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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第六章 異世界混沌偏

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第143話 読み手の資質

 シミュレーター改から少し離れた場所、アールが据え付けたデッキに固定されているオレの愛機とアンナ、レイラの機体。


 ミーコとリロメラの機体はメンテナンス中なのだろう、ここにはなかった。


 シミュレーター改から出たオレは、ネクスターナル製ラウンドバトラーを複雑な表情で見つめるエイミーを見る。



「なぁ一洸、あのダンジョンには次いついくんだよ。

ちょっと暴れ足りねぇんだけどよ」


 確かに、あれではリロメラの欲求は満たされないだろう。


「まだわからないけど…… 一段落したら行くよ、もうちょっと待っててほしい」


「あのエイミーも連れてってやったらどうだ? 俺は面白れぇと思うぞ」


 悪戯な笑みを浮かべるリロメラだが、オレもそう思った。

 エイミーにはそういうものが必要なんだろう、一緒に遊んでいてよくわかる。



 オレの愛機を見つめるエイミーに話しかけてみた。


「エイミーさん、今度休みがとれたら一緒に地上のダンジョンに入りませんか?

ギルドに登録しているエイミーさんなら、もっと刺激的に遊べますよ」


 感情を隠さないでオレに向き直ったエイミーは、普通の女の子だった。


「そう! そうよね、きっと楽しいわ! ありがとう、絶対いくわ!」


 オレは離れたところから見ているリロメラに、親指を立てて見せた。


 リロメラは同じように、いい笑顔でオレに返してくる。



 振り向きざま見るエイミーは、先ほどの笑顔と打って変わって、仕事人の表情に戻っていた。


「一洸…… お願いがあるの。

このバトラーの仕様、私たちに見せて欲しいの。

あの未知の知性体デバイスを破壊した能力…… これからの連邦に必要なのよ」


 オレが予想していた通りの流れを、エイミーは申し出てきた。


 アールとネフィラとでこの予想される事態を話し合ったが、危惧されるのは、なんらかの拍子で地上の国家群にマナジェネレーターの技術が漏れてしまう恐れである。


 一つの勢力が独占することによる弊害を考えると、その部分を当面厳重に守秘してもらう必要があった。


「構いませんよ、その辺りはアールとネフィラさんとで話し合いました。

ただ、地上の特定の国家や組織に独占的に知れる場合が危惧されます。

提供した技術情報は厳重に管理をお願いしたいんです」


 エイミーの顔が、より一層厳しい軍人の顔になった。


 時折隙を見せてくれることは喜ぶべきだが、それだけエイミーには抱える現実が多いことを示しているのだろう。


「ありがとう一洸、もちろん最大級の厳重さで技術情報は守るわ。

連邦は恐らく、あなたが考えてるよりしっかりしてる組織よ」


 もちろんオレが思うより凄いに決まってます、わかりますよ。




 エイミーはアールから技術シートと構造解析図、設計図をダウンロードした後、旗艦へ帰っていった。



 オレは、エイミーの土産である高位知性種のデバイス内にあったミニ魔換炉の存在をバルバルスに伝えて、現存する理由もしくは想定を聞くべきか相談した。


「……多分、彼は話すと思うわ。

これに関しては、私もどういう回答が得られるかわからないのよ」


「あの魔換炉の情報は…… ネクロノミコンにも書かれていたんですよね?」


 ネフィラは、何かに気づいたような表情になった。


「直接的ではなかったけど、暗示はされていた……

読み手の持つ知識に依るものが大きい書物なのよ。

バルバルスがどこまで知っていて、その先を講じられるかは…… 本当にわからないの」


“一洸、私もネフィラに指導されながら、あの書物を解析している。

あの死者の書、ネクロノミコンは、読み手と一緒になって作る物語と解釈した方がいいかもしれない。

読む者の資質が多く問われるものなのだ”


 そうなのか。


 オレに読む素養があればもちろんいいのだが、まず無理だろう。

 一見して何が書いてあるのか、異次元もいいところだったし。



“アール、あのマナジェネレーター、巨大なデバイスを動かすためというより、人間が携帯するためのものと考える方が普通じゃないか?

あの大きさ、どうしてもそう思ったんだ”


 アールはしばらく沈黙した。


“……そうだな、可能性はある。

その場合、エネルギー供給元として何を用いていたかだ”


 まさか人間の体内にリアクター内蔵なんて、どこかのアメコミみたいな話はないだろうよ。



 オレはバラムに、バルバルスと会うために一緒に守護者の間に行くか気持ちを聞いてみた。


 喜んで行くと思ったオレの期待は、見事に裏切られる。


「……お仕事の、魔元帥としてのご決断の邪魔になるかもしれません。

一洸様、どうか最善の策を選び、その後ご命令ください。

ここで、あなた様のお帰りをお待ちしております」


 バラムは少し俯き気味で、オレにそう答えた。



 この人の気分転換も必要だろう。

 一緒にダンジョンに入ったら、それはそれで楽しいかもしれないな。


 申し出てみるのもいいが、魔界の筆頭魔神将を無暗に遊びに誘ってしまっては、気を悪くするかもしれない。


 ま、それはまだいい。




 ミニ魔換炉を箱に入れたオレは、守護者の間に転移した。


【 恐れ入ります、下記お願いいたします 】


お読みいただきありがとうございます。

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