表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第七章 覚醒せしもの偏

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

161/254

第161話 漆黒の魔元帥イチコウ

 魔界の王都上空を派手に飛翔する、オレの愛機。


 各所で地上回帰デモを行っている市民たちの上を、これみよがしに飛び回っている。


 理由はどうあれ、それほど悪い気持ちはしなかった。

 普通の人間が注目を浴びることに執心する気持ちが、少しだけわかったような気がする。



 王都の中心部、中央政庁府からまっすぐ伸びるとんでもない広さの大通りを、政庁府前広場に向かって飛翔する。


 まるでオレの姿を追う様に、魔界の王都市民たちは中央広場を目指している。


 中央広場は予め配置された近衛兵たちによって、混乱が起きないように采配されている。

 一般市民の恰好をしたバラムが小さく見えた。



 オレは広場の中心地上空に浮遊しながら、ゆっくりと地上に降り立つ。


 回りを取り囲む大勢の魔界の市民たち、まるで悪魔のように黒く塗り直したラウンドバトラーに目が釘付けになっている。


 人間、腹を括ればたとえ苦手であると思っていたことも、どうということはない。



 降り立ったオレの周囲には、近衛兵たちがぐるりと円を描くように囲んでいる。



 バトラーのハッチを開け、漆黒の眼が禍々しい魔元帥バイザーを被ったオレが、全身黒ずくめ、黒光りするマントを翻して衆目の前に姿を現す。



 オレは魔族なら確実に視認する“権能の腕輪”をよく見えるよう、拡声魔法を使って話し始めた。



「我は魔元帥イチコウ、王都の市民諸氏には初めてお目にかかる」


 罵声が飛び交うかと思っていたが、まるで初めて地上に降り立った異星人でも見るかのように、驚嘆と恐怖、畏敬すら混じった目でオレをみつめているようだ。


 まずい。


 ここで荒ぶり罵ってくれないとシナリオが狂う。



「地上に住まう残された魔族の同朋たちは今脅威にさらされている。

地上へ戻りたい……

その気持ちは理解するに容易いが、地上は今、地底深くに眠る古のものが復活の目を見せ、我が同朋たちは存亡の危機に晒されているのだ」



 おかしい。



 何故、暴れ始めないのだろうか。


 これではただの演説になってしまう、魔族による理性的な振る舞いは裏切られた感じだ。


 半人半獣の狼人、バラムのような角を生やした鬼、爬虫類型のリザードマン、ネフィラのようなエルフもいるし、ミーコのようなほぼ人間の亜人もいる。


 彼ら多種多用な魔族たちは一様に、オレの話を静まり返って聞いていた。



 調子が狂いすぎる……



 オレは早々に話の要点をぶつけて、纏め上げることにした。



「魔力に自信のある諸氏に問いたい、我が魔元帥イチコウとともに、地上の同朋を救おうではないか!

我と共に、栄えある魔族の存在を人間たちに示そう!」



 聴衆は騒然となったが、混乱にはならなかった。


「魔元帥イチコウ様、どのようにすれば…… どうすればいいのですか!」


「地上が危機とは…… この魔界もそうなるのですか!」



 叫び問う市民たちの前にバラムが颯爽と表れ、聴衆に布告した。


「皆の者、静まれっ!

魔元帥閣下は、魔力に覚えのある者による、地上の同胞たちを救う手立てを示された。

ここに、王都魔力闘技会開催を宣言する!

我が筆頭魔神将バラムも、魔元帥閣下に命を救われた身だ!

共に地上の同朋を救う力となり、栄誉を勝ち取ろうではないか!」



 魔元帥様、魔元帥イチコウ様……



 その声で中央政庁府前広場が埋め尽くされるのに、時間はかからなかった。


 それにしてもシナリオと違ったのにさすがバラムだ、伊達に筆頭魔神将を長く勤めてないな。


 オレは“権能の腕輪”を見せびらかすように、観衆に手を振って応え続けた。



    ◇     ◇     ◇



 連邦側の要員を保管域へ引き上げ、外界時間停止をした。

 エイミーを含んだ20名ほどの要員たちと挨拶をする。


 いずれも手練れのラウンドバトラーパイロットである。



 魔法を学ぶ、それも魔導士と呼ばれる学究の頂点から体系的に。


 以前観た映画の魔法学校……

 もし、そのチャンスがあるのなら……

 学校がそれほど好きではなかったオレだが、心底行きたいと思った学校なのは間違いない。



 自分が享受した運命のめぐり合わせとは違って、現実にその恩恵を受けられる彼らをオレは羨ましいと思う。



 ネフィラの座学は、オレたちが魔法を教わったスペースで始まった。


 時折聞こえてくる笑い声から、どうやら楽し気に進んでいるようである。



「ねぇおにいちゃん…… 久しぶりに遊ぼうよ!

エイミーさん、たまにしかこれないけど、おにいちゃんと遊べないと残念そうにしてるよ……」


 ミーコがオレの手を握ってくる。

 アンナやレイラも一緒だ。


「一洸さん…… 息抜き、してませんよね。

私、走り出すと熱中しすぎて時間が経つのを忘れちゃうんです。

適当に力を抜かないと、あとでしわ寄せがくるのわかってますから……」



 アンナ、この子は本当に大人だな。



「あ、あの…… 一洸さん、時間を決めて、遊びましょう。

わたしも、わたしも遊びたいです」



 ありがとうレイラ。


 そうだよな、オレは息抜きの仕方が下手どころか意識してやっていない。

 ここの所忙しさにかまけて飛び回っていたのは事実だ。



 たまにはいいよな。



 オレはミーコに引きずられるようにシミュレーター改に向かって歩いた。


【 恐れ入ります、下記お願いいたします 】


お読みいただきありがとうございます。

「面白い、続きが読みたい!」と思われた方、

評価をお願いします、大変励みになります!

ブックマークも頂けると本当にうれしいです。

      ↓   ↓   ↓

物語も終盤に差し掛かってまいりました。

もうしばらくお付き合いくださいます様、

よろしくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ