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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第八章 終わりなきものへの挑み偏

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第178話 感覚共時

 対戦状況のモニタリングをしていたリロメラが、何か言いたそうにしている。


 映像を見ながらミーコと話をしているが、どうやら意見が一致しているようだ。


 アンナがその意見に対して何か反論めいたことをしている。


 こうしてみていると、異世界の天使も亜人・獣人も、人間世界の関わり合いと何ら変わることはない。


 オレは安心するような気持ちとともに、厄介ごとにならないようささやかに祈りながら、静かに映像を見続けるレイラの後ろ姿を見つめた。



「なぁ一洸、連携した動きが重要なのはわかるけどよぉ…… 戦闘能力の底上げは、集中して数こなさないと上がんねぇんじゃねぇか?

俺ぁいつでもいいぜ、どっと送り込めよ!」


 あーあ。

 そう言うと思った。


 もうバトりたくて仕方がないんだろうな。

 シミュレーターの仮想空間はステージごとに作れるが、彼らと遊びたくて居ても立ってもいられないのが手に取るようにわかった。



「リロメラ……」


 おれはかすかなため息とともに、独り言のようにつぶやいた。


“一洸、シミュレーターの新機能が出来上がった、感覚共時…… 戦時の動作感覚を一時的に共有できる機能だ”


 え?


 感覚共時……

 アールがシミュレーターに新装した機能なのか。



「感覚共時とは、具体的にんなものなんだ?」


“パイロットの戦時状況や感覚を、同時ログインした複数他者に一時的共有させることができる。

精神の内面まで見せるわけではないので、心配はいらない”


 それは素晴らしい。

 ということは……


「アールすげぇな、俺らの遊びをあいつらに感じさせてよぉ、慣れるまでの時間を短縮させるんだよな?」


“その通りだ、属性毎の関連対象者に紐づけされた状態にするので、戦闘のトレースもたやすい”



 なるほど、確かにいいかもしれない。

 あくまで属性ごとの個別戦闘においてはだが。


 オレはその話に乗ることにした。



 ネフィラが、“仕方のない子たちねぇ……”といった表情で、肩の力を抜いているように見えた。


 ミーコの目はキラキラと輝いている。


 あの子の場合はこういったやり方でないと、候補者たちとの接点は作りづらいんだろうな。




「魔元帥様の戦いが共有できるのか……」

「アンナさんの攻撃方法、私たちも出来るようになるかも、凄いわ!」

「あの人魔族なの? 魔獣なの? あの翼ってまさか天使……」


 養成者たちは口々に期待と不安を吐き出したが、初めての感覚共時、むしろオレがこのメンバーの戦時感覚を知りたいくらいだ。



 ログインしたオレ、ミーコ、アンナ、レイラ、リロメラ。


 属性の班毎に紐づけられたマシンにログインする養成者たち。


 やはり数が限られているので、オレたちは計6回以上はバトルをしなければならない。


 まぁいい、散々遊び倒したのだ、ただのレクリエーションだと思えば。



 オレたちはいつものように容赦なく殺し合う。

 もうこのメンバーの癖は熟知している、見かけに騙されてはいけないことも。


 そんな感覚まで共有できるのかどうかわからないが、養成者たちはオレたちの戦いを自分の神経を通して感じることが出来たはずだ。



 多分……



    ◇     ◇     ◇



“バラム、ログインする”


 私がシミュレーターにログインした後、モニターには“感覚共時 - ミーコ機”と表示された。



 この感覚……

 私のものとは明らかに違う。


 敵を前にし、心の波を感じ取っている。

 それは時に荒々しく、優しく、また激しく。


 だがこれは、私があの人に感じていた想いに似ている。

 追いすがるような、抱くような、そして奪い取るような……


 ミーコ殿、一洸様への思いを直接感じることはできなくても、あなたが彼をどれだけ愛しているか、大切に思っているか、かけがえのない存在として自らの内にしたためているか、よくわかります。


 戦闘においてさえ他の誰かに彼を打ち取らせたくない、その動きのひとつひとつから感じられる。


 力の発動タイミング、感覚の研ぎ澄まし方、敵の動向を先読みする術、そして感情の抑制……



 全てが、私の持っている戦いにおける感触と相応するものがある。


 彼女は戦士としての才能がある、それは間違いない。


 ただ、その力の矛先が全て一洸様への想いとなっている、彼女は滅ぼしたい強い対象があるわけではない。


 この子は一洸様がいなければ、生きていけないのだろう……



 私の、あの人に対する想いと同じだ。



    ◇     ◇     ◇



“サーラ、ログイン”


 私がログインすると、今までに見なかった“感覚共時 - イチコウ機”の表示。



 あの男の感覚。


 まるで馬に乗るように…… 草原を駆け抜け、岩を飛び越え、大地を走る駿馬を駆るように、この機体に跨っている。



 この男はこれに乗るのが楽しいのか?


 私も乗馬そのものは嫌いじゃないが、埃と振動、それに馬の匂いが好きではない。


 戦いが好きな私とは違う、このバトラーに乗ることそのものが好きなんだ。



 あの闘技会で私を焼き焦がした男……


 姿の見えない手下の女を使って、私を焦がした男……


 焼き焦げる寸前に、蒸し焼きになった私を冷やして、殺さなかった男……



 許さない。


 絶対に許さない。


 同じ思いをさせてやる、初めて味わった屈辱、私と同じ痛み、苦しみ、そして……


 私をこんな風にした男。



 やっと見つけた。



    ◇     ◇     ◇



“アイラ、ログインします”


 表示が変わった。

 それまでとは違って、“感覚共時 - ミーコ機”の表示だ。



 あの女の子の感覚……


 姉様、私すぐに気づきました。

 あの魔元帥、あなたの視線と想いがあの人だけにあることを。


 でもこの子もあの人を目でいつも追っている。


 この子の想いと姉様の想い、どちらも女の独占欲を痛いほど抑えているのがわかる。



 嫌われたくないから?

 それもあるでしょうけど、でも何かもっと別のものを感じる。



 姉様、“理を極める”と言って、私たちのもとから去っていったあの日から、もう何回の夜を数えたろう。


 女としての生き方を否定し、ただ学究者として生きる様を私に見せつけた姉様。


 母様も父様も、あなたを心配して心配して、どれほどのものだったか、あなたは知らないでしょうね。


 バルバルス、あの人が現れてから、全てが変わってしまった。


 エルフも、あなたも、そして……



 姉様、あの魔元帥を見てすぐわかったわ。


 あなたならそうなるだろうって。



【 恐れ入ります、下記お願いいたします 】


お読みいただきありがとうございます。

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物語も終盤に差し掛かってまいりました。

もうしばらくお付き合いくださいます様、

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