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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第八章 終わりなきものへの挑み偏

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第177話 守りから攻め

 サーラはオレの前で気まずくなっている。


 初見で見せたキツイ感じが抜けて、今は棘のない蜂のようにただ震えるままになっていた。


 恐らくは自分とそう変わらないか少し若いくらいの彼女に対して、こんな時どう接していいかわからない。


 人間力とでもいうのだろうか、オレにはとても及ばない年功の力、望むべくもないのだろう。



 周到に引火性の水を撒く所業は見事だったし、間違いなく自分の属性をよく理解して駆使したアンナの勝利、決め手となった破壊力も抜群だった。


 連携された攻撃で功を奏した、認めなければならない。



「これは模擬戦、シミュレーターの練習だ。

でも実戦とほとんど変わらない数値が得られるのも事実。

様々な状況があると思う。

失敗した数だけ強くなれる、オレはそう思ってる」


 本当に偉そうなことを言えた身分でないのはわかっているが、この短い期間で得られたスキルの上で言わせてもらった。


 サーラは黙って聞いてくれている。


 気にしてないよ、目的はネクロノイドの殲滅、戦争で死人をつくることじゃない。



 個々の属性をインプットされた模擬戦にて、自らの力の使い方を改めて認識するパイロットたち。


 練られたプランによって、オレのグループを追い詰めたアンナ一班。


 属性を上手く使った序盤攻撃にて圧倒したその攻撃に、オレもメンバーも連携して戦う意味を改めて再確認していた。




 シミュレーションしたデータをもとに解析を行うアールは、ネフィラとスクリーンに展開されたデータを前に話しをしている。



「一洸さん、アンナちゃんのグループとレイラちゃんのグループは6班、ミーコちゃんは4班あるの。

ランダムに組み合わせてやってみるわ、いいでしょ?」


 5機単位で分ければそうなるな。

 それにしても数が多い……


 こうなるはずじゃなかったんだが。


 ただ審査をやっていても、ほぼ候補者全員が及第点以上だったのも事実だ。


 世界中から集まった腕利きの魔法使いたちだ、無理もない。



「そうですね、そうしましょう。

組み合わせはネフィラさんとアールで決めてください。

データを見た上で、試したい部分もあるでしょうし」


 オレは自分も戦闘に参加する関係上、彼らにまかせることにした。




 イリーナが元気のなさそうな顔をしている。

 そういえば彼女はあの時点ではどうだったのだろう。


 オレはモニターにある、彼女の戦績データを見つめた。


 被撃墜、開始時間から終了までの時間が表示されている。


 あの炎獄から抜け出るや否や、すぐ撃たれたわけか。


 初戦なので無理もないが、彼女もフォローしておこう。



「イリーナさん、おつかれさまでした。

最初のシミュレーションです、どうでしたか?」


 彼女はまるで少女のような面持ちで、オレを見上げた。


 この人もオレより5歳近く上程度の年齢なはずだが、こうしているとまるで妹に話しかける感じである。



「……一洸さん、ごめんなさい。

私、全然役に立てなくて…… こんなに弱肉強食だったなんて、想像以上でした」


「最初ですよ。それにこれはシミュレーションです、こういってはなんですが遊びなんです。

慣れて続けることです。

確実に練度は上がっていきますし、自分でも怖いくらい数値は上がって行きます。

保証しますよ」


 オレは自分が経験した時間を元に、思ったことをそのまま話した。

 彼女に期待する部分は、通常の力による撃ち合いではない。


 オレの言を信じるかどうかは、これまで自分に関わってくれた彼女の大人な感性に任せるしかないな。




 オレとネフィラとアール、ミーコ、アンナ、レイラは、今後の班別戦闘のことについて話し合った。


 班ごとに戦う場合、リーダとなるオレたち4人が常時参加して指揮をとる。

 自分の管理する属性グループの全てを実地で把握する意味でも、これは仕方ないことだった。



“個別のデータ収集という意味でも、理想的なサイクルだ。

いずれにしろ、単体での勝ち抜きバトルのような戦い方は、もっと後になるだろう。

今やってもあまり意味はない”


 アールの言うことはもっともだと思った。



「あの…… ネクロノイドって、現れてから叩くばかりで、随分相手次第な気がします。

積極的に巣を見つけて叩く、とかどうでしょうか?

無暗に刺激するのではなく、相手の情報を集めるのも必要なんじゃないかと思います」


 アンナは、敢えてオレの方を向いてそう言った。


 もっともな意見だ。

 だが戦力を整えている最中だ、いずれにしろもう少し後になるだろう。



「アカト山って、あるわよね。

少し前にネクロノイドに滅ぼされた国にあった火山。

現在、大分活動が沈静化しているのよ。

あそこに調査に入るのはどうかしら?」


 ネフィラが、予め思っていた内容を吐き出すように話し始める。

 ネフィラの表情から、発言以上の真意を読み解くことはできなかった。



「オレたちがあのマシンに完全に慣れるまでかかった時間より、今の彼らならもっと早く仕上がると思う。

やってみますか」



 守りから攻めか……


 この養成の効果測定、実地で試すのもいいかもしれない。

 藪蛇になって被害者をだしてしまう可能性もあるが、肩慣らしとしてはいいだろう。


 何かの手がかりがつかめるだけでもいいかな。


 オレはミーコたちの顔を順番に見て言ったが、彼女たちから不安の色は見て取れない。



「プランを立てましょう」


 オレはそう言って、軽く深呼吸した。


【 恐れ入ります、下記お願いいたします 】


お読みいただきありがとうございます。

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物語も終盤に差し掛かってまいりました。

もうしばらくお付き合いくださいます様、

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