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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第七章 覚醒せしもの偏

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第154話 迫りくる脅威

 ゴーテナス帝国帝都の中心部、皇宮前から伸びる広い大通りには、人っ子一人歩いていなかった。


 帝国の沿岸都市を襲った津波は、人々の足を内地へと向かわせている。

 目に見える恐怖を避けたい、たとえ安全な場所などないのだとしても……



 頻発する地震は大地より湧き出でる恐怖を予感させ、もはや安住の地は存在しないように思われた。


 帝国の産業活動は停止し、このままの状態が続けば帝国の経済は取り返しのつかない打撃となるだろう。



 ゴーテナス帝国評議会議長ガイアスは、皇宮近くにある緊急発令所にいる騎士団の動きを見守ることしかできなかった。



「報告します、皇帝陛下が無事避難施設に到着されたようです……

現在、継承順位7位までの皇族方の避難が完了しています」


 さっさと逃げてくれ、これ以上問題をややこしくされないうちに……

 ガイアス議長は声にならない内心を、息とともに吐きだした。



「カミオからの連絡は…… まだないのか」


 魔通石のブースに座っている通信官は誰かと通信しており、ガイアスの問いにはすぐに答えられなかった。



「カミオ様からの連絡は、現在までありません」



 このままでは、帝国は終わってしまう。

 直接破壊されなかったとしても、これでは国体を保つことができない。

 この機に及んで、敵対する国々から侵略を仕掛けられでもしたら、どう対処しろと……


 拳を握りしめ、苦虫を噛むガイアス議長。

 彼は、もはや周囲に苦悶の表情を隠すつもりもないようだった。



 あの…… あの空を飛ぶ冒険者のゴーレム、なんとしても装備しなければならない。



 そのための対価…… 何を要求されるだろうか。


 各地に潜らせている“影”からの情報は、全くと言っていいほど雲をつかむようなもので、形を成していない。


 まるでそんな冒険者など、存在しないかのように。



 例え完全な形でなかったとしても、騎士団によるゴーレム装備の特選部隊を組織しなければ、帝国はネクロノイドに潰される前に滅亡してしまうだろう。



 損な役回りばかりだ。



 ガイアス議長は再び、声にならない声を上げた。



    ◇     ◇     ◇



 カミオは、帝都から逃げ惑う人々の列とは正反対の方向へ向かって歩いている。


 すれ違う人々の顔は一様に暗く、心中は察するに余った。



“一洸…… 始まってしまったようだぞ”



 彼は思わず、独り言ちていた。


 帝都への道のりはまだ長いようだ。

 ガイアスへの連絡など、到着してからでもいいだろう。



 このまま世界中でネクロノイドの出現率が上がっていけば、一洸たちだけでは対処できまい。


 もはや、彼らだけに任せておけるレベルではなくなってきている。

 この世界はこの世界の人間で守るべきだし、当初よりそのつもりでもあった。



 あのバトラーの動力、魔換炉の技術まで開放されるとなると、世界の経済、産業、価値観まで様相は一変するだろう。


 この世界の人々はその変化についていけるのだろうか。


 あの技術が各国上層部に居座っている権力の亡者たちの手に渡れば、確実に悲劇は拡大されることになる。


 だがそうも言っていられない、今まさにその時だ。



 これも運命なのか……



    ◇     ◇     ◇



 オレは旗艦の格納庫に、新しい愛機を着艦させた。


 周囲にはホワイト大佐をはじめ、エイミーや尉官、技術スタッフが囲むように待ち受けている。


 オレはハッチを開けると、いつものようにフワリと着地した。



「アールが製作した新しい愛機です。

操作性はかなりいいです、以前いただいたものより自分には馴染んでいますね」



 オレの愛機を涎を垂らしながら見つめている技術スタッフたちは、もう中を見たくて仕方ないといった感じである。


「わざわざすまないな…… じゃ、うちのスタッフに見せてもらっていいかい?」


「ええどうぞ、存分に」



 オレは、アールから預かってきた技術シートと構成図の入ったチップをホワイト大佐に渡した。


 エイミーはシミュレーターで遊んだ仲だ、この機体に搭乗したくてうずうずという感じではなかったが、あらためて目の前にある愛機をしげしげと眺めている。



「アールの話によれば、マナジェネレーターの新装と、魔法行使によるデバイス形状の特異性以外は、連邦製とほとんど変わらないそうです」



 そういうオレの意見を横顔で受けるホワイト大佐の視線まで、愛機に釘付けであった。



“一洸、我々もスキャンさせてもらうが、いいかな?”


 ネクスターナルがオレに話しかけてきた。


“もちろんどうぞ…… アールの話によると、神経接続技術だけ連邦の技術を参考にしなければならなかったみたいですが、あとはネクスターナルの技術で作ったそうですよ”


“そうだろうね…… 我々も興味深いよ。

短い期間であれ、1029T2Rの作ったものから今の時点までは、一日いちじつの長があるわけだから”


 ネクスターナルのスキャン状況は、オレからは確認しようがないが、恐らく一瞬で全て記録してしまったのだろう。



「ね一洸、あとで行っていい?」


 エイミーは、もう遊びたくて仕方ないようである。


 オレはプルートニアに行く前に、エイミーを連れて戻ることにした。


【 恐れ入ります、下記お願いいたします 】


お読みいただきありがとうございます。

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物語も終盤に差し掛かってまいりました。

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