。



 エージェントは、世界各国に設けられたラウンドバトラー隊の活躍を報告している。


 その被害は魔族に集中、襲われた街区には人間の死体は残り、魔族のそれは残らない。

 初期の頃から噂されていた内容は、現実の数字となって世界が認識するところとなっていた。


 ネクロノイドは襲撃の際はあらゆるモノを飲み込み、魔族を捕食し人間は吸収しない。



「……内容はわかった、引き続き調査は継続しろ」


 エージェントが退室した後、ガイアスは深くため息をついた。




「いいぞ」


 ガイアスの声を合図に執務室の書庫の裏に潜んでいた“影”、ガイアスの前に出て、手に入れた情報を広げる。


 ラウンドバトラーのコックピットの詳細図、機体の構造を示した絵図、魔道具によって写された画像。



「内部の構造は我々の理解力では到底及びません…… 文明の差があまりにもありすぎます」


「わかっている、なにも完全に把握しろとは言っていない」



 静かに画像を見つめているガイアス。


 構造図は二つの大きな駆動装置を示している。

 一つはバトラーへ力を生み出させるもの、それに直結している筒状の装置。



「やはり現物の鹵獲が必要だな…… 事故に見せかける、それには作戦が必要だ」


「操縦者は特別な訓練を受けています。機器の操作からメンテナンスまで、あらゆる部分を魔元帥の配下が管轄し、外世界の技術者のみが実施可能とのことです。

これだけを奪取しても、恐らくは全く使い物にならない可能性もあります」


「お前ならどうする?」


「……」



 “影”は閉口してしまう。


 ガイアスはさすがに無意味な質問だと思ったのだろう、彼自身も口を閉ざす以外になかった。



「……その、今わかっている範囲で申し上げると、これは魔力保持の操縦者と、バトラー本体と、そしてメンテナンス者の三位一体が揃って始めて力を発揮できるのです、そのどれが欠けても使い物にならないようです」


「そんなことはわかっている、だからお前ならどうするかと聞いたのだっ!」


「……これは施政にかかわる部分なので私などが申し上げることではありませんが…… 提案してみてはいかがでしょう?」


「提案だと?」


「はい。

ラウンドバトラーのエネルギー供給システムを、この世界の産業構造に取り入れたい、平和で安定した市民生活を確保するために協力願えないだろうか、その対価として我々が提供できるものは何か、といった感じで」



 ガイアスは声を上げそうになったが、かろうじて抑えた。


 それはゴーテナス帝国だけではなく、他の国家を含めた世界全般への協力依頼となってしまう。

 帝国の独占された戦力への投下とならない、意味がないのだ。


 ガイアス議長は口をつぐむしかなかった。




 仮にもし技術提供の話に持って行けたとしても、必ず平和利用限定の制約を設けられるだろう。


 完全に無意味とは言えないが、あまりに利が薄い。



 飛躍的な科学力の進歩、その方策は権力者が独占してこそ意味を成す。

 愚民どもは適切に管理されてこそ、存在に価値を見出せる。

 生かさず殺さず、力を与えるなど愚策の極み。


 言うまでもないことだ。



 単機で一つの都市全体を消滅させることのできる圧倒的な火力……

 その技術の対価として提供できるもの。


 常識を超えた科学力を持った存在に提供できうるものなどありはしない。

 彼らが我々を蹂躙しようと思えば容易いことだ、交渉の余地などないだろう。



 魔元帥の伝手で技術をもたらした連中の真の目的はなんなのだ?

 この事態に際して、慈善的な戦力供与をしてくれる目的とは……


 あの魔元帥あってのことだというのか、それだけで圧倒的な破壊力を限定的に提供してくれているのだと……



 ガイアスは静かに目を瞑る。

 目の前にある現実から逃れる手段は、今の彼にはそれしかなかった。


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