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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第七章 覚醒せしもの偏

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第159話 搭乗員募集

 オレは、いつもみんなで集うテーブルの上に、PCで作図した施設レイアウトをプリントアウトして広げた。


 エイミーはいなかったが、全員がオレの青写真を真剣な目で見つめている。



「処置室って、何?」


 ミーコが言った。

 それを言った途端、アンナもレイラもオレの口の動きに集中しはじめる。


「バトラーに乗った後、元気になり過ぎるだろう?

そんな人たちを寝かせて、落ち着かせる療術院みたいなところさ」


 ミーコは、わかりやすいほどに赤くなった。


「寝かせるって……」


 誤解をはじめたようなので、すぐ訂正させてもらおう。


「横になって、ネフィラさんの施術を一斉に充ててもらうところだよ」


 ネフィラは微笑みながら、オレの続きをしてくれるみたいだ。


「一洸さんの“閾影鏡”があるでしょう?

あれを処置室の上で展開してから、私が施術するのよ。

大勢の元気になり過ぎた人たちの症状が、一斉に緩和されるわ。

もちろん、ここから出て発散させるのが一番なんだけど、応急措置のための部屋よね」


 三人娘は納得してくれたらしい。


「えー、それならダンジョンに入りっぱなしで暴れた方が早いよ!」


「それもそうだけど、一応用意だけはしておくんだ」


 ミーコは、ダンジョンに行きたくて仕方がないらしい。




 シミュレーターを置く場所は、数百台分のスペースがある巨大な倉庫のような施設。


 その大きさは相当なものになる予定なので、いつもオレたちが要る場所からは見えない、アールが鎮座する反対側に設営するつもりだ。


 シミュレーター施設とミーティングルーム、処置室、事務室…… それらを設営した後、この保管域の空が見えないよう、ドーム型の施設で囲ってしまう。


 短期集中で学習してもらい、なるべくこの空間にいる時間を短くしてもらう。


 隔離された建物から出ない限りここの秘密が漏れることはないだろう、と思っている。




 プルートニアのマルスに設けられたオレの執務室の隣には、専用の秘書官数人による各国からの問い合わせへの応対をやってもらっている。


 質問への応答例はリストにしてまとめてあるので、よほどのことがない限り答えられないということはない。


 隣にはオレ自身の“影”がいるので、その辺りの心配は今のところはないだろう。


 ぱっと見は前世のコールセンターのように見えたので、ちょっとだけ懐かしくなってしまった。



    ◇     ◇     ◇



 フーガのギルド、ラウンドバトラーの搭乗員募集の張り紙に黒山の人だかり。



「魔法かぁ…… 俺ぁ無理だな」


「私の魔法でも通用するのかしら……」


「オレはやってみるよ…… 剣技ではなく、魔法でいいなら」



 フーガギルドの上席職員イリーナは、自分の手を見ている。

 思慮深い横顔を見せている彼女に、カミオが声をかける。


「また忙しくなるね…… きみも応募してみたらどうだい?」


 カミオの唐突な問いかけに、イリーナは硬直してしまう。



「カミオさんは、私の……」


「それくらいわかるさ…… 実は、ぼくも考えてるんだよ。

少しぐらいなら、彼らの力になれるんじゃないかと思ってね」


 遠く未来を見据えるかのように、窓の外へ顔を向けるイリーナ。



    ◇     ◇     ◇



 オレはマルスの執務室で、“影”の振る舞いをチェックしていた。


 コミュニケーターの通信先は、本体であるオレに繋がるようにしてある。

 “影”に繋ぎたい時は執務室の秘書たちから、ということでバラムには伝えてある。


 恐らくこれで問題はあるまい。

 そんなことを考えていると、カミオからの通信が入った。



“一洸、忙しそうだね”


“ええ、成行き上こうなってしまいました”


“よかったのかい、きみの存在というか、顔が知られてしまうことになるが?”


“魔元帥として活動している間は、顔半分はバイザーで覆ってますし、素性は今までのように明かしていません。

魔元帥の素性を探ろうなどというリスクは、興味本位ではやらないでしょうし”



 カミオの懸念はもっともだ。

 もし彼がオレの立ち位置なら、決して表にはでなかったろう。


“ベリアルさんが亡くなりました。

これは責任を負う者へのリスク対策でもあるんです。

オレが責任を負う立場に立つことで、バラムさんや、その周辺に余計な負担がかからないようにするためです。

これ以上損失が増えれば、元も子もありませんし”


“きみがそこまで負わなければならないものがあるのかい?

そちらは、ただ巻き込まれた側だとも思えるが”


“逃げ腰に振る舞っても、被害が生じたら自責の念に圧し潰されることになります。

たとえ自分に責任がなかったとしても……

それなら前向きに対処した方が、まだ寝ざめはいいと思いました。

すいません、オレは弱い人間なんです”


“そうか……

実はぼくも応募しようと思うんだ、バトラーの搭乗員に。

まずきみに知らせておこうと思ってね”


 カミオがバトラーに……


 文句なしに最強だろう、それは助かる。

 だが、彼の持つ状況に問題はないのだろうか。


“カミオさんが乗ってくれるなんて、まるで夢のようですよ。

でも、本来の活動に支障がでませんか?”


“元より覚悟の上さ。

それも含めての、冒険者活動だからね”



 カミオはそれ以上言わなかったが、恐らくはオレがバトラーに乗りたい動機と、ほとんど変わらないのではないか。


 恐らくは、だが。


【 恐れ入ります、下記お願いいたします 】


お読みいただきありがとうございます。

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物語も終盤に差し掛かってまいりました。

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