第128話 閑話 目醒めしもの
この光はなんだ。
久しく見ていない、命が生まれ出る時に見た輝き。
どこかの存在が生命を創造する時、意図せずに伴って現れる煩わしき光。
せっかく掃除をした後の一休みだというのに、また騒がしくなったのか。
起き上がって、掃除をしなければならない……
想像しただけでうんざりだ。
どうして大人しくしていてくれないのか、そんなに私の眠りを妨げなければならない理由があるというのか。
眠りの前に、片付けをしたのはどのくらい前だっただろう。
それほど前ではないな。
この星の老化の経過など私にはどうでもいいことだし、目安など持ちようもないが。
あの眩しさ。
以前の掃除のさらにずっと前、もう忘れてしまうほど昔に見た、あの光を思い出す。
あれは……
そう、あれは命を創る存在と、居場所をめぐって争った時だった。
あの時は居場所を譲らせる代わりに、私の身体の一部を使うことを黙認して、その後の顛末の一切を無に帰すことで奴らに報いたのではなかったか。
そういえばあの存在、まだいるのだろうか。
私の身体の一部を使うことによって、その版図を広げようとしていたようだ。
奴らは私を消すことが出来ずにいて、私も奴らを退けることができずにいた。
同じ力を持っていはいたが、その目的は全く違ったものだ。
私がここで眠りについた後、あの存在がどのようにこの次元を変えたのかは、私にとってはどうでもいいことだが、この期に及んで眠りを妨げようとするのはいただけない。
また起き上がらなければならないのか。
面倒だし、大変煩わしい。
ただそっとしておいてくれれば、私も何ら害成すものになりようもないのに。
もうひと眠りする。
次に目を覚まされた時、久しぶりに起きて掃除でもしようか。
その後、また寝よう。




