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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第七章 覚醒せしもの偏

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第162話 相性

 ネフィラ魔法学校の連邦軍人たちの魔法実技。

 ミーコたちやリロメラも一緒で、アールももちろん見ている。


 軍人の一人が、「ファイアーボール!」と叫んで繰り出すが、かわいい人魂みたいな火が出るだけであった。


 別の一人が「アクアボール!」で両の掌を撃ちだすが、コップの水をかけた方がよさそうな程度である。



 オレたちから最も離れている女性軍人が、「ライトニングボール!」で放った力は、ミーコの出すような風を纏いながら電撃を撃ち出した。


 それは、まるで横殴りに射出した雷そのままである。



「あの人…… 風魔法と雷を一緒に放ってた。

あたしもやってみる!」


 ミーコは自分が使う魔法と同時に放たれた雷に、ショックを受けたようだ



 走り出したミーコは、教室のメンツに影響の出ない場所までいくと、風を起こして雷を放った。


 光魔法を放つミーコが雷魔法をやらなかった理由、雷より光を集約して射出する方が攻撃力が高いからだ。



 雷か。



 ミーコも使えるのなら、少し別のやり方も考えてみよう。


 彼女の放つ雷の威力を呆然と見つめる連邦の軍人たち。

 彼らは集まり始めて、ネフィラに陳情しているようだ。


 ネフィラが歩いてきた。



「アンナちゃん、レイラちゃん……

連邦のみんなが、あなたたちの魔法を是非見てみたいっていってるの。

私、レベルが違いすぎるから逆効果になるんじゃないかと思って、もっと仕上がってからにしようと思ったんだけど、ミーコちゃんが雷に目覚めてしまったみたいね」



 ネフィラは雷射出、この場合雷撃と呼んでいいのだろうか、風雷撃魔法を放ち続けるミーコを、少し心配そうに見ていた。


 雷魔法……


 昔のアニメにあったな、彼氏の浮気性に激怒した鬼っ子が、電撃で懲らしめるやつ。


 オレはまさかと思ったが、今のミーコを見て少し怯えてしまった。



「みなさん、ここにいる4人は私が教えた一期生の人たちです。

それぞれ属性が違うけど、攻撃力のある魔法のデモンストレーションをやってもらいます。

ラウンドバトラーに乗って放つ魔法としては、すべて有効な攻撃性を持っているわ」



 そう言ってまずオレが、的である岩の前に立たされた。


 にっこり笑いながら、小さく頷くネフィラ。

 オレは諦めたように、岩に向かって狙いを定める。


 深呼吸……


 いつもの鏃ではない、ゆっくりと魔素をため込み、闇の波動を自分の身体の中で編みこんでゆく。



「黒色破光!」



 オレのクロスした腕が、巨大な漆黒の“X”を形成し、黒い暴威が放たれる。



 それは一瞬の出来事。

 岩は消滅、爆散するのではなく、完全に消し消えてしまった。


 自分でやって、これほどのものかと驚いてしまう。

 気づかないうちに魔法力も爆上げしていたようだ。


 ネフィラは満面の笑みになり拍手を始めた。

 唖然としていた軍人とエイミー、一斉に拍手喝采である。



「すごいよおにいちゃん! どうしちゃったのいつの間に!」


 ミーコのはしゃぎぶりは尋常ではない。


 恐らくだが、ラウンドバトラー効果だろう。

 あの量子リアクターからのマナジェネレーターによる魔素を受けるとこうなる。

 それ以外考えられなかった。



「じゃ次、アンナちゃんお願いね」


「はい!」



 そう言ってアンナは、岩に向かって狙いを定める。

 オレの手を握りながら見ているミーコの手に力が入った。


 アンナ、いつもと違うな。


 オレは今の彼女の真剣な眼差しから、これから撃ちだすものは今まで見たことのないものだろう、そう感じた。



「ブレードクラッシュ!」



 そうアンナは叫んだ。


 放たれたそれは眩いばかりに輝くビームで、岩は消えた。

 オレの時と同じ、一瞬にして完全消失。


 見ていたオレも唖然、軍人たちはいっせいに拍手喝采を始める。



 ミーコとレイラがアンナの周りではしゃぎまくっている。

 オレは自然に口元が緩んでしまった。


 みんな成長するんだな。


 満面の笑みをたたえたネフィラは、レイラを見て言った。


「じゃ、レイラちゃんお願いね」


「……は、はい」



 ひと際白い肌を輝かせるレイラは、緊張しているのだろうか、汗ばんでいるようにも見える。


 これは彼女にとって、ストレスだろう。

 こんなノリで負担をかけさせてしまったことに、申し訳なくなってしまった。


 だが彼女はやってくれるみたいだ。



「サンドニードル!」


 レイラはそう叫んだ。

 それまでの彼女の控えめな声からは想像できない、張りのある一声。


 突き出された腕から纏う様に放たれた黒い嵐は、やはり一瞬にして岩を消し去った。

 彼女もまた成長してくれている。


 拍手喝采、もうお約束だ。



「じゃ、最後はミーコちゃんお願いね」


「はい! 先生、あたし雷やってみるよ、いいでしょ?」


 ネフィラは一瞬心配そうな顔をしたが、すぐ微笑みに変わった。



「ミーコ、気ぃつけろよ」


「大丈夫だよ!」



 めずらしくリロメラが心配している。

 オレは気になったが、その答えはすぐ知ることになる。



 ミーコはいつもと違うポーズで、魔素を溜めている。

 大きく手を広げ、円を描くようにポーズすると叫んだ。



「シャイニングサンダー!」



 その瞬間ミーコの身体が“バンッ!”と雷光に包まれ、彼女はまるでスローモーションのように倒れてしまった。


「ミーコっ!!」


 オレは飛び出してしまう。


「言わんこっちゃねぇ、光と雷は相性が悪りぃんだ」


 リロメラは空中に飛び上がると、ミーコに駆け寄っているオレに言った。


「一洸、少し長めに下がってくれ……

ミーコに光を充てる場合、ちょっと強くしなきゃ効かねぇんだ」


 オレはすぐさまミーコから離れて、その様子を見守った。

 みんな黙って、リロメラの神力を見ている。



 リロメラが放つ光はしばらくミーコを包み、全身を輝かせ続ける。

 オレは、ただそれを見つめながら深呼吸するしかなかった。


【 恐れ入ります、下記お願いいたします 】


お読みいただきありがとうございます。

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物語も終盤に差し掛かってまいりました。

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