第167話 選別開始
選考方法では、みんなの率直な意見を活かした……
つもりだ。
ミーコ「やっぱ、直接やりあってみるのが早いよ!」
アンナ「項目ごとにリストを作って、最後に集計がオーソドックスでいいと思います」
レイラ「あ、あの、その二つを合わせたもので……」
アール “私は君たちの選別した候補者の機体イメージを最後にとらせてもらう…… よって、君たちの戦闘経験からくる感性に委ねるよ”
ネフィラ「そうね…… みなさんごもっともだけど、魔法ってやっぱり直感なのよ。
“あ、この人きっと凄い”って、最初の一瞬でわかるものなの。
だから、その部分を大切にしないとね」
今回は一次養成者の選別。
各国、地域によってメインとなるパイロットの選別ともなり、二次、三次で地域ごとに割り振られたメインパイロットの相方、サブ要員の養成となる。
よって地域に極端な隔たりができないよう、ある程度配慮する必要がある。
地域ごとのリストに必要数を算定し、それを埋めるようなイメージで候補者を選ぶよう説明した。
一次養成候補者数は50名。
今いる頭数からだと、半分近くは落とさなければならない。
正直苦手だな……
あくまで“バトラー戦闘時における攻撃特性の有無”の確認だ、数にこだわる必要はないだろう。
だがバトラー搭乗でのネクロノイド殲滅には、どうしても強力な魔法戦闘力が必要だ。
もう残された時間はあまりない。
「わかりました。
みんなの感性をもとに、各項目ごと5段階評価でつけてください。
地域ごとの必要数が埋まるように選別する必要があるので、ガチ能力だけの選定にはなりません。
候補者は各地域で選別された、現段階でも相当の実力者たちです。
それにあくまで“バトラー戦闘時の攻撃力の確認”なので、全員合格ということもあり得ます、その辺りはあまり厳しめにしないよう柔軟にお願いしますね」
オレはみんなにそう言ったが、果たして憶えておいてくれるだろうか……
「一洸、容赦ねぇ奴は残しておいてくれよな。
言うまでもねぇけどよ」
一連のやりとりを時に興味深そうに、またまどろこしそうな目線で眺めているリロメラは、模擬戦で無慈悲に遊ぶことしか頭にないようだ。
属性ごとのグループに分けられた候補者たち。
かなりピリピリしたものを感じてはいたが、秩序だって振る舞ってくれているのは、ただの能力誇示のためのデモンストレーションでないことを理解してくれているということだろう。
「各グループの候補者たちは、名前を呼ばれたらステージに上がり、審査担当者の下、属性魔法の行使をお願いします。
方法は自由です、影響が大きくなりそうな場合は、予め伝えてください」
会場のアナウンス係が候補者に伝えている。
まずはミーコからだ。
彼女は元気にステージに上がって行った。
魔法を充てる対象は、巨大な岩。
今までみんながデモをやっていた関係上、これが一番わかりやすいだろうということであつらえた。
ステージ脇では岩をすぐ再生できるよう、レイラがスタンバイしている。
ミーコは岩から少し離れた場所で、候補者が魔法を放つ状況を間近で観察できる。
「アイラです。
シルフィアから来ました、風と光を操ります。
2回に分けますので……」
“アイラ……”
確かに、コミュニケーターからそう聞こえた。
ネフィラの声だ。
オレはネフィラに既知の人物か聞こうと思ったが、実演は始まるようだ。
アイラと名乗った女性はエルフ。
シルフィア、エルフの多部族共同体か。
長い金髪、身長はミーコより少し高いくらい、顔は……
エルフならではの比類なき造形、美の象徴のような美しさ。
え?
ネフィラに少し似ている。
同じエルフなのだ、そういうことだろうな。
ミーコは、アイラの行使ポーズに身構えている。
アイラが掌を岩に向けて、光魔法を放った。
岩は光に包まれると、爆散ではなく蒸発するように消えていく。
それは瞬時に成されると言うよりは、じわじわと消滅する感じだった。
会場の一同から、“おぉ……”という低い感嘆の声が聞こえてくる。
レイラが岩を再生させた。
「2回目…… やります」
アイラがポーズをとった。
シュッという風が編まれる音とともに、光が放たれ始める。
岩は一瞬で光と風の収束した力によって消滅してしまった。
会場は大歓声、手をたたいて飛び跳ねるミーコを見ながらオレも思わず拍手した。
これは凄い、今のミーコとほとんど変わらない…… いやそれ以上かもしれない。
保管域での時間制限のないトレーニングを経ないでの結果だ、どれだけのポテンシャルなのかは言うまでもないだろう。
ステージ上のアイラは涼しい顔で、審査員席に軽く頭を下げていた。
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