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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第六章 異世界混沌偏

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第140話 駒を動かす影

「ここに入る前、まだ地上で魔族や人間たちと暮らしていた頃の話だ。

エルフの国で、研究者として活動していた私は、この惑星の史書、誰も読むことのできない古の書であるネクロノミコンを見つけた。

それは死者の書と呼ばれる、永遠の命を紡ぐ方法が綴られ、その力の源泉たる存在のことも書かれていた。

面白いことに“この本の続編、それはあなたが書くものだ”で、結ばれているんだ。

私も様々な本を読んできたが、これは初めてお目にかかるものだったよ」


 オレの拙い読書歴の中でも、確かにそれはなかったかな。


「読み進んでいて思ったね、これは世に出してはいけない、出したとしても誰も利益を得ないだろう、と」


 特に魔換炉だな。

 あれの内容も勿論書かれていたのだろう。




 バルバルスはそこまで話すと、カウンターの上に置いてあった何かの本を開き始めた。


 オレは、駒の前に居座っている黒い影を見る。


 相変わらず腕を組んだままだ。


 それが人間であるはずはなかったが、たとえそうであったとしても、顔を見たくはないな、と思わせるに十分な不気味さだ。



 さて。



 この後どうすべきか考えるまでもない。


 どうやって古のものを倒すか、不可能であるなら、その従僕たちの活動をいかにして止めてもらうか。


 それも無理だと言うなら、やはり死んでもらうしかないだろう。


 今この時点まで、このバルバルスの尽力で古のものの眠りは維持されている。

 無暗に覚醒させるほどの愚策を弄するつもりもない。



 深く、大きく、守護者の間の大気を吸い込んだオレは、深呼吸をした。


 濃くもなく、薄くもないここの酸素は、オレに最適解をもたらしてはくれなさそうだ。



「……バルバルスさん、一端戻って相談してきたいんですけど、いいですか?」


 本の中にある、なにかを探していたであろうバルバルスは、オレに顔を向けた。


「もちろんかまわないよ…… きみはいつでもここに来ることが出来るんだから」


 戻る前に、懸念であった事をオレは聞いた。


「ここで時間の経過が進まないのは…… 純粋にこの空間の力なんですか、それともバルバルスさんの権能によるものなんでしょうか」


 彼は一瞬固まってしまった。

 マズい内容だったのだろうか。


 しばらくすると、彼は口元にだけ笑みを浮かべて返した。


「実はね…… 私にもわからないんだ。

この“守護者の間”にいる間は、老化も腐蝕も発生しないよ。

私は以前いた世界、つまりきみたちの人間界にいる間は、ネクロノミコンの効果で歳をとらなくなったんだ。

なので、そういうことさ」


 オレは言い忘れていたことを思い出し、バルバルスに伝える。


「バルバルスさん…… バラムさんの言付けです。

いつまでもお待ちしています、だそうです」


 その事を伝えた後も、バルバルスは笑みを絶やすことなくオレを見つめていた。




 ゼロに引き上げてもらったが、呼び出した時一瞬のタイムラグがあった。

 やはりこの空間との連結は、通常のエネルギー消費量の比ではないのだろう。


 保管域に戻ったオレは、すぐさま外界時間停止をした。




「一洸さん、とにかく何もなく戻ってこれてよかった……

大魔王は元気にしていたかしら?」


 ネフィラはいつもの笑みを浮かべていたが、内心の硬さはオレでもわかるほどだ。

 詮索するつもりはないが、何があったのか聞くくらいは許されるだろう。

 もちろん、二人の時だが。


「ええ、とてもお元気そうでした。

大変柔和な紳士でしたね」


 バラムはオレの顔を見つめ、何か言って欲しくて仕方ない様子だ。


「バラムさん、大魔王にはバラムさんの事を伝えておきましたよ」


 バラムはそれを聞くと、まるで祈るように両腕を握り俯いてしまう。

 これは、そういうことなのか……


 問いただすことなど、オレには出来そうにない。



 オレは、中であった内容をみんなに話した。

 “駒を動かす影”の話になった時、ネフィラの表情が変わった。


「それよ、その影が古の魂に触れることのできる唯一の方法……

最初に言っておくわ、その影に話しかけたり、言葉を投げかけてはだめよ。

バルバルスもそれはやっていなかったはず。

影を前にした時、彼があなたに注意しなかった理由はわからないけど…… 恐らくは、あなたが無暗に話しかける人格じゃないと見抜いた、いや……」


 ネフィラはそこで、言ってはいけないことを言いそうになって口をつぐんだような形になった。


「ね、彼はあなたに、自分の能力の事を話さなかったの?」


 自分の能力?


「いえ、今話しただけですけど」


「……そう。

私から話すより、彼自身から語ってもらった方がいいわ。

これは隠しているわけではなくて、彼の能力の内容に関わることなの」


 ネフィラの話を黙って聞いていたのは、バラムもまたそうであった。


 大魔王の固有能力……


 それもそうだが、オレは今後の方向性を決める必要があった。



「バラムさん、ネフィラさん…… みなさんもです。

先ほど話した内容だと、この先の方向性如何によっては、古のものと戦うことになるかもしれません。

あのネクロノイド、古のものどもの心のない下僕たちの活動を止めるには、本体である魂のあるネクロノイドを倒さないと、地上世界は滅んでしまうでしょう。

これからは、大いに命の危険を伴う戦いとなります。

オレは…… 無理強いはしません、一人一人の思い、望みを尊重します」


 みんな何も言わなかったが、まるで“言うまでもない”と語るように、オレを見る視線はキラキラと輝いている。




 オレは“お願いします”と、改めて彼らに宣明した。


【 恐れ入ります、下記お願いいたします 】


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