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ネコバレで追い出されたら異世界召喚、貰った権能はアイテムボックス無限大でした ~ワクチン人口削減計画が成功した世界線、可能性の未来~  作者: 凱月 馨士
第六章 異世界混沌偏

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第134話 極北の裂け目

 新しいバトラーの通常空間での操作性は抜群だった。


 以前のそれとは反応速度がまるで違い、PCに例えるとシステムドライブを初めてSSDに交換した時のような異次元な違いだ。



 オレはバラムを回収すべくフーガの森の奥、ダンジョンの入り口付近にバトラーを降ろした。


 ミーコたちは、現地到着後に次元窓から出て準備してもらう予定。



「あの、よろしくお願いします一洸様」


 普段の気丈さは影を潜め、とてもそれまでの印象は感じられない。


 そうか、こうなるまで気にしなかったが、バラムはこの機体に乗るのはおろか、地球文明に触れるのも初めてだったのか。


 もう少し気を使うべきだったのかもしれない。



 メインコックピットの前に位置するサブシートから見る世界を、バラムはまるで子供のように視線を巡らせた。


 360度スクリーンは衝撃だったらしく、足元にひろがる下の世界への不安を、両腿にしっかりと充てた手が物語っていた。


「バラムさん、大丈夫ですよね?」


「……え、ええ、初めてのことだもので、すいません」


 この人に限ったことではないのだろう、魔族と人間のメンタルなど、恐らく大差はない。



 予め貰った位置情報は既に設定済みだ。

 あとはオートで飛ぶ予定だが、まだしばらく時間がある。


 オレは彼女が恐らくは話したがらないだろう、大魔王バルバルスのことを、少しづつ聞いてみることにした。



「……あの方は、もともとエルフの中でもかなり上位の学究者でした。

ご家族を…… ご両親を魔獣に殺されてから、覚悟を決められたようです。

私がバルバルス様を知ったのは、あの方がエルフの里を出て、他の魔族との折衝に入った頃でした」


 そもそも魔族の種類はどのくらいあるのだろう…… そんな知識もまだ乏しかったな。


 あの魔神将たち、少なくともあの数だけはあるということか。


「ご両親、家族は他には?」


「……妹様がおりました」


 バラムはそこで話を詰まらせてしまった。


 妹。


「その妹さんは、今生きているんですか?」


「……。

亡くなられたと聞いています」


 バラムはその言葉を出した後、しばらく無言になってしまった。


 前の話でもそうだったが、バルバルスが魔界を開く前後に、相当トラウマになるような出来事があった模様だ。


 オレは無理やり聞き出すのをやめにして、しばらく外の景色を眺めることにした。




 周囲の景色は地球の北極か南極そのままで、準備もなしに外にでれば数分で死ぬだろう。


 しばらく飛ぶと、巨大な大地の裂け目が表れ始めた。

 まるで何者かが無理やり押し広げようとしたかのような、とてつもない規模の亀裂。


 バラムから提供された位置情報、そこを示すポイントに近づく。

 目印があったわけではない。

 ただそこに示されたポイント、それは裂け目の下にあった。



 オレのバトラーはゆっくりと裂け目に入ると、降下を始める。


 途中からモニターは赤外線画像に切り替わったが、通常は漆黒の闇が支配する世界のようである。




“一洸、気をつけろ…… ネクロニウムの反応がある”


 アールが伝えてきた。


“了解、ミーコ、アンナ、レイラ、リロメラ、準備を頼む”


“一洸、いつでもいいぜ”


 ミーコたちの声がなかったが、恐らくは心配で声もでないのだろう。


「あの、今の声は…… あの時の天使殿ですか?」


「ええ、彼もスタンバイしてくれてますよ」




 そのポイントは、裂け目の横にあるただの壁面であった。

 この場所に来るまでに、ほとんどの命はもたないだろう。

 たいした障壁であり、防御システムだな。


 裂け目の壁、その前に浮遊しているオレのバトラー。


「ここが、そのポイントですか」


「ええ、私も来るのは初めてですが、この場所とこの位置に存在できるのは、特別な手法を用いることのできるものに限られます。

本来は翼竜に乗った状態で、“解呪の法”を発動します。

これは、私とマルコシアス様、ベリアルにだけ教えられたものです」


 翼竜か。


 オレは固唾を飲んだ。

 魔族の猛者が見せる本物の魔法、見せてもらおう。


「この、バトラーの壁を開けていただけますか」


「開けます」


 オレはバラムに言われた通り、ハッチを開けて、極北の地下数百メートルの大気を肺に入れた。


 全く澱みのない、それでいて生身の人間には容赦のない冷たさだ。



 バラムが呪文を唱え始めると、バトラーの周りに魔法陣が展開されはじめ、彼女の身体が輝き始めた。


 空間がねじれ始めた段階で、バラムの有する魔素量の膨大さが桁外れなのを思い知らされる。


 オレをなんだと思っていたのだろう。


 これではオレがマズい……



“アール、コックピットのオレだけに作用する位相差シールドって、可能かな?”


 一瞬間があったが、アールはすぐ答えてくれた。


“大丈夫だ、自分の周りに覆う様に、いつものようにシールド展開するイメージでいい”


 規格外な要望だったのだろうが、オレは自分自身の周囲に位相差シールドを展開した。


 一瞬で覆われる自分の少し先は、まるでガラスの外の猛吹雪のようである。

 魔素の流動による空間の歪みは、オレ自身に作用することはなさそうだ。



 氷の壁面が淡い色に変化し始めた。

 始まったな。



「うぐっ……」


 突然のバラムの苦悶の声に、術式は破壊された。

 目の前のバラムの胸に突き刺さる、鋭いつららのようなもの。




 ネクロノイドだ。


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