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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第七章 覚醒せしもの偏

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第168話 見事な破壊行為

「ゴーテナス帝国よりまいりました、冒険者のカミオです。

光魔法を使います、発動に剣を使いますがよろしいですか?」


 カミオの目の前にいるミーコ、元気に頷く。


 カミオは憎いほど爽やかな笑みを浮かべている。

 剣を抜き、光のたてがみそのままに眩い尾を曳きながら、一閃。


 光の剣に溜められた光弾は、岩に当たるやいなや飛び散る火花のように鮮やかに散った。



 美しすぎる……



 歓声はしばらく沸かなかった。

 あまりの見事な光の芸術に、見るもの全てが言葉を失ってしまう。


 オレは審査員長ながら、拍手してしまった。

 反射的だったのは言うまでもない。


 つられて観衆たち全てがカミオの美芸を称えて湧きあがる。


 彼らが落ち着くまで、しばらく待つしかないな。




 言葉を失う華麗な魔法実技。

 初段でこの二人の芸術を見せられた後で挑むのは、気の毒というものだろう。



 その後、雷、風、光と、20人程度の候補者の実技を見たが、最初の2人程の美芸にお目にかかることはなく、それなりに及第点といった内容が続く。


 休憩に入ったオレたちは、飲み物を飲みながら意見交換することにした。



「あの最初の女の人…… 凄すぎるよ。

あの人は多分、光や風以外の魔法も使えるよ、あたしわかる」


 ミーコは興奮気味で採点表を見ている。


「あ、あの、岩の消え方なんですけど…… すごく、なんていうか、綺麗なんです。

丁寧な分解の仕方というか。

わたし、再生する時って、もともとそこにある石を組み直して岩にするんですけど、あの人の消した岩のかけらから作り直すとき、すごくスムーズにいったんです」


 レイラが珍しく興奮気味であった。

 それほどということか。


“丁寧な分解の仕方”


 試験媒体となる岩を造る試験官がそう言うのだ、他の候補者とは次元が違うということか。


 オレは、ネフィラが“アイラ……”とつぶやいたことが気にかかった。

 ネフィラは、オレがミーコたちと話し合っている時に口をはさんでこなかった。


 やはりなにかあるな。



「光のスピードですけど、審査員席から見ると、とてもよくわかるんですよね。

技の速さでは、カミオさんがダントツでした」


 アンナがオレに同意を求めるように話す。

 それはオレも率直に感じていた。


 今更ながら、カミオの剣速は異常だ。


 あの速さで振るわれる剣で光魔法を行使されれば、当然そうなるだろう。




“一洸、今いいかな”


 カミオから通信が入った。

 オレはみんなにすぐ戻ると言って席を立つ。



“直接話した方がいい内容なんだが……

この時点で、審査委員長と親し気に話すのも気が引けるんでね”


 そうだろうな。

 このタイミングでオレに伝達する内容、それなりのものだろう。



“きみがゴーテナスの間諜に探られているのは知っていると思う。

今回の適性審査会、ガイアス議長の手の者が何人か入ってきている。

誰がそうなのかはわからないが、気をつけてくれ。

何をしようもないのはわかっているが……”



 そうか。


 オレが魔元帥イチコウであるということも含めて、気づかれるわけにはいかない内容が多すぎる。


 そういう部分での緊張感が足りなかったのは事実だ。


“ありがとうございます、気をつけます。

あ、それとさっきはすいませんでした……

あんまり見事だったもので、つい審査員でありながら拍手してしまって”


 声こそ出なかったが、カミオが笑っているのがわかった。


“いや、あれでも気をつけたんだよ。

ミーコちゃんやレイラちゃんに、火の粉がかからないようにさ”


 やっぱ、この人にはかなわないな。


 オレは少しだけ肩の力を抜いた。




 審査員であるミーコとレイラは、手元にある採点を真剣に見つめている。

 アンナは、考え込んでいるようだ。


 この子なりの基準があるのだろう、オレは斜め後ろからアンナの横顔を眺めていた。




 次の一人でミーコの管轄は終了だ。


 筆頭魔神将バラム。




 彼女が立ち上がると、運営スタッフである魔族たちが襟を正して直立する。



 バラムはステージに立つと、オレやアンナ、そして手前にいるミーコやレイラに向かって、優雅に貴族の礼をした。


 オレは彼女に向かって軽く頷くと、心の中でつぶやいた。


“バラムさん、ほんの少しでいいですから、お手柔らかに……”


 聞こえようもないだろうが、察してもらうしかない。



 バラムは岩に向き直った。


 ミーコがステージから素早く降りようとしているが、バラムはそれを制した。


「ミーコ殿…… 心配には及びません。

対象を砕くだけにしますので。

ただ飛び散ります、岩からは離れてください」



 ミーコが泣きそうな顔になっているのは、ここからでもわかった。

 レイラは、バラムがステージに立つ前から、岩に相当な距離を取っている。


 オレは不謹慎ながら、笑いそうになってしまった。


 この子たち、やっぱりかわいいな。




 バラムは拳を握りしめ、まるでカタパルトから射出されるラウンドバトラーのように、軽くかがんだ。


 プラズマが彼女に纏わりはじめ、周囲の空間が歪み始める。


 ミーコもレイラも、アンナまでも耳を塞いでいる。


 バラムの腕に力が入り、軽く上下した。



 閃光と爆音で舞台は鳴動。

 その瞬間、岩は爆散した。


 砂状になって霧散したと言った方がいいかもしれない。


 見事な破壊行為だ。



 最初の女性やカミオとは違った歓声と拍手がしばらく会場を包み続けた。


【 恐れ入ります、下記お願いいたします 】


お読みいただきありがとうございます。

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物語も終盤に差し掛かってまいりました。

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