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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第七章 覚醒せしもの偏

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第156話 利害の一致

 プルートニアの前線基地に戻ったオレとバラムは、施設内に慌ただしい空気を感じ取った。


 オレたちの存在に気づいた警備隊員の一人が、すぐさまやってくる。


「バラム様…… 魔元帥閣下、お待ちしておりました」



 オレは警備隊の幹部たちが詰める司令室の奥にある、ベリアルが執務に使っていた部屋に通された。


 ベリアルが連邦の戦艦を大気圏内で破壊したタイミングからは、地上の時間では一日程度だったはず。




 座しているオレとバラムの前に揃った警備隊の幹部たち10人程は、跪きはじめた。


「ベリアル様のお役目を、その助力を適え切れなかった我々の責任です…… どうぞ存分にご処断下さい」



 オレは面食らってしまった。

 責められるのはオレの方だ。


 彼らに何の責任を負わせることが出来よう、とんでもない見当違いである。



「顔を上げてください…… 幹部の皆さんは、それぞれ役割を果たしていただけです。

ベリアルさんに、緊急の現状を伝えたのはこのオレです……

迫りくる災禍を避ける具体的手段を示しもせずに、ただ実状だけを振った、このオレの責任なんですよ」


 幹部職員たちの数人は、涙を流し始めていた。

 泣いていない職員たちも、目を潤ませている。



「ベリアルの意思は、魔元帥閣下が引き継ぐ……」


 そう言うバラムは、涙こそ流していなかったが、惜しむ気持ちを表すには十分な表情であった。




 オレは、プルートニア全土にベリアル公の死を伝えるべく布告するように指示した。


 彼は救国の英雄であり、世界を救った救世主であると、その偉業を称えるべく。




 その後、かねてから考えていたことを実行に移すべく、バラムに提言する。


「このプルートニアに、オレの“影”を置くことにします。

これは、この自分と同じように考え、決定を下すことが出来ます。

本体であるオレとは、定期的に接触することによって、同一化をはかりますので、相違は生まれません」


「……では」


 バラムは言いかけたが、オレが先に言った。


「そうです、魔界にもオレの“影”を置こうと思います。

これを知っているのは一部の者に限定、普段は限定されたエリアでのみ活動するので、事実が広まらないように配慮します」


「……」


「大魔王様との話の中で、魔界を維持する力との関係性を知った今、現状では最善の策と思います」


「……一洸様、それでは」


「今まで通り、バラムさんは魔界の管理をお願いします。

オレは魔界へも定期的に出向いて、“影”の更新をします。

バラムさんは矢面に立ってもらうかもしれませんが、何かあればオレの影や、オレ自身が対処します」



 どんなに自在に転移できるようになったとしても、身体は一つなのだ。

 可能な限りの采配はこれで行えるようになるだろう。


 これが正しいのかどうかは、オレにはわからない。


 だがベリアルがいなくなったこの魔公国を仕切っていくのは、オレという存在そのものでなければならないような気がした。


 誰かに委ねれば、きっとその人物に災禍が及ぶだろう。


 いずれはそうなるにしても、今はこれが彼へのせめてもの贖罪となる、オレはそう思った。



「……魔元帥閣下、承知いたしました。

いただいたこの命、どうかお預かりください」


 バラムは跪き、頭を垂れる。


 オレはバラムの両肩に触れて、顔を上げさせた。


「どうか、顔を上げてください。

オレだけの力ではどうしようもありません……

バラムさんの協力があってこそ成り立つのです、こちらこそお願いします」


「一洸様……」




 ベリアルの葬儀は国葬とし、その準備と采配はバラムに一任した。


 この段階で“影”の存在を幹部たちに認識させはしたが、本葬儀の時はオレ自身が出向くつもりである。




“一洸…… 今大丈夫かな”


 サインを送ってきたのは、勇者カミオだった。




 カミオの話は、ある意味想定外であった。

 しかし、圧倒的な脅威に対しての反応という意味では当然ともいえる。


 地上の人間によるラウンドバトラー部隊の創設……


 これは、地上世界の“人間”に限らず、亜人や魔族、地上にいるそれに限定しないものにする必要があるな。


 必要な人員の見積もりと、いくつかの段階に応じて育成するのか。



“カミオさん、この話は即答できるものではありませんが……

準備が完了次第関係各位に伝達するので今しばらく待っていただきたい、とお伝えください”



 オレはそれだけ伝えると、みんなで狩りをしていたあの河原に転移した。


 一人になって考えようと思ったからだ。


 プルートニアへは、しばらくして戻ることになるだろう。

 それまでに、青写真は作っておかねばならない。



 人間、亜人、魔族、魔界…… ネクロノイド、高位知性種、そしてサイリアクター。



 そうか。



 みんなまとめてやってしまえばいいのか。


 人間も、亜人も、魔族も…… 連邦の人間も、そしてネクスターナルさえもだ。


 オレは必要になりそうな場所と資材を想像してみた。

 恐らく、それほど大変なことにはなるまい。


 全ての利害を一致させるには、もちろんオレ自身が奔走しなければならないが……

 脅威に対する成果の共有こそが望まれる道だろう、恐らく。




 オレは保管域へ戻った。


【 恐れ入ります、下記お願いいたします 】


お読みいただきありがとうございます。

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物語も終盤に差し掛かってまいりました。

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