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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第七章 覚醒せしもの偏

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第152話 溢れ出る想い

 保管域に戻ったオレは、現場での対策を考慮し旗艦へ転移する。

 小脇には小さなドローンを抱えたままだ。


 旗艦の魂意鋲の手をつかむ寸前、ネフィラに止められる。


「……一洸さんお願い、これからの危険度は今までの比じゃないわ。

少しでも危ないと思ったら、すぐ戻ってきて。

本当に、あなたがどれだけすごい権能を駆使できたとしても、もうどうしようもないのよ」


 ネフィラはオレの両肩を掴んで、額を押しつけんばかりの近さで言った。


 オレは彼女の手を握り返し、安心させる。


「わかりました、少しでも危険を感じたら、すぐ戻るようにします」



“アール助かった、ありがとう”


“一洸…… あの破壊力、一瞬で高位知性種のデバイスが全て葬られた。

どのような質量兵器が使われたのか、想像すらできない”


 オレはアールの怯えにも近い雰囲気を察して、本当に覚悟を決めなければいけないのだろう、そう予感した。



“おにいちゃん!”


“ミーコ、まだ待機しててくれ、みんなも頼む。

必ず無事で戻るから……”


 弱い根拠の“必ず”だな、自分で言いながら情けない。




 旗艦に戻ったオレは、待ち構えていたエイミーに抱きしめられてしまった。


 彼女がネフィラのような真似をするとは予想できず、オレは少々面食らってしまう。


 抱えてきた小さいドローンが邪魔になったが、オレはエイミーの抱擁を受け入れた。


「……一洸、本当に、本当によかった」


 エイミーは泣きながらしがみつくばかりだったので、両手を使えないオレは、まるで立ち尽くす木のようにされるがままだ。



「……エイミーさん、このドローンが唯一救えました。

今回の功労者です」


 小さなドローンを彼女に渡すと、そのドローンはオレに向かってお辞儀をした。


「アリガトウゴザイマス、一洸サン」


 AI内蔵なのは知っていたが、こんな風に振る舞えるのか……


 まるで小さなマスコットである、時代が時代なら大変な需要であったろう。


「どういたしまして…… お互い助かってよかった」


 オレは、ドローンに向かって答えた。




 司令室は静まり返っていた。


 メインスクリーンにあったのは、粉々に粉砕された機械惑星と3体のデバイスの残骸で、光子魚雷で破壊されたというよりは、何かに引き裂かれ、バラバラにされた跡といった風である。


 一体どのような暴力装置が、この結果を生み出せるのか。

 想像力があっても難しいと思える結果だ。



「一洸、きみなら大丈夫なのはわかっていたが…… 無事でよかった」


 そう言ったホワイト大佐の顔は、軍人のそれではなく、普通の優しい紳士であった。


 その様子を見た司令室のスタッフたちは、なんと拍手をし始める。



 マズい。



 オレは、こういったものが何より苦手なのだ。

 協力してくれた女性オペレーターも、満面の笑みで拍手してくれている。

 涙を拭いたエイミーの目は、まだ赤いままだ。


 オレは再びメインスクリーンに目を向ける。



 一旦脅威は去ったが、それは始まりに過ぎなかった。



    ◇     ◇     ◇



 あの声……


 私のところにまでも聞こえる、心の中に響き渡るような声音。

 あれが、この大地の下に眠っていた存在の声なのね。


 一洸さん、どうするつもりなんだろう……


 私たちだけじゃ、とても戦力足りないと思うんだけど、本当に勝てるのかな。

 ちょっと前まで、みんなでギルドの仕事をしていた頃が懐かしいよ……


 実はとっても幸せだった私。

 あなたに逢ってから、レイラも変わったし、私ももちろん…… 


 でもあなたはミーコちゃんのもの、それもわかってる。


 わかってるわよ。



    ◇     ◇     ◇



 一洸さんのバカ……


 一人で行かせない、誰かがそう言っても、あなたは一人で行くんでしょうね。


 私がどれだけ一緒に連れて行ってなんて言っても、絶対に一緒になんていさせてくれない、わかっています。


 あんなの、あんなに危ない事、どうしてやろうとするんだろう……

 周りが許しているとでも思っているからだろうな。


 私、あんまり怒らないんだけど、もう本当に許せない……



 ミーコちゃん…… バトラーを降りて、ネフィラ先生のところへ行ってる。



 ミーコちゃんの邪魔はしない、一洸さんにとって大切な人はミーコちゃん。


 だから私は……



 私は……



    ◇     ◇     ◇



 あたしはいてもたってもいられず、ネフィラ先生のところへいった。

 おにいちゃんが待機してろって言ったけど、どうしてもお願いしたかった。


 あたしでは、おにいちゃんを止められない。

 だから、ネフィラ先生にお願いするしかない。


 おにいちゃんを、おにいちゃんを助けてあげて……



「……ミーコちゃん、大丈夫?」


 ネフィラ先生は、あたしを心配そうに見つめている。

 あたしはネフィラさんの手を握ってお願いした。


「ネフィラ先生お願い……

おにいちゃんを助けてあげてください。

お願いします、あたしじゃおにいちゃんの力にはなれないの……

おにいちゃんは、おにいちゃんは……」


 あたしは涙がとめどなく流れて、自分ではどうしようもなくなってしまった。

 先生はあたしの肩を優しく抱いてくれる。


 先生に触れられた瞬間、今まで溜まってた思いが一気に噴き出してしまいそうになった。



 だめ。



 もう我慢できない…… ごめんなさい、おにいちゃん、ネフィラ先生。



「ネフィラ先生……

おにいちゃんを連れて行かないで」



 あたしは言ってしまった。

 これ、言ったらもうおにいちゃんに会わせる顔がないよ……


 でも我慢できなかった。



「……ミーコちゃん大丈夫よ、私も一洸さんのことは好きだけど、私は彼を連れていきたくても出来ないの。

だから私が大好きな分も、あなたが支えてあげてね」


 そう言って、ネフィラ先生はあたしを抱きしめた。


 ちょっと驚いたけど、ネフィラ先生は生きていないのにすごく温かかった。


 あたしはその温かさにふれて、なんだかわからないけど、ますます涙が一杯でてきて止まらなくなちゃった。




 ネフィラ先生は、泣いているあたしをそのままじっと抱きしめ続けてくれた。


【 恐れ入ります、下記お願いいたします 】


お読みいただきありがとうございます。

「面白い、続きが読みたい!」と思われた方、

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物語も終盤に差し掛かってまいりました。

もうしばらくお付き合いくださいます様、

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