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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第六章 異世界混沌偏

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第144話 サイリアクター

 オレは守護者の間に転移すると、バルバルスに接見した。


「……ほう、お土産かな」


 オレが持つ箱の中にある装置を見て、笑顔のバルバルスは言った。


「これを見て欲しいと思いまして」


 オレは箱からミニ魔換炉を出して、バルバルスに見せた。


 まるで以前から知っていたものであるかのように、バルバルスは高位知性種のミニ魔換炉を検分する。



「……これは、とても興味深いね」


「外の世界で、オレが協力者たちと戦った敵勢力の機械構造物の中にあったものです。

仲間の話によると“魔換炉”、つまりエネルギーを魔素に変換する装置の一部ではないかとのことでした」


 しばらくの間をおいて、バルバルスは語りはじめた。



「これはね…… いわゆる増幅装置なんだよ。

勿論魔換炉としての効用もあるが、本来は自分の考えを他の心に理解してもらうための、思いを植え付けるための補助機械なんだ」


 増幅装置…… マナを増幅する、本来は精神のそれを膨らまして植え付けるものだったというのか。


「これが増幅装置だとすると…… 力の源は、エネルギーの元はどうなるんですか?」


「それが、阿頼耶識さ」


 阿頼耶識。


 この翻訳魔法がそう訳してくれたそれは、自分が書物で見知っていたものとの差がどれほどのものなのか、これから確認する必要があるな。


 オレは敢えて聞いてみた。


「阿頼耶識、とはなんですか?」


 バルバルスはフッと笑ったような顔をした。


 まるで、オレが知っているのに敢えて質問しているのを微笑ましく受け止めている教師であるかのように。


「普通に考えている意識、そのさらに深層にある大きな海のようなものさ」


 その辺りは、オレの認識とほぼ同じだと言える。

 だが阿頼耶識がエネルギー源だと言われても、理解への道程はまだまだだ。


「普段の意識からは、阿頼耶識を感じることはもちろんできないだろうよ。

私の元いた世界でも誰でも感じられるわけではなかった。

この増幅装置はね、阿頼耶識の持つ無限の意識力を発現力に変換することのできる究極の機関、その片割れなんだ」


 意識エネルギー?


 サイキックのようなものだろうか……


「例えば今、きみが考えていることは、断片だが私に流れてくる。

これは流れ出てくる意識をつかみ取る、私の持つ生物種としての固有能力なんだ。

この増幅装置は、私の固有能力であった“疎通力”を強くしてくれるものさ」


 バルバルスはそう言って、オレの目を見た。


「きみたちの言い方では“テレパシー”とされてるね。

私のこの力は、相手の心を読み、そして“与える”んだ」


「与える?」


「そう、つまり考えを植え付けることが出来る。

私はこれであの魔神将たちに、私の考えを植え付けて理解させた。

だから私の協力者となってくれたのさ。

力で押さえつけるだけが支配ではないよ」


「……それは、オレも同意します」


「私のいた世界、召喚される前の世界では、皆当たり前のように思いを伝えあって、誤解や軋轢のない意思決定がなされていたんだ。

私は随分混乱し、悩んだよ……

何故召喚されたのか、こんな世界にってね。

“疎通力”を持たない相手と意思を伝えあうことが、これほど難しい事なのかとね」


 オレは想像してみた。

 もし両手両足がない状態で、街中に放り出されたらどうなるだろうか。


「この装置、厳密に言うと私が知っているそれとは形状も素材も違っているが。

これがその知性体の移動装置の中にあったということは……」


 ここまで言って、バルバルスは黙ってしまった。


 迂闊なことは言えないのだろう、もし認識を与えてしまったら取り返しのつかない展開になる、そう考えているのかもしれない。


 あの高位知性種、バルバルスの元いた世界のものだとすると、あの機械惑星たちはこのバルバルスの世界の未来なのか。


 もしくは、バルバルスの世界線の一つの未来と繋がった今、なのかもしれない。


「今もそうさ……

きみの思いが、私に伝わってきた。

概ね、その考え通りだと私も思うよ。

私の元いた世界の未来、多重世界の一つが今ある現実と繋がって影響してきている。

目の前にあるこれが、その物理的回答だ」



    ◇     ◇     ◇



 連邦旗艦のラボチーム、一洸のアールから受け取ったサンプルを元に、機械惑星にあったものの起動実験を行っている。


 エネルギー源とされたもの、高位知性種の質量化した精神エネルギーであるとする推測までたどりついていた。



 ラボチームによる仮称“サイリアクター”



 物理的エネルギーではない、純粋知性から生じる精神エネルギーによって巨大質量を移動させる、科学の根底を覆すような内容。


 デバイスが生じうる現象から導き出される仮説を実証していたチームスタッフは、それまでにないほどの震え、内なる心からの喜びを感じずにはいられなかった。



「……これが、これがあれば地球は復活する」


 そう思った時だった。



 宇宙空間から突如現れる巨大機械惑星、躊躇なしに連邦の戦艦群に、殲滅兵器“エリミネーター”を放つ。


 放たれた精神エネルギーの極大暴威は、デバイスのある連邦旗艦目掛けて襲いかかる。



 正に寸でであった。



 強力に展開された位相差シールドが、かろうじて旗艦本体の全壊を防ぎ切る。


 だが周囲にいた戦艦群の一隻は大破、制御を失った1000m近い船体は、眼下の惑星引力に導かれて、赤い光に包まれ始めた。


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